法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

新人営業の教科書 (9)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き

2024-06-29 18:15:17 | 新人営業の教科書
今回も『顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識』の続きです。

e. サプライチェーン

当該顧客の上流および下流のサプライチェーンを調べましょう。

昔、私が担当していたハードディスクドライブ(HDD)の場合、主要部品のディスクは富士電機、昭和電工、HOYA、ヘッドはTDK、アルプス電気、モーターはニデック、パナソニック。販売先はPCメーカーの日本電気、富士通、IBM、HPなどなど。いずれも当時の話です。

もちろん、ディスクの基板(アルミまたはガラス)以外、全部、自社製という垂直統合型メーカーもありました。いずれにしても部品の購入元や製品の販売先が分かりやすい製品でした。

サプライチェーンが分かりにくい業界もありそうです。そもそもサプライチェーンそのものの構築が大きな差別化のポイントの業界もあります。その一例が、以前、新聞で報道された「かっぱ寿司」元社長の情報持出事件です。

新聞によると、

2022年9月30日、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの社長だった田辺公己容疑者(※10月3日付で社長辞任)ら3人が、警視庁に逮捕された。容疑は競合する「はま寿司」の仕入れ価格に関する内部データの不正に持ち出し。不正競争防止法違反だという。

販売価格はオープンになっているので、仕入れ先と仕入れ価格、それとオペレーションが競争のポイントなのでしょう。

このような深刻な問題ではなくても、もし、分かればこんなことに使えるという事例をお知らせしましょう。

検査機器メーカーC社の営業の話です。

そのときのお客さんは小型モーターメーカーA社。

A社のモーターを購入し、最終製品を組み立てているメーカーB社でモーターの発塵に起因すると思われる問題が発生。B社はC社の検査装置を購入し、発塵の有無を検査。その後、B社は、本来この検査はモーターメーカーで検査すべきものだとしてA社に対し発塵検査を要求。

これを聴きつけたC社の営業は、B社のモーター納入仕様書に「C社の検査装置で検査したものをデータと共に納品すること」と書いてもらった。発塵用の検査機器は他社のものでもよいのだが、仕様書に書いてもらうことにより商談をかなり有利に進めることができた。

営業の知恵ですね。

この他にも、川上、川下を調べることにより生産数量や歩留まり等を推定することが可能となる場合があります。

「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」の話は、まさにこのサプライチェーンに含まれますが、サプライチェーンに関しては、新人営業の調査項目としては、「低」優先順位にしておきましょう。

でも、先輩にチラッと聞いてみましょう。先輩が知らなければ、いつかあなたが調べて先輩を抜きましょう。

<競争の激しい回転寿司業界。価格競争から顧客体験による差別化へとシフトしてきているが・・・・・。写真は私の大好きな「魚べい」の寿司>

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新人営業の教科書 (8)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き

2024-06-22 17:21:37 | 新人営業の教科書
さて、『顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識』の続きです。

最初にお断りしておきますが、
以下に説明する情報がすべて揃うことはないでしょう。

不足情報がある中で、創造力(想像力)を働かせ、最善の営業戦略を練ることが大切なのです。全部の情報を揃えることにエネルギーを使いすぎないようにしましょう。情報収集そのものが営業の目的になってはいけません。



a.企業業績、関連事業業績、中期・長期投資計画、本年度投資計画
帝国データバンク、東京商工リサーチ、きんざい「業種別審査辞典」、東洋経済「会社四季報」、Webサイトの株主向けの情報や経済新聞、業界新聞などでこれらの情報を収集します。関連事業の企画部門や購買部門からも必要な情報を入手できる場合もあります。もっと効果的なのは、会社のマネージメント同士が懇意になり、日ごろの付き合いの中で、投資情報等を聞き出すことで、現実的で精度の高い情報を入手可能となります。

b.問題・課題
企業には大きな経営課題から現場の問題・課題まで様々な問題・課題があります。ここでは、貴社が提供するソリューション(商品)に関連する問題・課題を整理します。それらが経営課題と結びついていれば、実施の可能性は高くなります。

c. 組織図(全体・関連部署)
当該企業全体の組織および案件と関連のある部署の組織図を入手し、当該企業の構造と関係者を明確にします。組織を明確にすることにより、次の項目「意思決定プロセス」も見えてきます。
既存顧客の場合は、組織図上で、貴社に好意的な顧客、貴社に好意的でない顧客(いわゆるアンチ)と中立的な顧客に色分けしましょう。人間関係構築に関する課題が見えてきます。

d. 意思決定プロセス
意思決定プロセスは、投資計画立案段階なのか、実施を決める段階なのかなど、案件の進捗状況や会社の組織あるいは購買手続きの変更等により変わっていきます。また、最終的には社長あるいは当該事業の事業部長・役員が承認することになるのでしょうが、実際には現場の課長の意見が尊重される会社もあります。実質的で最新の意思決定プロセスを把握しておきましょう。

とはいえ、新規顧客でここまで調べるのは無理です。

顧客との関係を強化していく中で、意思決定プロセスを頭に入れて調べていきましょう。

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新人営業の教科書 (7)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識

2024-06-16 12:12:00 | 新人営業の教科書
さて、今回は「営業に必要な知識」の中の『④顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識」』です。

PowerPoint資料にはなかった「顧客の仕入れ先」も追加しました。ただ、今は「顧客本体」に集中しましょう。

ここで言う顧客は、販売先の会社です。いわゆるBtoBビジネスを想定しています。

商品が個人向けのもの、たとえばチョコレートのようなものでも、販売先は卸売業者、デパート、スーパー、コンビニなどの「会社」ですね。もちろん、小売店は個人相手の「販売」となりますが。

