法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

何故、今『理詰めの営業』か?

2018-06-26 21:07:24 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
少額で単純な営業は、徐々にインターネット販売に置き換えられ、営業の活躍できる範囲は狭められています。

今、どれだけ皆さんの周りに営業がいますか。まず、個人として考えてみましょう。

・Bicカメラの店舗に行って欲しものをチェックし、販売員から情報を仕入れて、ネットで価格の安いところから購入。
・中古車情報をネットで検索し、気に入ったものを実店舗でチェックし、販売員と価格交渉し購入。
・車の保険はサービス内容、価格、評判をネットで調査し、ネットで契約。
・葬儀屋をネットで探し、価格と評判をチェックし、葬儀を依頼。

会社の場合でも、
・文房具はコーポレート契約を結んだ後は、ネットで発注。
・名刺は必要情報をメールで送り、版下をチェックして、印刷を依頼。
・出張に必要な航空券をネットで購入し、ホテルもネットで予約。

購買行動の多くの部分が、ネットに置き換わり、営業の入る余地が少なくなっていることが分かります。

営業がプロとして活躍できるのは、コンプレックスセールスです。このコンプレックスセールスを戦略的に進めるツールが『理詰めの営業』です。

縮小する日本市場を出てカルチャーの異なる海外に展開する企業にとっては、精神論ではなく、ロジカルに顧客を攻める手法で、現地の営業を育てる必要があります。カルチャーが異なっても、理解できる営業手法が、『理詰めの営業』です。

製造現場でのコスト低減努力よりも、値下げしない営業の頑張りが、会社の利益率を大幅に改善します。

「営業、頑張れ!営業のやる気で会社も元気になる!」おっと精神論になってしまったかな。
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『理詰めの営業』 - 開発の経緯

2018-06-17 21:13:53 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
マーケティングの話は、一先ず終了とさせていただき、今回から、『理詰めの営業』の話に移ります。

一般的に、営業には一年間の売上目標や新規顧客開拓の目標を持たせます。売上目標は会社全体の目標を事業部、部、課、そして個人へと落とし込んだ数字です。新規顧客開拓は、いままで販売できていない顧客や業種などをターゲットにした営業、あるいは、新分野への進出です。

私がいたK社(半導体製造向け計測装置メーカー)では、ベースサラリーの他に売上げに応じたコミッションを払っていました。ただし、ベースサラリーの1.5倍までといったように上限は決めていました。また、新規顧客開拓に関しては成功度に応じてスポットボーナスを払う仕組みにしていました。例えば、顧客からデモ依頼が来てデモが成功すれば10万円、見積依頼が来れば15万円、受注できれば50万円といった具合です。受注までに時間がかかる製品でしたので、途中の段階でもスポットボーナスを払い、営業のやる気を維持するようにしていました。

毎週、営業会議を開いて、案件を一つ一つチェックすることになっているのですが、案件の詳細が見えにくく、進捗を十分に把握することができず、実際には売り上げの数字だけを追いかけることが多くなりました。案件の中身が見えないので、適切なアドバイスもできない等の問題もありました。

そこで、営業に向けた精神論ではなく論理的で明確な指針ができないか、個人の資質にのみ依存しない営業、営業の可視化の方法論を確立できないかと考えました。目指したのは、営業プロセスの標準化やマニュアル化ではなく、顧客の動きや環境変化に対して動的に、柔軟に対応するためのツールの作成と営業を論理的に行う方法の開発でした。

そのときの経験をベースに、論理的に営業のステップを受注に向かって一歩一歩進める営業の方法論を『理詰めの営業』としてまとめました。ここで言う営業のステップの基本となるのは、今まで見てきた「購買行動と営業プロセス」にある営業のステップです。もちろん、具体的な営業ステップの詳細は、会社によってことなります。

この営業の方法論は、もともとは価格競争の土俵に上がるのを避け、付加価値を売るという意味で『バリューセリング』という名前を使っていましたが、顧問先の社長から「将棋や囲碁のように論理的に、一手先、二手先を考えて営業をする手法だね」と言われ『理詰めの営業』という名前に変えました。

この手法の開発では、コンプレックスセールスと呼ばれる法人営業への適用を目指していました。

コンプレックスセールスとは、高額の商談や技術的に複雑な商談で、

・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数
 の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。

例えば、プラント建設やIT関連システム、生産設備、ビル管理などは好事例でしょう。

『理詰めの営業』は、上記のコンプレックスセールスを成功に導く手法です。少額でシンプルな営業ではなく、高額で複雑な案件に対応できる営業プロフェッショナルを育成します。

そして、営業としてのシンになる考え方・アプローチの方法を確立できます。
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「営業がやるべきことがわかる」 - 第七段階:納品の推進と検収の調整

