法人営業に最適な「理詰めの営業」で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。自分のシンになる営業方法を確立し、自信に。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 緻密なの質問設計でゴール達成!!

2021-01-17 18:31:57 | 『理詰めの営業』分析ツール
『会議設計』のゴールは、営業ステップを進めること。「質問設計」で、どのような質問をどのように組み合わせたらゴールを達成できるかを考えます。

例えば、顧客に「よし、x月x日にデモをやろう」と言わせる、あるいは「じゃぁ、お宅にも見積もりに参加してもらいましょう」といわせる、そのためにはどのような質問すれば良いか、質問を設計します。

営業に必要な能力にはヒアリング力と質問力があります。顧客に営業と会う価値を感じさせ、顧客の本音を聴き出し、必要な情報を引き出し、次の営業ステップに進むコミットメントを得ることができる能力です。

最も大切なことは顧客の問題・課題を抽出し、育成して、解決しなければならないことを「顧客の口」で語らせる質問力です。受注や進展で終わる会議では、継続や不成立で終わる会議よりも、顧客の話す割合が高いと言われています。「顧客に語らせる」これがポイントです。



「オープンな質問」と「クローズな質問」

さて、よく耳にするのは、質問には「オープンな質問」と「クローズな質問」があるということです。まず、「クローズな質問」とは、「はい」または「いいえ」で答えられる質問です。一方、「オープンな質問」とは、「はい」や「いいえ」よりも長い答えが必要となる質問です。

例えば、
営業:「来年度の予算は決まりましたか」
顧客「はい」
は「クローズな質問」であり、
営業:「来年度の予算決定のスケジュールはどうなっていますか」
顧客:「今月末に社長が承認すれば完了です」
は「オープンな質問」と言えます。

これは本当でしょうか。
営業:「来年度の予算は決まりましたか」
顧客:「はい、事業部としての予算は決まりましたが、まだ、社長の最終承認はおりていません」
は「クローズな質問」でしょうか。「クローズな質問」のつもりが、「オープンな質問」の回答に代わっています。

「クローズな質問」、「オープンな質問」の定義が、質問の内容なのか、回答の長さなのか分からなくなります。

「クローズな質問」と「オープンな質問」を組み合わせ営業の目的を達成するためのトレーニングが、重要な営業トレーニングの一つである時代がありました。
しかし、先ほど述べたようにこれらの質問の考え方には疑問な点が多く、確立された営業手法にはなりませんでした。

とくにコンプレックスセールスでは、この「クローズド質問およびオープン質問」という考え方は、役にたたないことが分かっています。

ここで、コンプレックスセールスの定義をもう一度。確認してみましょう。

このコンプレックスセールスとは、

・高額の商談や技術的に複雑な商談
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注、受注から納品に至るまで長期間、複数の商談が必要
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要
・意思決定は商談の場以外のところ
・納品後のフォローも重要

という特徴の営業です。

例えば、プラント建設やITシステム導入、生産設備の購入、オートメーションの導入、ビル管理、不動産の購入、大規模な移転などは好事例でしょう。

コンプレックスセールスの場合は、投資額も大きいため顧客の課題や問題の深刻さを浮き彫りにし、それを育てるプロセスが絶対に必要です。

それが下表の示唆質問です。顧客の現状を知り(状況質問)、問題や課題を探り出し(問題質問)、その問題や課題の深刻さを浮き彫りにし、それを顧客の口で語らせ(示唆質問)、提供するソリューションの価値を認識させる(解決質問)といった一連のプロセスが必要となります。

・状況質問:顧客の現状に関する事実、データ、情報を収集
・問題質問:顧客の抱える課題、問題、不満(潜在ニーズ)を把握
・示唆質問:顧客が抱える課題、問題等が引き起こす影響や結果を明確にして、深刻さを浮き彫りにする
・解決質問:顧客に解決策の価値や重要性を認識させる

この他に、

・関係構築質問:本題に入る前に場を和ませる
・購買プロセス質問:注文を取るために、踏まねばならなおスッテプを理解
・予算質問:予算あるいは追加予算の可能性を探る

も、適宜加えて、「質問の設計」をします。

次回は、「質問設計」の事例を見ていきます。

コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 会議設計 - ゴールを達成するために提示する情報

2021-01-17 18:05:34 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
さて、次は「ゴールを達成するために提示する情報」および「提示する理由」の記述です。

どのような情報をキーパーソンは必要としているか、どのようなプレゼンをすればゴールを達成できるかを考えます。また、何故、そうするのかを検討します。
特に「自社のポジション」で述べた強みを活用し、ネガティブな問題がある場合は、そのリカバリー方法を検討します。

強みを活かす例としては、

・提示する情報:「マーケットシェアのデータ」
・提示する理由:「当該顧客への納入実績がないためマーケットシェアNo.1を印象付ける」

あるいは、

・提示する情報:「サービスサポート体制の重要性」
・提示する理由:「当該顧客での評価の高いサービスサポート体制の重要性を再認識させ他社との差別化を図る」

などがあります。

また、弱点のリカバリーをこの会議で行う必要がある場合も、どのような情報を用いて行うかを検討します。

例えば、「先の投資では失注している」という弱点に関しては、その原因を明確にし、「前回、必要とされながら備えていなかった機能は、最新バージョンのソフトに搭載され、実績を積んでいる」ことを納入実績やデータで示すことなどは有効です。

何故、このようなことまで書いて残すのか?

『理詰めの営業』の「会議設計」では、会議の成功・不成功に関わらず、会議終了後に「振り返り」を行うことを原則にしています。その振り返りのベースになる情報に曖昧さを残さないために書いておきます。
もう一つの理由は、意思統一です。出席者が決めたことを文書化して共有します。とくにグローバル化して様々なバックグラウンドの人がチームメンバーである場合は、書きものにして意思統一を図る必要があります。

次回からは、『会議設計』のハイライト、質問設計に入ります。

海外の営業がする質問事例も取り上げています。「日本のお客さんの前ではちょっとそれは?」という質問も取り上げていますので、それなりに楽しんでください。


コメント

『理詰めの営業』- ニューノーマル下で求められる営業のスキル

2021-01-11 15:10:45 | コラム
年始の仕事は、4日からクライアントの職場で始まりました。しかし、早々に、緊急事態宣言が出て、在宅勤務となりました。

営業は在宅勤務にはならず、人事や総務など管理部門が在宅となり会社としては50%在宅率と帳尻を合わせている会社もあるかと思います。

ニューノーマルと呼ばれているこのような状況下、必要とされる営業のスキルの変化をまとめてみました。

そもそもニューノーマルとは、ある出来事が社会に変化を起こし、新しい常識や常態が生まれること(New Normal)です。既存のビジネスモデルや経済理論が通用しなくなったり、新しいビジネスが急速に広がったりします。

