猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

対北援助をめぐり米韓の亀裂拡大―南北統一も視野に?

2005-10-10 17:29:56 | 朝鮮半島
 結論から先に申し上げると、いずれ南北朝鮮が統一して中国との間で反米・反日同盟ができる可能性が高いと考えられる。
 現在の韓国の対北朝鮮支援は、常軌を逸しているさえ言ってよい。盧武鉉政権の二年半で直接間接の支援は2兆3000億ウォン(約2300億円)を超えている。これでは、経済をカードに北の核開発断念を迫りたい米国が不快感を示すのも当然である。そもそも米国は38度線に36000もの米軍を「人質」として釘付けにされているため軍事的オプションをとることができないでいる。そこへ韓国に後ろから鉄砲を撃たれるような真似をされたら、まともな交渉などできない。「韓国の食糧支援は南北関係改善、軍事的緊張緩和、同胞の救済という複雑かつ困難な努力の一部だ」という韓国側の反論は、親切に解釈してもせいぜい、チェンバレン英国首相のヒトラーへの宥和政策と同じに映るだけである。率直に言えば「南北共謀」であろう。実質的に南北連携は始まっていると見るべきであろう。
 南がこれほどまでに親北になった背景には、朝鮮戦争を知らない世代の増加及び自国の独裁時代を知らない世代の増加による、専制政治への恐怖感の減退があると考えられる。そこへ、北からのプロパガンダがどんどん入ってきたものだから、一たまりもない。国民の意識を乗っ取られては降伏したにひとしい。こういう事態は、日本も余程注意せねばならないことである。
 もっと穿った見方をすれば、南は核を持ったままの北と統一できれば儲けものだと考えているのではないか。核を持った統一朝鮮と中国の同盟など悪夢以外の何物でもない。まずは、北朝鮮の核武装解除は何としても成し遂げなければならない。北に核放棄を迫る米国の努力を全面支援すべきである。また、南北統一を日本は支援してはならない。統一朝鮮と中国に共通した外交カードとなりかねない、靖国問題と教科書問題を外交カードとして無効にせねばならない。それには、いくら騒いでも無駄だと知らしめれば十分である。そして、何よりの備えは日米同盟の強化である。米国だけではなく日本にとってもそれ以外の選択肢は考えられない。こういう文脈の中で在日米軍基地の再編問題も考えなければいけない。
 最後に拉致問題に関して一言。韓国は日本以上に多くの国民を拉致されているが、統一してしまえばそんな問題は雲散霧消する。よって、韓国と共闘などできぬ。まずは何よりも自助努力、次に米国の人権意識に訴えて協力を取り付けることである。


[韓国、増える北支援 米との亀裂、鮮明に]
 対北朝鮮外交でかろうじて「協調」を保っていた米韓関係の亀裂が目立ってきた。六カ国協議の米代表ヒル国務次官補が非公開セミナーで、韓国の北寄り姿勢に強い不快感を示したのをはじめ、米国は北朝鮮が世界食糧計画(WFP)の来年以降の人道的支援を拒否したことでも、「韓国の増加し続ける直接支援が“抜け道”になっている」と疑惑の目を向けている。韓国政府はこうした批判に神経をとがらせているが、「米国」対「南北」の構図が見え始めている。
 増え続ける韓国の対北支援に対して、米国の警戒の目は厳しさを増している。北朝鮮は九月下旬、崔守憲外務次官が国連アナン事務総長に人道支援打ち切りと職員の引き揚げを要求したが、米国からは「韓国の監視なしの食糧供給のせいだ」「南北の共謀だ」との非難さえ出た。
 韓国の今年の直接支援はコメ五十万トン、肥料三十五万トンで一兆ウォン(約一千億円)超。民間支援は薬品から農機具まで六千万ドル(約六十六億円)で、盧武鉉政権の二年半で二兆三千五百億ウォン(約二千三百五十億円)、これは金大中前政権の一兆二千六百億ウォン(約千二百六十億円)をはるかにしのぐ。
 最近は、朝鮮労働党創建六十周年(十日)の芸術公演「アリラン」に韓国から約一万人が訪朝。北朝鮮に落とす外貨収入は一千万ドル(約十一億円)が見込まれるなど、有形無形の支援は拡大の一途だ。
 韓国統一省は「同胞への当然の支援であり国際支援とは立場が違う。また北朝鮮が人道支援を断ったのは緊急支援の時代は終わったからで、いまは開発支援を希望しているのだ。韓国は農業や畜産など技術支援を行う」と主張している。
 韓国側がこうした対北支援に傾くなか、六カ国協議で米首席代表を務めるヒル国務次官補がセミナーで「韓国は米国にとりあまり助けにならなかった」と述べ、韓国の北寄り姿勢を批判していたことは、韓国内でも大きく報じられた。韓国政府は事実関係を否定したものの、外交当局には米国の厳しい空気を認める官僚も少なくなく、米韓のきしみは顕在化してきた。
 韓国では、九月中旬の六カ国協議で共同声明を「韓国の外交的勝利」「朝鮮半島の歴史的転換点」などと評価した。合意は軽水炉問題はじめ実際には核廃棄の道筋さえみえていない。だが韓国では「北が核廃棄を宣言した」との点を重視し、「(合意は)五十五兆ウォン(約五兆五千億円)の経済効果」などと祝賀ムードさえ見られた。
 こうした楽観一色の韓国に米国はいらだちを隠さなくなったわけだ。厳しい指摘や批判を前に、韓国では「米朝対立より米韓関係が心配」などの声もきかれる。
 韓国の文正仁・延世大教授(政治学)は、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に「非難は見当違いである。韓国の食糧支援は南北関係改善、軍事的緊張緩和、同胞の救済という複雑かつ困難な努力の一部だ」と、米側に反論している。(ソウル 久保田るり子)
(産経新聞) - 10月10日3時6分更新



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