法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

価格交渉 ‐ 顧客が性能や品質を重視する場合

2019-08-23 22:32:42 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
本来は、マーケティングの手法を用いて、顧客のセグメンテーションを行い、顧客がどういうタイプか分析すると以下の話も分かりやすいかと思います。

例えば、

縦軸に上から「性能重視・品質重視」、「関係重視」「単なるバイヤー」。

横軸にはニーズの洗練度、「低」「中」「高」と取ると3×3のマトリックスができます。

各枠内に売り上げに占める%を書き込みます。

そうすると、貴社がどの領域を主戦場にしているかが分かります。

今日話題にするのは、

質問1:この顧客は、製品の性能やサービスの質を高く評価しているか?

質問2:この顧客は、この製品やサービスがないとどれだけこまるか?


です。

質問1で、顧客が自分のニーズを十分に理解していて、こちらが提供する製品やサービスの性能や品質を高く評価する場合は、一般的に、価格についてはあまりうるさくありません。

製品の性能や品質、サポート体制の強化などをアピールし、値引きは最小限にすべきです。値引きしなくても買う客なのです。

そもそもこのタイプの顧客には大手企業が多く、経営環境の厳しい中小企業に比べれば、はるかに価格交渉は楽なはずです。


質問2は、相互依存度の話です。顧客が他社から購入することが困難な製品やサービスの場合や当面競合が現れそうにない場合は自社の立ち位置は盤石と言えます。

また、顧客が他社からも購入しているが、その品質に満足していない、サービス体制に不信感を持っている、などの場合は、自社の立ち位置は優位にあるといえます。

他社よりも価格交渉で優位に立てますね。

いずれにしても、「顧客を知る」を十二分に知ることが肝要です。それまではむやみに価格の話はしないことです。




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「長い付き合いだからさ」、「だからどうなの」

2019-08-17 00:13:00 | ・・「だからどうなの」
前回の三波春夫の話は、アクセスがぐっと伸びました。

しかし、何故、そうなるかが分かりません。いまどき三波春夫で検索する人がそんなに多いと思えませんしね。

さて、「『お客様は神様』なのだから」と同じくらい使われるフレーズに「『長い付き合い』なのだから」があります。

代理店の営業さんから次のように言われたことがあります。

「長い付き合いなのだから、値下げしてくださいよ!」あるいは「これから長い付き合いになるのだから、今回、値下げしてくださいよ」と。

「だからどうなの」

『理詰めの営業』でも、「顧客を良く知ること」を大事にしており、長期的で良好な人間関係を気付くことは大変重要だと考えています。

しかし、なれ合いで付き合うのではなく、都度、その顧客の重要度を見直す必要があります。

顧客は大切ですが、すべての顧客が会社にとって大切なわけではありません。

「長い付き合いなのだから、値下げしてくださいよ!」「これから長い付き合いになるのだから、今回、値下げしてくださいよ」

に対しては、今後もリターンが見込まれるのであれば要求を呑んでもよいでしょう。

しかし、単に顧客とのズブズブの関係からの発言、あるいは、顧客からの値下げ要求のプレッシャーから逃れたいあまり、の発言であれば拒否すべきです。

我々の代理店の営業であるその立場を忘れて、自分の顧客の立場で発言してくる人も意外と多いですね。

「だからどうなの」

どううまく断るかも最前線の営業の大事な力ですね。



近江商人もプレッシャーやストレスから逃れるために庭を眺めて気分転換を図ったのでしょうか。そうは思えないけど。


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「お客様は神様です」「三波春夫でございます」

2019-08-12 10:53:13 | ・・「だからどうなの」
今となっては知らない人も多いと思いますが「お客様は神様です」は歌手、三波春夫のフレーズです。60歳以上の方は記憶に残っていると思います。

三波春夫オフィシャル・ホームページによれば、

『三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。

三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。

しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう風になるようです。そして、店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです』

私も似たようなことを代理店の営業さんから言われたことがあります。「お客様は神様なんだから、値下げしてくださいよ!」と。

自分の顧客を大切に思うあまり、あるいは、顧客からの値下げ要求のプレッシャーから逃れたいあまり、の発言かと思います。

確かに顧客は大切ですが、すべての顧客が会社にとって大切なわけではありません(この時点で、「そんな言い方はないだろう」と腹の中で思う人もいるでしょう)。

どの顧客にも均一のサービスを提供するのは正しい方法ではありません。

自社にとって大切な顧客はどこかを見極め、重要度に応じた対応をすべきで、そのように経営資源を配分すべきです。

価格設定、値下げ要求への対応も同様です。

最後に、三波春夫の「お客様は神様」が生まれた背景は、

『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。
ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』三波春夫オフィシャル・ホームページ

だそうです。



多くのビジネスマンを輩出した商いの町、近江八幡
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安売りするなと檄を飛ばす社長が安売り

2019-08-04 13:30:19 | ・・「だからどうなの」
ちょっと地味なサービス業のA社長、朝から営業に檄を飛ばす。

「お前らバカか」

「安く売るのは誰でもできる」(完全にパワハラですが)

「しっかり利益を取れ」

その日の午後、大手企業からの見積依頼に対し、

「赤字覚悟で取りに行け」

との発言。

ダブルスタンダードではありませんか。

過去のブログを読んだ方はお分かりかと思いますが、この大手企業が、将来大きなリターンが見込まれる戦略的に重要な顧客なのであれば、赤字覚悟でもよいかもしれません。

しかし、同じサービスや製品を将来に亘って提供する場合、値上げはなかなか困難です。

営業の皆様は、身に染みて分かっていることと思います。

何か妙案はあるのでしょうか。

この種の業務は一旦契約すると1~5年同じサービスを提供することになります。

でも、この会社は過去10年くらい同じ手法(低価格受注)で業績を伸ばしてきました。安く受注して利益を出す!

何故でしょう。

この社長の会社は、人件費がコストの大半を占めるサービス業です。

デフレで人件費が下がる、不景気なので低い給与でも採用できる、そういう環境にあったからです。

しかし、このところは旨くいきません。

最低賃金も上がり、都市部を中心に給与も上がってきています。

また、人手不足で地味なサービス業には応募も少なくなっています。

どうすればよいのでしょうか。

そうです。過去の成功体験から抜け出し、経営環境を受け入れ、社長の経営の仕方を変える必要があるのです。自分で言っているように。

後日談:

実はこの記事を書いたのは3年前の2016年7月28日。それから3年、先の社長は今も頑張っています。利益が薄く差別化の難しい業務からは撤退。
売上高は伸びないものの、利益率は改善しているそうです。



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