過去2度起きたニューノーマルは、

・2000年代初頭のインターネットの本格的な普及、ネット社会の到来
・2008年のリーマンショック後の深刻な経済危機、企業責任の追及、資本主義社会から持続可能な社会への変革

と、確かに社会に大きな変革が起きています。

そして、2020年の新型コロナ感染症。人と人との接触機会の低減、ソーシャルディスタンスの維持、不要不急の外出の自粛など生活様式の大きな変容を生じています。



今回のニューノーマルは、人の働き方に大きな変化を及ぼしています。

私のクライアントを例に取りますと、

マスク着用や手洗い・アルコール消毒などの他に新たなルールが適用されています。例えば、
・事業所内部署間や階をまたいだ移動の禁止
・密な状態での会議の禁止、社員ルームの廃止
・外部の人との接触禁止
・時差出勤の推進
・そしてテレワーク(在宅勤務あるいはワーク・フロム・ホーム)の強制的な実施

この一年で一般化したテレワークは、大人数が集うオフィスに出社せず、自宅やサテライトオフィスで、インターネットを活用し、業務を遂行する働き方です。メリットとしては、

・従業員の交通費やオフィスの賃料を削減
・自宅で育児や介護に携わる人材の雇用や地域に依存しない雇用が可能

などがありますが、一方で、

・労務管理が複雑化
・チームワークやモチベーションの低下
・部下の育成が困難
・情報セキュリティリスクの増加

などの課題もあります。

上記のような新たなルールやテレワークが普及すると、会議や研修はオンラインで行うことになります。

オンライン会議や研修は、場所を選ばずに実施・参加可能というメリットがありますが、一方で、相手の表情や仕草などから読み取れる情報が対面時よりも少ないというデメリットがあり、より密なコミュニケーションが必要となります。



さて、営業についてみてみましょう。

新型コロナウイルス感染拡大により、次のような問題・課題が発生し、新たな対策が取られつつあります。

・顧客訪問ができない
緊急事態宣言が出て、休業する顧客も続出しています。また、顧客の在宅勤務の増加や感染を防ぐための面談禁止もあり、訪問しても顧客に会えない、あるいは、面談のアポそのものが取れない状況になっています。
このため、Web会議を活用したオンライン商談の実施、メールによるコミュニケーションが増加しています。

・社内会議ができない
在宅勤務が推進され、また、密な状態を防ぐため、関係者を一カ所に集めての会議ができないため、社内といえどもWeb会議を実施し、メールによるコミュニケーションが増加しています。

・イベントの中止
コロナの影響で、業界を代表するような展示会やイベント、自社で開催するイベントがのきなみ中止になっています。このためウエブセミナーの実施やSNSの活用に移行しています。



以上のように営業の手法が変化したため、今まで以上に営業のICTリテラシーが求められています。

コンピュータなどの情報機器は、IT関連企業だけでなく、あらゆる業種の企業に導入され、コンピュータを使って仕事をすることが当たり前になっています。また、日々の生活でもパソコンや携帯電話・スマートフォンなどを活用して、メールやショッピング、株の取引、レストランやホテルなどの予約などすることが、生活の一部になっています。

ITとはInformation Technologyの略で「情報技術」のことです。コンピュータやデータ通信に関する技術の総称です。コンピュータやインターネットを中心とするネットワークを活用し、会社の業務や生活に役立てるための技術を指しますが、現在は、「ICT」という用語が使われることも多くなりました。

ICTはInformation and Communication Technologyの略で、情報通信技術のことです。通信技術を活用したコミュニケーションを指しており、ICTリテラシーは、情報化社会に対応する能力という意味です。

営業に求められるICTリテラシーの第一は、メール作成スキルです。

メールはビジネスツールとしてとっくに普及していると思っていましたが、新型コロナ対応での役所とのやり取りの基本はなんとFAXとのこと。いまだに、電話やFAXをコミュニケーションの主要手段にしている人が数多くいることが分かりました。

在宅勤務が増えると、郵送やFAXよりもメールの添付物として見積書等の書類を送った方が便利です。また、まだ慣れていないせいか、一流会社の部長クラスからさえも非常識な文面の「イラっとする」メールが時々来ます。相手を傷つけない、怒らせないメールの書き方を学ぶ必要があります。

必要なICTリテラシーの二番目は、Web会議システムの活用スキルです。

Web会議では説明資料をPCの画面上で共有し、商談を進めます。誰かにPCの操作を誰かに依頼して、自分はしゃべるだけということも可能ですが、自分でテキパキとPCの操作を行ったほうが、顧客の印象は良いでしょうし、会議もスムーズに進みます。

最後が、スライド資料作成スキルです。

プロジェクターで資料を見せていた時代からPCで資料を共有する時代に変わったため、資料に記入される情報量は増えてきました。これも誰かに手書き原稿を渡し、資料を作成してもらうことは可能です。しかし、自分で作成し、プレゼンのリハーサルをしながら変更も自分でする、というやり方の方が、タイムリーにことが進みます。

Web会議では、対面の会議と異なり、相手のチョットした表情の変化や仕草など見つけ、臨機応変に対応するといったことが難しくなります。そのためにも一つ一つの会議の事前準備を十全よりもしっかり行う必要があります。その準備に役立つのが、「会議設計」です。

「会議設計」で戦略を考え、資料を準備し、役者を揃え、リハーサルをしてWeb会議に臨む。これが営業を成功に導く基本です。


コメント

『理詰めの営業』- ビジネス環境の変化と伴に進化を続ける「理詰めの営業」。スキルアップに飽和点はない。

2021-01-02 22:18:52 | コラム
コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 -「会議設計」は、一休み。

2020-12-20 22:03:12 | コラム
今年もあと10日あまり、ブログの更新は正月休み明けまでお休みします。

“『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 -「会議設計」”も区切りがいいところなので、とは言い難いのですが、
年末年始の時間を使って、営業の研究や「ライフデザイン」の見直し、2021年の年間計画の作成を行う予定です。

幸い仕事の方は、コロナ禍で苦しい思いをしている人が多い中、忙しい毎日が続いており、有難い一言です。

先日、米国に住んでいる友人Y氏からクリスマスのメッセージが届きました。

確か1987年だったと思います。職場の同僚であったY氏は、会社を辞めて奥さん、子供二人とアメリカに移住しました。

その後、MBAを取得し、シリコンバレーの半導体企業で大活躍していました。

「リスクを取り、努力を重ね、成功する」、Y氏を見ていると、会社に流されずに、自分で道を切り開いていくことの重要性を再認識させられます。

私も「歳だから」といった言い訳をせずに、次の目標に向かっていきたいと思います。

在宅勤務が増え、通勤時間が減った今、その時間を有効に使い、今まで以上に営業の研究に励みたいと思います。

<この方とも来年、お別れ。でも、この4年間の遺産の影響は大きい>


では、また来年!
コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 -「会議設計」- 相手の期待を予想する

