法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 打ち合わせ前の事前調査、シナリオ作成、質問設計が肝要

2021-02-14 12:55:53 | ・・質問設計
昨晩、久しぶりに大きな揺れを感じる地震がありましたね。東日本大震災から10年。「油断するな」と言われている気がしました。

さて、現在、クライアントの発注元としての仕事もしています。1月上旬に1千万円くらいの案件のRFPを三社に発行し、その回答を先週月曜日に得ました。案件は向こう5年間の設備管理を年約1千万の金額で請け負ってもらうもので、この他にスポットでの仕事もあります。また、2月に発行する別のビルのRFPとの複合見積もりも可能とするものです。

この三社は大手A社、外資系大手B社、および優良中小企業C社です。回答までの約3週間、A社からは提案内容についての質問が1件ありました。B社は見積もりのベースになる仕様について10件ほどの質問がありました。優秀なエンジニアからの質問でした。C社からは仕様についての質問が1件でした。

こんなものでしょうか。私だったら「選定基準」や「お困りの点」などを聞きまくります・・・・・これらの会社に営業はいないのかと思ってしまいました。

さて、今日は解決質問の例です。

解決質問は、顧客に適切な解決策を考えるように誘導、あるいは、解決策の価値や重要性を理解するように誘導する質問です。使用するタイミングは、問題・課題等が明確になり、その深刻さを顧客が理解した後です。

それでは、以下の例を「問題・課題等が明確になり、その深刻さを顧客が理解した後」として見てみましょう。

なお、出典は先週と同じで「Sales Probing Questions to Uncover Buyer Needs」(The Brooks Group、Group Vice President、Lisa Rose氏の記事)です。

The Brooks GroupのWeb Siteはこちら。

解決質問の例:

① あなたとって理想的な解決策は。
What would an ideal solution look like for you?

② あなたにとって現実的な解決策は。
What does a realistic solution look like to you?

どちらも顧客に欲しい解決策を自分の口で語らせる質問です。あなたが提案しようとしている解決策を顧客の口から語らせます。しかし、あなたの会社にない解決策を欲すると予想される場合は使えません。自社のソリューションへの誘導が不十分なのです。あるいは、営業の対象とならない顧客です。

③ ソリューションが機能するために必須の基準は何ですか。
What are the must-have criteria for a solution to work for you?

④ ソリューションを開発するためのタイムラインは何ですか?
What is your timeline for developing a solution?

⑤ ソリューションプロバイダーに必要な品質は何ですか?
What are the qualities you need in a solution provider?

⑥ これらの追加の製品/サービス/クライテリアのいずれかがソリューションに役立ちますか?
Would any of these additional products/services/criteria be helpful in your solution?

③~⑥の質問も解決質問の例として記載されていましたが、解決策が決まり、実施に向けての質問ですね。

ちょっと事例として少ないので、コンプレックスセールスではありませんが、私のクライアントの某専門学校の「メールの書き方の基本ルール」というe-ラーニング講座の売り込みの場面をみてみましょう。顧客はビル設備管理会社。事前調査で当該サイトの所長が外部に出すメールをすべてチェックしていることが分かっています(実話です)。

営業:メールでお客さんや協力会社とトラブルが起きることが多いのですか。具体的にどんな問題ですか(問題質問)

顧客:添付物をつけ忘れて、顧客から言われるまで(返事を)ほったらかしにしたケースや、顧客の悪口を書いたメールが間に入っていたケース、内容が分かりにくいメール、名前の間違いなど基本的なところです。実際に部長が謝罪に行ったこともありました。

営業:部下がメールを出す前に全部チェックしているのですか。(問題質問)

顧客:外部に出すメールだけです。

営業:それでも結構あるでしょうし、直すのに時間もかかるでしょう。(示唆質問)

顧客:そうですね。日中は作業や会議があるので夕方、まとめてみています。ばかにならない時間です。

営業:その間、出すべきメールが止まっている訳ですね。(示唆質問)

顧客:そういうことになります。

営業:メール本来のメリットがいかせていないことになりませんか。(示唆質問)

顧客:そうですね。

営業:メールのチェックがなくなれば、他に時間が使えますね。何をしたいですか。(示唆質問)

顧客:顧客対応や新人教育にもっと時間を割きたいですね。

営業:スタッフの皆さんに、添付物のつけ忘れの防止法やメールの管理方法、基本的な書き方などを学習してもらえば、負担が減りますね。(解決質問)

顧客:そうですね。

営業:ビジネスメールの基本ルールを学んでいただけるプログラムを提供できます。

顧客:でも、業務の都合で集合教育は無理です。コロナもありますしね。

営業:パソコンやスマホで個人個人が空いている時間にできます。

顧客:でもパソコンの前に長時間張り付かれてもこまります。

営業:1回10分の講座なので空き時間や通勤時にできます。1回10分、全9回の講座で確認テストもあります。

顧客:修了証はでるのですか。やったかどうか確認したいので。

営業:修了証も出ますし、受講状況もシステムで確認できます。

顧客:ちょっと見せていただくことはできますか。

営業:じゃ、私のスマホでやってみましょう。

<なるほど。ほんまや!!>

お金の話は、この先に!!

チョット都合が良すぎるかもしれませんが、「失敗しないビジネス用メール」講座の売り込みの一幕でした。一人当たり数千円の講座で、コンプレックスセールスではありませんが、質問設計を使ってもらいました。

大切なことは、事前調査を行い、相手が抱える問題点などの情報をできる限り探り出し、打ち合わせの前に全体のシナリオと質問を準備しておくことです。

参考までに前々回と同じ資料を添付


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