では、「営業に必要な知識」は、個人相手の営業には役立たないのか?そんなことはありません。建売住宅やマンション、車の営業を考えてみてください。

・マーケティング  
・商品知識
・市場に関する知識
・顧客と「顧客の顧客」に関する知識 
・自社に関する知識

顧客が「個客」になるだけで、どれも必要な知識です。建売住宅の営業の場合、住宅や内装、什器等に関する知識、建売住宅市場や競合するマンション・賃貸住宅に関する知識、住宅ローンに関する知識などが必要になります。「個客」に関する知識としては、年収(それを推定するための勤務先や職業)、年齢、家族構成、購入理由、新規か買い替えか、などが必要になるでしょう。会社同様に意思決定プロセスを見つけ出す必要もあります。例えば、ディシジョンメーカーは、ご主人ではなく奥様の方。あるいは、そのご両親。

「個客」相手の営業でも、このブログのように必要な知識を整理して調査・質問することが大切なのです。

顧客情報の収集は、顧客訪問前の大事な準備の一つです。新規顧客の場合は最初のステップであり、既存顧客であれば最新情報に更新するステップです。

必要情報および入手先の一覧を作ってみました。

必要情報は、企業業績、関連事業業績(あなたの商品と関連する事業)、中期・長期事業計画、本年度投資計画、組織図、意思決定プロセス、当該企業の課題、競合情報などです。

この表では、収集手段としてWebサイトや業界紙などを上げていますが、問題・課題など推定はできても、顧客と良好な関係を築かないと正確な情報を入手できない項目も多々あります。

新人営業の場合は、「アクセス可能な情報源から可能な限り」としましょう。特にWeb情報は確実に。訪問される側から見ると、Webに出ている内容を質問されると「勉強不足」と思ってしまいます。逆に、Webに記載されている内容を更に突っ込んで質問されると「よく調べているなぁ」となります。といっても、案件の本筋とかけ離れている内容ではだめですが。

もっとも普通の会社であれば、既存顧客や過去に売り込みをかけた顧客の情報は、データベース化されて社内に残っているはずです。それをまず学習し、不足情報を収集します。データベースにない、これから攻める顧客の場合は、かなりの調査・分析が必要になります。

いずれにしても、顧客基礎情報は、顧客の全体像を把握し、当該案件の実施の確度(本気度*)や関係者の洗い出し等に活用します。

*本気度:本当にあなたの会社から買いたいと思っているか、その度合いです。例えば、見積り依頼が来ても、意中の取引先が決まっており三社見積もりを成立させるだけの見積依頼、エンジニアが自分の好奇心で依頼した見積依頼、来年以降の予算を獲得するだけのための見積依頼などもあります。

新人営業にとっては濃すぎる内容ですが、焦らずに少しづつ積み上げていきましょう。まずは、一つ上の先輩のレベルを目指して。

では、次回、必要情報についてもう少し詳しく見てみましょう。

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新人営業の教科書 (6)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ③市場に関する知識

2024-06-01 17:38:12 | 新人営業の教科書
前回の「営業に必要な知識」の中の「商品知識」、この一週間に勉強しましたか?

自分が売ろうとしている商品に関する知識。商品の価値、強み、弱み、価格、特徴、成功事例・失敗事例など、熟知して当たり前の領域。

「目標:顧客の言っている専門用語を含めた内容が理解できる!」 でしたね。実際のところ新人が勉強するのは当たり前ですが、一週間で先輩に追いつくはずはありません、


さて、今回は「営業に必要な知識」の中の「市場に関する知識」です。





市場(マーケット)とは、製品やサービスを購入しようとしている、あるいは今後購入する見込みのある個人や組織の集まりです。 簡単に言うと「売れそうなところ」です。

大抵の場合は、明らかです。

特に生産財の場合は、用途で決まってしまいます。

私が扱っていたHDD(ハードディスクドライブ)の場合は、パソコンメーカーと外付けドライブメーカーでほぼ100%。昔、日本だけカラオケに使われたことがありましたが。

自動車の部品なら、トヨタ自動車、日産、BMWなどの自動車メーカー、自動車の修理工場、部品によってはイエローハットのような自動車用品店、DIY店も販売先になりますね。

あなたの商品の販売可能な市場はどこか考えてみましょう。

ちなみに、「商品」とは、経済活動において生産・流通・交換される物財のことです。 商品には具体例として先の自動車部品や食品、衣類などの物のほかに、法律相談や宅配便配達などのサービスや、証券などの権利、情報などが含まれます。

さて、先週、商品知識の一つとして「競合との比較」を上げました。市場を眺めてみて、あなたの商品の競合はどこでしょうか。同じ商品を提供しているA社、B社、C社。それだけでしょうか。

あなたも良く知っているマクドナルド。

マクドナルドの競争相手は誰でしょうか。

モスバーガー、フレッシュネスバーガー、バーガーキング、ウエンディーズ・・・・バーガーキングは若干、価格帯が異なるようですが、競合に入れておきましょう。

私がお気に入りの高級バーガー店(The Burger ShopやShake Shuck)は価格帯が大きく異なるので競争相手ではないですね。

ランチを想定すると、同じ価格帯で競うのは、前述のバーガーショップよりも、コンビニの弁当・おにぎり・サンドイッチや吉野家などの牛丼や富士そばなどの立ち食いそば、C&Cなどのカレー屋などになりますね。C&Cは高くなりすぎで競合ではないかも?

皆さんの商品はどうでしょう。上下左右斜め、視点を変えて市場をみてみましょう。

< ちなみに、米国ではハンバーガーやホットドッグなど栄養のバランスを欠いた調理済み食品を「ジャンクフード(junk food)」と呼んでいます。I love junk food.
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