2020-12-15 00:35:10 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
私は営業をサポートする仕事もしていますが、逆に発注側としてRFPの作成・ベンダーの選定なども支援しています。

今日も2件RFPを作成し、来年2月末をめどにベンダーの選定をすることになりました。

先週の記事では「相手の期待を予想することにより、打ち合わせに必要な資料や話の内容、順番、役者の選択などを適切に行えるようになります」と書きました。

さて。このRFPの過程で、参加する会社の営業は、「私がどのようなことを期待している」と予想して、どのような行動を取るのでしょうか。あるいは、そのようなことは全く考えずに、対応してくるのか?おそらく後者でしょうね。

いずれにして、営業を観察できるのは、大変、楽しみです。

さて、本日のテーマは、「自社のポジションを探る」です。

客先での自社の現時点のポジションを整理・分析し、「良好」「問題あり」の判定を行います。

例えば、「キーパーソンと課題を共有できている」「過去の実績は他社の2倍」「対応の速さについては高く評価されている」「財務的に安定(無借金経営)」などはプラスに評価できます。

一方、「福岡支店では失注している」「総務の担当者が弊社のチームリーダーを嫌っている」などはマイナスに評価されます。会議の直近に起きた故障もマイナスです。

私自身も、実際、顧客訪問の直前にシステムダウンが起き、新製品の売り込みに苦労したことがあります。

いずれにしても、「顧客基礎情報分析」「問題・課題・ニーズ分析」「関係顧客分析」「競合分析」「自社分析」から出てきた強み・弱み・課題を整理し、会議に影響のある項目を記入します。

その中で、営業ステップを前進させるために何をどうこの会議で活用し、何をどうリカバーするか検討します。すなわち、自社の強みを活用し、弱みをリカバーする方法を考えます。

例えば、対応の速さを顧客が高く評価しているのであれば、プレゼンに自社のサービス体制や実績を加え、他社との差別化のポイントにします。

逆に福岡支店で失注しているのであれば、失注原因を明らかにしてそのリカバーができていることを明確し伝えます。

次回は、「ゴールを達成するために提示する情報」および「提示する理由」の解説です。




コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 -「会議設計」- 相手の期待を予想する

2020-12-07 22:40:45 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
2020年もまもなく終りですね。

売上に余裕のある営業は、今月無理に注文を取らないで来年に持っていこうと考えていることでしょう。

一方で、売上未達成の営業は、あと4週間でなんとかクローズしなければなりません。売上未達成では、営業を外されるかもしれません。外資系にいた私も、四半期ごとのプレッシャーはかなりありました。

各案件は、『理詰めの営業』で最初に作った営業ステップのどこにあるのでしょうか。あと4週間でクローズできる案件は、最終ステップに近いものに限られるでしょう。それを見極めた上で、

・手持ちのリソース(社長、役員、上司)を最大限に活用して顧客を説得。
・顧客の最終意思決定者にダイレクトにコミュニケーションを取り、決裁してもらう。そのために、短時間で琴線に触れるプレゼンを準備。決裁と同時に関係部署に発注の手続きを取るように指示も出してもらう<これをSkypeなどでやらねばならないことが昨今の難しい点>
・今月中の発注を条件に値引き。そのためにはある程度値引きの余地を残してあることが前提。
・発注が決まっていて顧客の事務処理が遅い場合は、納期に影響を与える等伝えてプッシュ。例えば、生産のキャパが限られているので今ある製品は他の顧客に回ってしまうなど。

などのアクションを取りましょう。

これらができるか否かは、各案件の状況を社長・役員・上司等が共有化していて、かつ、関係顧客を十分に理解し顧客と良好な関係が構築できているかにかかっています。

『理詰めの営業』の各種分析とそれに対するアクションが取れているかどうかなのです。

*****************************************************************************************
さて、本日のテーマは、「相手の期待を予想する」です。

その前に、ここまでの流れを整理してみます。

まず、「会議のゴールを設定」します。
そして、そのゴールを達成するための具体的な「シナリオを作成」します。
ここから、目標達成に必要な「必須出席者(顧客および自社)の確認」、「確認事項・不足情報の洗い出し」を行うというものでした。

次に、顧客の各出席者がどのような期待・考えを持って会議に来るのかを予想します。

今回の事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。目的はRFPへの参加の可否決定に必要な詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。

その打ち合わせのための「会議設計」です。

先週の記事では、「V社との打ち合わせでは、V社の担当者だけがいいのか、上司にも出ていただいた方がいいのか、どちらが詳細情報を聞き出せるか、営業の判断が求められます」とありましたが、

今回はV社の担当者とだけ面会(または電話会議で打ち合わせを)すると仮定しましょう。

V社の担当者の期待はどうでしょうか。

今までのV社との関係の密度や経過により、想定される内容は異なりますね。

例えば、

a.(現在のベンダーには不満)、是非、代わりのベンダーがほしい。ついては、この会社のことをもっと知りたい。
b. この会社のことは良く知っているので、是非、RFPに参加してもらい、選択肢の一つになってほしい。
c. この会社のことは良く知っており、是非、RFPに参加してもらい、この会社に任せたい。
d. 大阪支社はこの会社に任せているが、担当者やリーダーが頻繁に変わるようだ。大丈夫だろうか。とりあえずRFPに参加してもらおう。
e. 三社に見積もりを成立させるため、参加して欲しい。本命は現行ベンダー。

この事例は、ビル管理ですが、上記のシチュエーションは、他の業種でも当てはまるでしょう。さて、あなただったらどう対応しますか。

相手の期待を予想することにより、打ち合わせに必要な資料や話の内容、順番、役者の選択などを適切に行えるようになります。



コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 -「会議設計」- 必須出席者を考える

2020-11-29 22:10:44 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
「できる営業」は、会議のゴールを達成するまでの議事進行のシナリオが頭の中にできています。それまでの経験と訓練から導かれるもので、シナリオだけでなく会議を進めるための問題点や不足している情報なども即座に整理できます。



シナリオを考え、それが決まったら、「最大のゴール」を達成するために必要な人をリストアップし、会議への出席を依頼します。

会議への招集を担当者に任せるのではなく、営業自らキーパーソンに連絡し、出席を依頼すべきです。そのためには、キーパーソンに事前に会い、良好な関係を構築しておく必要があります。

相手任せではなく、営業自ら積極的に、能動的に会議をプランし、営業ステップを前に進めるように策(戦略というほどではない)を練ります。

さて、ビル管理の事例について考えます。

この事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。目的はRFPへの参加の可否決定に必要な当該案件の詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。