2018-06-17 18:40:12 | マーケティングと理詰めの営業

第六段階で一つのサプライヤーが選択されます。競争を勝ち抜き受注が確定した段階です。営業としてはほっとする瞬間です。ここからは仕上げの段階です。

『購買行動と営業活動』には、さらに、もう二つのステップがあります。一つは「納品の推進と検収の調整」で、もう一つが「納入後の成果のフィードバック」です。

第七段階で、サプライヤーは顧客から注文書を受け取りますが、その前に検収条件を整理しておく必要があります。

納入までの間、あるいは、納入後のテストで追加の問題が発生する場合があり、それに応えるために検収が延び延びになり、売り上げがたたなくなるなどの問題が発生する場合があります。追加の問題が発生した場合、それがもとの注文書の範囲内で処理すべきか、あるいは追加の仕様として別途処理されるべきかが判定できるように仕様書、検収条件などを書面として整備しておきましょう。

営業は顧客との板挟みになりますが、きちっと線引きをして問題を解決し、かつ、顧客との関係も損なわれないようにする、それが営業です。「そうは言っても」と言っているうちは二軍の営業です。

さて、サプライヤーは、顧客から注文書を受け取った後(あるいは内示後)、顧客と共同で、納入に関する諸手続きの設定と手続きに関する取り決めを行います。

納期や立上げのスケジュールの確定、納入のための搬入経路の確保、立上げのためのスペースの確保、試験用材料・工具の用意、電気・ガス等の手配もこの準備の一部です。営業は、自社のサービス技術と打合せを行い、納入・立上げのプランを行います。

また、営業は、開発が必要な製品・サービスについては、納入までの進捗管理、顧客への進捗の報告を行います。

そして、実際に製品・サービスを納入し、立ち上げて試験を行い、収集したデータをもとに検収会議を開催し、検収をいただきます。

「営業はきちっと線引きをして問題を解決し、かつ、顧客との関係も損なわれないようにする」と前述しましたが、実際には営業は根回しをして、滞りなく検収会議が行われるようにします。

そして、そのまま顧客と飲み会というのが私のパターンでした。

顧客のキーパーソンやエンジニアだけでなく、自社のエンジニアにも参加してもらい、今後のエンジニア同士の協力関係の構築にも心がけましょう。

そして、第八段階として「納入後の成果のフィードバック」がありますが、ここでは省略します。

繰り返しになりますが、営業活動は『顧客の購買意思決定を支援・誘導して顧客の購買による問題解決を支援すること』です。各購買段階での顧客支援と誘導を戦略的に行い、購買(営業)の段階を進めるツールが「理詰めの営業」です。
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「営業のやるべきことが分かる」 - 第六段階:交渉と譲歩、交渉条件の整理、社内コンセンサスの取付け

2018-06-01 03:03:26 | マーケティングと理詰めの営業
顧客はサプライヤーが提出した見積書や提案書を比較検討します。また、サプライヤーと面談し、機能、価格、納期等の具体的な条件の折衝を行います。そして、最終的に1社に内定通知を出します。

営業は提案書提出後の交渉に臨む準備として、価格、納期、導入後のサポートなど交渉のポイントを整理し、どこまで妥協できるか、その場で回答するかどうかなど、社内の関係者と打ち合わせをして決めておくことが重要です。

失敗例として、

案件を絶対に取りたいが故に価格交渉時に大幅な値下げを購買に約束。帰社後、社内の同意、承認が得られず頓挫。「下げなきゃとれねーんだよ」「客の言うことが聴けないのか。」と上司や関係部署の面々を恫喝。結局、この案件から外され、上司がお詫びに。

営業は案件を取りたいがために前のめりになりがちです。また、案件を落とせないプレッシャーもあります。営業が単独で決断、回答するのではなく、チームで決めて回答する仕組みにしましょう。

競合の出方も重要なポイントです。価格をあまり下げずにオプションをただで提供したり、導入後のサポートを厚くしたりする会社もあるでしょう。例えば、「導入後、半年、エンジニアを最低1名常駐」などです。

顧客側の状況も日々、変化しており、RFPに記載されている納期が、顧客側の事情により遅れることもあります。そのような状況をつかんでおけば、納期は楽にコミットできる、場合によっては早めるとホラをふくこともできます。

もう一度、選定基準に立ち返り、交渉のポイントを整理し、社内のコンセンサスを取り、交渉に臨む役者を整えましょう。即答が必要な場合は、営業だけでなく開発エンジニア、サポートエンジニアの責任者に同行してもらったほうが良いでしょう。

ただ、単なる当て馬であると分かっていてほぼ絶対に受注できない場合は、最終提案として超ローボールを投げるのも手です。顧客の当該案件担当者は、「何故こんなに安いA社から買わないでB社にするのか」を説明せねばならなくなり、本命のサプライヤーB社に対しても価格低減を求めることになります。これにより本命サプライヤーB社の財務体質を弱らせることができます。そこまで考えるのが営業です。
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