先週の記事に書いたように、

Step2の打ち合わせで調査・確認しなければならないのは、
・案件の内容:最初のV社からの電話で、大まかには聞いているでしょうが、RFPの対象となる物件、業務範囲など案件の内容を確認
・スケジュール:RFPの資料の入手から提出、受注した場合の業務実施時期の確認
・RFPの条件:三社見積りか、競合はどこか

「もっと重要なこと」は、
・V社が現在のベンダーに満足しているか
・満足していないとしたらどんな点か
・満足している場合、ベンダーを変更させることができるか
といった点を確認することです。



さて、V社との打ち合わせでは、V社の担当者だけがいいのか、上司にも出ていただいた方がいいのか、どちらが詳細情報を聞き出せるか、営業の判断が求められます。
もちろん、こちら側も日ごろ接している営業だけがいいのか、上司や他の部署の人も出席すべきか、などゴールを達成するための「役者」を考える必要があります。

ちなみに、上記のような調査項目のうち「もっと重要なこと」についてメールで聞いても、回答してこないでしょう。証拠が残るようなことはしたくないからです。

新型コロナ騒動の中、面談は難しいかもしれません。最低でも電話会議を行い、ゴールを達成できるように「会議設計シート」を用いて準備しましょう。

次回は、「相手の期待を予想する」です。

コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 -「会議設計」- 最大のゴールと最小のゴールを決める

2020-11-23 16:16:43 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
私は、営業支援の一環として、営業に同行し、顧客を訪問します。そして、営業支援の初期段階では、営業に以下のような質問します。

私:来週の訪問の目的は
営業:新製品のデモへの勧誘です
私:誰がキーパーソンですか
営業:開発部の渋谷部長のようです
私:他には
営業:生産技術部の原宿部長だと聞いています
私:担当者には、決定権はないでしょうけど、影響力はないのですか
営業:担当の大崎さんは細かい人で、皆から嫌われているようです
私:来週の会議に出てくるのは誰ですか
営業:大崎さんにお願いして関係者を呼ぶようにお願いしてあります
私:・・・・・・・・     
   
さて、入社3年目の営業の稲田さん、会議の目的は、「新製品のデモへの勧誘」と明確ですが、キーパーソンが誰かは少々自信なさそうです。また、キーパーソンと思われる渋谷部長や原宿部長が会議に出席してくれるかどうかも不明確です。キーパーソンの招集を皆から嫌われている担当者任せで良いのでしょうか。

結構、あいまいなまま会議を行おうとしている、これが営業現場の実情です。もっとしっかり会議の準備をし、必ず営業ステップを前へ進めるようにしましょう。

では本題に入ります。添付は会議設計シートの最初のページです。



会議を行う場合は、先ずゴールを明確にしましょう。ゴールは、「情報を集める」、「顧客と良好な関係を築く」といった抽象的な目標では不十分です。もちろん、情報収集や顧客との関係構築は重要ですが、これらはすべての会議の基礎部分であたりまえのことです。

『理詰めの営業』では、「次の営業ステップ」へ進めることがゴールになります。先程の会話の例ように、次の営業ステップがデモを行うことであるなら、「いつ、どのように、デモを行うかを決定する」がゴールとなります。

また、『理詰めの営業』では、会議設計シートにあるように、「最大のゴール」と「最小のゴール」を決めることにしており、前記の場合であれば「デモの日程・内容を決定」が「最大のゴール」であり、「デモを行うことは決定。日程・デモ内容については次の会議に持ち越し」が「最小のゴール」となります。つまり、最低でもここまで営業プロセスを進めることを「最小のゴール」とします。

今回の事例の営業ステップをもう一度見てみましょう。



ステップ2は、「顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)」で、そのための会議設計です。V社からお声がかかったので、ステップ3で「RFPに参加させていただきます」とV社に伝えれば、前へ進んでいくことは確実です。

ステップ2番の打ち合わせで調査・確認しなければならないのは、
・案件の内容:最初のV社からの電話で、大まかには聞いているでしょうが、RFPの対象となる物件、業務範囲など案件の内容を確認
・スケジュール:RFPの資料の入手から提出、受注した場合の業務実施時期の確認
・RFPの条件:三社見積りか、競合はどこか

入手したスケジュールに沿ってRFPに回答できるか、受注した場合に人的リソースも含め対応できるかといった点を検討しなければなりません。大手の会社であれば問題なくできることでも、中小企業ではリソースに限界があるため、信用を無くさないためにも十分検討すべきことです。特に、人手不足な昨今、無理な受注は自分の首を絞めることになります。

しかし、もっと重要なことは、
・V社が現在のベンダーに満足しているか
・満足していないとしたらどんな点か
・満足している場合、ベンダーを変更させることができるか
といった点を確認することです。

V社が現在のベンダーに満足しており、ベンダーを変更する予定も可能性もない場合、このRFPに参加する意味はあるのか、つまり当て馬として参加する意味はあるのか、判断が必要です。

当て馬として参加する場合でも、V社で管理すべき設備の内容が分かり次回のRFPまでの戦略が立てやすい、三社見積もりが必要なV社の担当者に恩を売ることができる、最終的に2次ベンダーとして入り込める可能性がある、などメリットも考えられます。

V社が現在のベンダーに満足していなければ、不満な点を明確にし対策を練ることで受注の可能性は高まります。

このように、このビル管理の事例の場合は、初回の打ち合わせでの調査が大変重要になります。

さて、できる営業は、会議のゴールを達成するまでのシナリオが頭の中にできています。次のステップは、そのシナリオ作成です。できるだけ、映画のようにイメージを頭の中に作っていきます。これにより問題点も見つけることができ、顧客からだけでなく自社からも出席してもらう必要がある役者も見えてきます。自分の案件で考えてみてください。

***************************************************************************************************************************
グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝やエッセイを公開中。

R-50 人生100年時代の私のライフデザインは、ここや!

齋藤信幸のロングステイは、ここ。
***************************************************************************************************************************


コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 -「会議設計」- ゴールを設定しゴールから逆算して「シナリオ」を考える

2020-11-15 00:55:16 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
会議設計ツールの詳細を紹介する前に、会議設計の考え方をお話しします。

まず、「営業ステップの定義」シートや以下の分析シートを記入し、会議の目的(ゴール)を設定します。これらは、関係者が集まり意見を出し合いながら行います。営業自身で作成してもかまいませんが、関係者の間でこれらの情報を共有できていなければなりません。

・営業ステップの定義
・顧客基礎情報分析
・問題・課題・ニーズ分析
・関係顧客分析
・競合分析
・自社分析



ゴールは、次の営業ステップへ進むこと、あるいは、特定のボトルネックになっている課題や問題の解決などになります。

営業はそのゴールを達成するためにはどうすべきか、「会議のシナリオ」をゴールから逆算して考えます。

・サービス業の事例

私が所属するNPOが行っている「障がい者によるお墓掃除」の事業をある施設の責任者に依頼する事例です。

ある福祉施設の施設長さんから紹介を受け、別の施設(F園)の施設長さんに事業を紹介にいくことになりました。この活動の背景には、多くの福祉施設で、そこに通う障がい者(利用者様といいます)の工賃が極めて低く、それを向上させる必要があるという事情があります。工賃は、サラリーマンの月給と考えていただければよいです。利用者様は、施設でクッキー作りや組み立て作業などを行い、代価として工賃を貰いますが、全国平均で月に1万2千円程度。とても自立できる金額ではありません。

会議のゴールをF園施設長さんのこの墓掃除事業への参加の同意です。
そのためには、施設長さんに「よしウチも参加しよう」と言ってもらうための資料や質問の準備が必要です。
そのためには、具体的に利用者さん、一人当たりどれくらいの工賃向上になるか試算し説明
そのためには、墓掃除の料金体系案を説明
そのためには、墓掃除の作業方法を説明し、F園でも実施が容易であることを理解していただく
そのためには、工賃向上の重要性を認識していただく
そのためには、障がい者の自立の必要性を認識していただく
そのためには、F園の作業内容を理解し、共感を示す
そのためには、会議の前に作業現場を見学
・・・・・・

このようにゴールから逆算してシナリオを作ります。

・製造業(生産財)の事例

メーカー(生産財)の場合の事例です。例えば、ゴールが「製品Aのデモを実施すること」だとします。

そのためには、「意思決定者のMさんからデモ実施の同意を得る」
そのためには、「よし、デモして確認しよう」と顧客に言わせるための質問を準備
(質問については「質問設計」で詳述)
そのためには、「推定される生産量と歩留まりでの年間推定損失額の計算」
そのためには、「Mさんがもっとも心配している歩留まり改善の実現方法を説明」
そのためには、「Mさんに必ず出席してもらう」
そのためには、「Mさんに信頼されている部下のSさんから出席依頼」
そのためには、「・・・・・・・・・・・・・・・・」

といったように、ゴールから逆算して「シナリオ」を作ります。

また、シナリオができたら、会議の開始から終わりまでを頭の中でシュミレーションしてみます。たとえば、

「Mさんが入室。初めて訪問する事業部長と名刺交換。最近の業界のトピックスなどをネタに雰囲気を和らげる。議題の説明。歩留まり改善のプレゼン。デモの承認を得るための質問。承認。デモ実施の詳細検討。お礼。」

といったことを映画のように頭の中にイメージします。

それを社内の関係者を集めて検討し、当日の顧客の出席者、社内からの出席者、議題、会議での質問内容等も含めて決めます。つまり、営業の作成したシナリオを皆で検討し、更に詳細で良いシナリオに仕上げていきます。

***************************************************************************************************************************
グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝やエッセイを公開中。

R-50 人生100年時代の私のライフデザインは、ここや!

齋藤信幸のロングステイは、ここ。
***************************************************************************************************************************

コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 顧客と初回打ち合わせ-「成功した会議」とは?

2020-11-07 22:17:24 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
営業ステップを進めるためには、会議を有効に活用することが必要です。そのための準備として会議の設計を行います。『理詰めの営業』では、会議の成功・不成功を以下のように捉えています。

「成功した会議」と言える会議の例は、以下のとおりです。
① 具体的な課題が判明:
競争が激しい業界ほど、情報のリークを恐れ、自社の抱えている課題を簡単には教えてくれません。信頼関係を築き、それを教えてもらえたら営業的には大きな前進です。具体的な課題が分かって初めて具体的なソリューションの検討・提供が可能になります。
② 詳細な投資計画を入手:
上場企業であればある程度の投資計画は、各種メディアから入手できるかもしれません。しかし、具体的で詳細な投資計画となると難しい場合が多いものです。購買から見積り依頼が来てから競争に参加するのでは遅すぎます。投資計画をどこよりも早く知り、計画立案段階からインサイドサプライヤーとして顧客を支援することが重要なのです。
③ 競合情報の入手:
その投資に絡んでくる競争相手の情報です。スポーツの試合と同じで相手のチームの研究は必須です。相手が分かれば対応策も立てられます。既存顧客であればある程度予想はつきますが、全くの新規顧客の場合は、詳細な調査が必要です。

以上の例ように、「成功した会議」は、「必要な情報や貴重な情報を入手できた会議」です。

さらに、次のような会議も「成功した会議」と言えます。
④ デモに来ていただく
顧客の担当者や上司が、費用と時間を掛けてデモに来ることを会議で約束してくれれば、これは本気で購入を検討していることの証明になります。
⑤ デモ用のサンプルを提供していただく
デモ用のサンプル作成も顧客の費用と時間がかかることです。サンプルの提供も本気度の証明といえます。
⑥ 本社あるいは関係施設を訪問していただく
これも④と同じで、顧客の費用と時間を使うもので、前向きなシグナルと考えられます。
⑦ 更に上位の意志決定者と面会の約束
提案を担当者に説明し、納得していただき、更にその上司への紹介の約束を取り付けることができれば、これも一歩前進です。
⑧ 予算の追加
顧客の課題を解決するためには今の予算では不足、追加の予算が必要とお願いしたところ了承していただいた場合です。価格の安い会社に流れるのではなく、ソリューションの内容を評価していただいた結果です。
⑨ 購入の決定
営業プロセスの最後の方以外ではめったにないことですが、購入の決定を聴ければ最高です。

このように、「具体的な顧客の行動や出費を伴う結果が出た会議」は、成功したと言えます。
逆に、失敗した会議とは、「すばらしいプレゼン」「よさそうなサービス(あるいは製品)」などポジティブなコメントや「いつもアクションが早いね」等のお世辞はもらえたものの営業ステップが全く進んでいない場合が相当します。

小型の案件では、打ち合わせの場で受注あるいは不成立が明確になる場合が多いのですが、大型の案件の場合は、何回か打ち合わせを繰り返した結果、受注となるのが一般的です。このため、受注というゴールに向かう営業ステップを進めることができた会議は、成功した会議といえます。



「理詰めの営業」では、「次の営業ステップに進むことが確約できた」会議を成功した会議として、そのために会議を営業が能動的に、戦略的にプランします。

***************************************************************************************************************************
グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝やエッセイを公開中。

R-50 人生100年時代の私のライフデザインは、ここや!

齋藤信幸のロングステイは、ここ。
***************************************************************************************************************************
コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 顧客と初回打ち合わせ-『会議設計』とは?

2020-11-01 00:06:30 | 『理詰めの営業』会議設計ツール
さて、今回は会議設計の話です。

『理詰めの営業』の分析ツールを活用して、案件の中身を可視化し、チームで共有し、戦略を立案し、営業プロセスを進めるために重要な会議の仕切り方を細部に亘るまで『会議設計』で準備し実行します。



「営業ステップの定義」をもう一度見てください(現実に合わせて少し内容を削りました)。顧客からの打診の電話の段階で描けるのはこのくらいでしょう。





この事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。

目的はRFPへの参加の可否決定に必要な当該案件の詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。顧客基礎情報収集・分析シートでオープンになっている情報も収集する必要があります。

さて、最初にコンサル先でよく見かける情景を紹介します・・・・・

*****************************************************************************
ある営業のオフィスでの出来事です。

顧客のA社に新しいサービスの紹介に行った営業のサイトウ君が夕方会社に戻ってきました。
課長:「うれしそうだけど、今日の打合せは、どうだったの」
営業:「ご担当のBさんにお会いでき、面白そうなサービスだと言っていただきました」
課長:「それは良かったね。他には」
営業:「プレゼンもうまいねと褒められました」
課長:「よかったね。じゃあ、軽く飲みに行くか」

*****************************************************************************
この二人の会話をどう思いますか。

担当者と面会が出来て、新しいサービスの内容を上手に伝えられたようです。100点満点の営業でしょうか。

そもそもサイトウ君が顧客を訪問した目的とゴールは何だったのでしょうか。
単に担当者と面会してサービスの内容をプレゼンし、褒められて帰ってくることだったのでしょうか。

営業のステップを考えてみましょう。
この案件の受注までのプロセスを頭に描ければ、次のステップが何かは判るはずです。
今回の訪問は、次のステップに進むためのプレゼンだったはずです。

ですから、例えば「担当者の上司との面会の承諾を得た」「見積り依頼を受けた」「エンジニアとの会議を設定した」などの具体的なアウトプットがなければなりません。

次の営業プロセスに進むために、『理詰めの営業』のツールで集めた情報を分析し、しっかり会議を設計して、目的を達成するために「会議を仕切る」必要があります。

・営業ステップの定義
・顧客基礎情報分析
・問題・課題・ニーズ分析
・関係顧客分析
・競合分析
・自社分析

では、会議の仕切り方を学習しましょう。

***************************************************************************************************************************
グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝やエッセイを公開中。

R-50 人生100年時代の私のライフデザインは、ここや!

齋藤信幸のロングステイは、ここ。
***************************************************************************************************************************
コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 顧客基礎情報を収集・分析する

2020-10-25 10:51:44 | 『理詰めの営業』分析ツール
前回の「営業ステップの定義」は、詳しく書きすぎました。顧客から打診があった直後に作成できる「営業ステップの定義」は、もっとラフなものですね。

「顧客基礎情報収集・分析シート」は、顧客の現状分析に必要な基礎的情報の収集と不足情報に関する入手計画を立案するツールです。新規顧客の場合は最初のステップであり、既存顧客であれば最新情報に更新するステップです。

必要な情報は、企業業績、関連事業業績、中期・長期事業計画、投資計画、組織図、意思決定プロセス、当該企業の課題、競合情報などです。

これらの情報から顧客の全体像を把握し、当該案件実施の確度(本気度)や関係者の洗い出し等に活用します。提供する製品やサービスにより調査項目・内容にメリハリをつけるとよいでしょう。  

1.企業業績、関連事業業績、中期・長期投資計画、本年度投資計画
株主向けの情報や経済新聞、業界新聞などでこれらの情報を収集します。関連事業の企画部門や購買部門からも必要な情報を入手できる場合もあります。会社のトップ同士が懇意になり、日ごろの付き合いの中で、投資情報等を聞き出すというのがもっとも現実的で精度の高い情報入手方法と言えるでしょう。本年度あるいは中期の当該部門の投資計画に限って言えば、関連部門の部長・課長からも入手可能です。

また、予算案の作成、申請、承認、執行というサイクルを調査することも重要です。

例えば、会計年度が4月1日から始まり、翌年の3月31日に終わる会社の場合、翌年度の予算案の作成は8月のお盆明けから9月までに行い、10月に申請し、年内に承認を得、新会計年度の5月連休明けから予算の執行を行うといったサイクルが考えられます。
自社の製品やサービスを買ってもらうためには、予算作成前に営業活動を行う必要があります。

もちろん、年間計画の投資ではなく、スポットでの投資もありますので、顧客の投資の仕組み、ルールを把握しておくとよいでしょう。

今回、事例として扱う「ビル管理業」でも、企業業績、中期・長期投資計画、本年度投資計画などは重要項目です。最初にビル管理の案件を取りにいく場合はそれほど重要ではありませんが、案件が取れた後は必須の項目です。企業の業績が悪化すれば、コスト低減の圧力が加わります。一旦、下げた契約金額を上げるのは極めて困難です。ビル管理業での中期・長期投資計画は、設備のオーバーホールや更新・新設、フロアの拡張・縮小計画、リノベーション、移転計画などを含んでおり、ビル管理を実施していく上で必須の情報です。

2.組織図(全体・関連部署)
当該企業全体の組織の概要と当該案件と関連のある部署の組織図を入手あるいは作成します。組織図上で、貴社に好意的な顧客、貴社に好意的でない顧客(いわゆるアンチ)と中立的な顧客に色分けしましょう。また、馬の合わない顧客同士の関係も注視しておきましょう。これらから人間関係構築に関する課題が見え、「関係顧客分析」の貴重な情報となります。

3. 意思決定プロセス
まずは、予算作成から購入承認までの意思決定プロセスや予算の執行に関わる意思決定プロセスを把握します。プロセスごとの関係者の特定し、その中で力のあるのは誰かを調査します。

意思決定プロセスは、投資計画立案段階か、実施を決める段階かなど、案件の進捗状況や会社の組織変更あるいは購買手続きの変更等により変わっていきます。また、最終的には社長あるいは当該事業の事業部長・役員が承認することになるのでしょうが、実際には現場の課長の意見が尊重される会社もあります。実質的で最新の意思決定プロセスを把握しておきましょう。これも「関係顧客分析」の重要な情報となります。

4. サプライチェーン
当該企業の上流および下流のサプライチェーンを調べましょう。営業戦略に活用できる場合があります。例えば、貴社が計測器メーカーで、ターゲットにしている顧客の製品の販売先を知っている場合、その販売先から貴社の計測機で検査したものを納品するように仕様書に書いてもらくことにより商談を有利に導くことができます。あるいは、逆に当該顧客の部品納入業者に計測器を買ってもらい、当該顧客での歩留まり改善を図るという方法も考えられます。サービス業の場合も上流、下流の企業と同じサービスを提供することなどで、当該企業のメリットになることがあるはずです。

5. 競合情報
当該案件と関連のある競合情報の収集です。競合情報の収集・分析は、奥が深く、これだけで大きな仕事になるでしょう。

まず、公にされている会社案内やホームページから情報収集します。競合他社が大きな会社ならば、業界紙や雑誌からでもかなりの情報が得られます。収集する情報は社員数、総売上高、純利益、およびそのトレンド、取り扱っている製品・サービスの種類と各々の売上高、販売先、販売先でのシェア、営業・サービス拠点と営業・サービスの人数、代理店などです。

更に、ターゲットにしている顧客での納入実績、人脈、強み・弱み、販売体制、サポート体制などを調べます。特に、顧客と競合会社との人脈は、より詳細に調べる必要があります。

長年、同じビジネスを行っていれば競合情報はある程度蓄えていると思います。しかし、提供する製品やサービスによっては、見方を変えて競合を探す必要があります。例えば、マクドナルドの競合は、ハンバーガーという切り口で言えばモスバーガーやバーガーキング、ロッテリアなどですが、ランチの価格帯で見ると、コンビニ弁当や吉野家の牛丼などが競合になります。貴社の製品、サービスをいくつかの切り口で分析してみましょう。これらの情報は、「競合分析」および「関係顧客分析」に必須となります。

事例となるビル管理業では、新設のビルの場合、ビル建設会社と紐づいたビル管理会社が、一番の競合となります。具体的にはビル建設会社等の名前が付いたビル管理会社。例えば三井不動産ファシリティーズ、三菱地所プロパティマネジメント、阪急阪神ビルマネジメント、NTTファシリティーズ、東急ファシリティサービス、大成有楽不動産、野村不動産パートナーズなどなど。

新設のビルでない場合は、現在のビル管理会社が分かりやすい競合です。新設時と同じ管理会社の場合もありますし、そうでない場合もあります。防災センター等になにげなく行ってみれば、ユニフォームなどからどの会社か直ぐに判明します。興味のある方は、今、入居しているビルの管理会社を調べてみましょう。

6. 業界情報
業界紙やサプライチェーンの中での情報収集から、業界としての技術トレンドや課題、大きな潮流などをつかんでおきましょう。大きな潮流が変わると、貴社の製品やサービスは不要になるかもしれません。直近の案件のためというよりも、営業トークのタネ、あるいは、中長期的なビジョン作成のためと考えていただければと思います。
もちろん、業界としての課題は、「顧客の問題・課題・ニーズ分析」の情報の一つです。初めて訪問する顧客で具体的な課題が分からない場合は、業界情報としての課題から入るのもよいでしょう。

提供する製品やサービスによっては、顧客のユーザーや元社員からの評判を調べることも有効です。例えば、人事・総務関連のサービスであれば、転職情報サイトでの書き込みから、人事・総務の課題が透けて見えることがあります。メーカーの製品関連であれば、アフターサービスに対する不満なども見えてきます。

7.問題・課題
企業には大きな経営課題から現場の問題、課題まで様々な問題、課題があります。ここでは、貴社が提供するソリューションで解決可能と考えられる問題、課題を整理します。それらが経営課題と結びついていれば、実施の可能性は高くなります。これらの情報は「問題・課題・ニーズ分析」の基礎資料となります。

顧客自身が問題・課題・ニーズを認識していない場合もあります。コンサルタントとして顧客の業務等の分析等を行い、問題等を抽出する必要があります。

顧客基礎情報は、顧客の全体像を把握し、今回の投資の確度の分析や関係者の洗い出し、あるいは顧客の選択等にも活用します。これらの情報の収集・分析の一部は、マーケティングの仕事ですが、一般的に独立したマーケティング部のない企業では、営業が積極的かつ日常的に行わなければなりません。

実際のところ、営業が個人的にこれらの情報をもれなく収集するのは不可能に近いと言えます。また、タダで入手できる情報には限界があります。業界に精通したマーケティング会社から情報を買うなど会社としての対応も必要となります。

以下は、情報の記入例です。情報の有無、入手予定、入手先、入手・分析責任者名、部署、分析レポート番号などを記入します。収集した情報と分析結果は、言うまでもなく共有されねばなりません。



新人営業は、自分が今の会社の面接を受けるときしっかりその会社について調べたはずです。それを思い出して顧客の調査をするとともに、前述のような切り口も参考にして顧客情報の収集を行います。

また、新人営業の場合は、業界用語もしっかり学習する必要があります。例えば、半導体業界の「歩留まり」、コンビニ業界の「日販」、福祉業界の「利用者さん」など、その業界では当たり前に使われている用語です。「知りませんでした」「勉強になりました」「ぜひ教えてください」では、いかに新人でも営業とは言えませんし、売れる営業にはなりません。

そういう私も「養生」という言葉の意味を知らず、戸惑ったことを思い出します。養生には、「病気を治すように務める」の意味の他に、「建築工事や搬入作業などで破損防止の手当てをする」の意味があります。実は、半導体計測装置の据え付けの話のときまで、後者の意味を全く知りませんでした。今は、さも昔から知っている顔で話しますが。

顧客の方が、数段上なのですから、顧客を凌駕する知識を披露することはできなくとも(空気を読まないと逆に嫌われる)、「この新人、よく勉強しているな」と心の中で思わせるくらいでなければなりません。自分の売りたい製品やサービスの情報だけではなく、「顧客を知る」ことが非常に大事です。

さて、次回は別の分析ツールの解説といきたいところですが、この事例の営業ステップでは、次は「顧客V社との打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)」。取集した顧客基礎情報をベースにどのような会議を能動的に行うか。顧客との会議の準備として『会議設計』の話をします。




***************************************************************************************************************************
グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝やエッセイを公開中。

R-50 人生100年時代の私のライフデザインは、ここや!

齋藤信幸のロングステイは、ここ。
***************************************************************************************************************************
コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 営業ステップの定義

2020-10-11 20:14:35 | 『理詰めの営業』分析ツール
顧客の購買行動には流れがあり、その流れの中で営業がすべきことが決まってきます。案件が一連の流れのどこまで進んでいるのかを把握することで、営業がすべきことが分かります。

さて、あなたが今、抱えている案件は、一連の流れのどこにあるのでしょうか。次に打つべき手は何でしょうか。

トップセールスパーソンは、引き合いがあると、蓄積した顧客情報等をもとに受注までの営業ステップを即座に頭に描くことができます。営業ステップは、営業がやるべきこととスケジュールの組み合わせです。営業ステップは、業界、業種、製品、サービス等により異なります。また。顧客によっても異なります。

例えば、ある工作機械メーカーの営業の場合、その営業ステップには顧客との関係構築~課題の把握~デモの提案~デモの実施~デモ結果報告~仕様提案~価格交渉~受注~納入・立上げといった具合です。

また、あるSIの会社は、「顧客との関係構築~案件としての登録~顧客の購買意欲の確認~案件として確定~ソリューションの提案~成約~導入」という営業ステップを確立しています。

実際の営業ステップの定義では、顧客がその製品あるいはサービスが必要な時期から逆算していくことが多いかと思います。

今回は、ビル管理を例に考えてみます。

ビル管理の契約は通常、1年契約で問題なければ自動更新または5年程度の契約になっています。ビル管理の担当業者を代えたい場合や会社の規則により定期的に業者の見直しを行う場合は、契約終了の遅くとも半年前には契約更新の手続きが進められます。

以下は、某外資系金融機関のビル管理業務委託契約(5年契約)の終了に伴う、業者の見直しを例に取ります。現行業者がA社、そこに割って入ろうとしている業者をS社、当該金融機関をV社とします。

では、サービスが必要な時期(新契約運用開始)から遡って考えていきます。

2019年1月1日:S社による運営開始(その前に)
2018年12月31日:現行業者A社の契約終了(その前に)
2018年11月1日:現行業者A社との引継ぎ開始(その前に・・・・という具合です)
2018年10月1日~:契約締結、スタッフ編成、協力会社への連絡
2018年9月30日:受注
2018年8月1日:価格交渉
2018年7月13日:提案書提出
2018年6月15日:協力会社と打ち合わせ
2018年5月18日:協力会社へ見積依頼
2018年5月11日:現地調査結果の整理・検討、見積もり・必要書類作成開始
2018年4月29日・30日:現地調査
2018年4月10日:RFP検討・必要書類の洗い出し
2018年4月1日:RFP(Request For Proposal)をV社から入手
2018年3月23日:参加表明
2018年3月16日:顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)
2018年3月9日:顧客V社から打診

この営業ステップに時系列に書き直したものが下図です。





記入してみるとゴールまでの具体的な道筋が見えてきます。

S社の営業とV金融機関の担当者は面識があり、当該案件に関してはV社から打診がありました。既知の顧客ではない場合は、顧客からRFPの対象業者として声を掛けられるようになるように顧客との関係構築が必要な場合であり、その場合は上記のステップ1の前に更に長い関係構築のステップが追加になります。なお、公募による入札の場合は、入札条件に合致すれば応募は可能です。

節目、節目に顧客や協力会社との打ち合わせがあることが分かります。この打ち合わせを能動的に行い、成功させるための方法は「会議設計」で改めて触れることにします。

価格交渉をどの程度の期間で終わらせられるかは、顧客との関係や営業の経験・スキルに依存します。また、サービスごとの価格に関しても、どこまで無理が効くかなど営業として知識・経験が必要になります。

この営業ステップは、進捗とともに随時見直します。顧客のスケジュールの変更、顧客の組織変更など、受注まで時間のかかるコンプレックスセールスでは、変更が当たり前と考えた方がよいでしょう。

今、お持ちの案件ごとに、営業ステップを書いてみましょう。そのステップを一つ一つ進めていけば、必ず受注につながります。まだ、具体的な案件がない新規顧客開発のような場合でも、営業ステップを書くことにより、戦略が練りやすくなり、やるべきことが見えてきます。

営業活動は『顧客の購買意思決定を支援・誘導して顧客の購買による問題解決を支援すること』です。

『理詰めの営業』を活用して、各営業ステップで、顧客支援と誘導を戦略的に行い、営業ステップを一つ一つ確実に進めていきましょう。

***************************************************************************************************************************
グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝やエッセイを公開中。

R-50 人生100年時代の私のライフデザインは、ここや!

齋藤信幸のロングステイは、ここ。
***************************************************************************************************************************
<耐震補強された池袋駅前のデパート>

コメント

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - その体系図とサービス業への適用

2020-10-03 18:28:58 | 『理詰めの営業』分析ツール
営業活動は「顧客の購買意思決定を支援・誘導して顧客の購買による問題解決を支援すること」です。

各購買段階での顧客支援と誘導を戦略的に行い、営業ステップを進めるツールが『理詰めの営業』です。

『理詰めの営業』は、営業ステップ(営業プロセス)マネジメント・ツールです。「営業ステップを定義」し、「顧客基礎情報分析」、「問題・課題・ニーズ分析」、「関係顧客分析」、「競合分析」、「自社分析」の5つの分析ツールと「会議設計」ツールを使い、営業ステップを進め、顧客を自社に誘導する戦略・戦術を考えます。

特に、節目、節目で重要となるのが、顧客との会議です。会議こそ上記の戦略・戦術を実現する場です。この会議を有効に活用するためのツールが「会議設計」です。



では、次回からこれらの分析ツールを使ったサービス業である「ビル管理業」への適応事例を紹介します。

そこで、今回、簡単に「ビル管理業」に触れておきます。

ビル管理業はだれにでも身近な存在で分かりやすい業界です。「そうはいってもうちはビル管理業ではないし、顧客も違うし・・・」と思われるかもしれませんが、ビル管理業は多くの方にとって本当に身近な存在です。身近すぎて気づかないだけです。

例えば、私が支援しているある外資系証券会社の場合、その会社は大手町のとあるビルの11階にあります。

その会社の社員が朝、出社すると・・・
会社のあるビルの周りはきれいに掃除がされていてごみ一つありません(清掃管理業務)。入り口のガラスのドアはピカピカ(清掃管理業務)。ドアが故障したのは見たことがない(設備管理業務)。受付けが笑顔で迎えてくれます(管理サービス業務)。ビルのセキュリティカード―でゲートを入り(警備・防災業務)、エレベータ乗り場へ。エレベータは定期的に点検されています(設備管理業務)。11階のフロアで降りて、会社のセキュリティカードで入室(警備・防災業務)。昨日あったゴミ箱のごみは空(清掃管理業務)。机のうえにホコリはなし(清掃管理業務)。空調もいい具合に効いています(設備管理業務)

といった具合に、ビル管理の様々な業務は身近な存在です。

「なんだそういうことか」と思われたのではないでしょうか。

この業界については必要に応じて事例の中で更に説明していきますが、大きなビルを一棟まるごと管理する契約は、数十億円の契約金額になります。清掃業務だけでも億単位です。立派なコンプレックスセールスの対象となる業界なのです。

この業界についてもっと知りたい方は、以下のホームページをご覧ください。

公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会

公益社団法人 東京ビルメンテナンス協会

一連の『理詰めの営業』の分析ツールを使った適用事例の学習が終わる頃には、ビル管理業の営業になりたい、なれる、なってしまった、なんていうレベルになっていることでしょう。

では、また次回。

#豊洲のビル街


***************************************************************************************************************************
グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝やエッセイを公開中。

齋藤信幸のロングステイはここ。
***************************************************************************************************************************
コメント