法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - 最初の段階から考えておかねばならないポイント

2023-07-30 17:17:48 | マーケティングと理詰めの営業
第一段階の「きっかけの提供」から考えておかねばならないポイントをお知らせします。

製品、ブランド、価格での差別化ができないとき、それ以外の面での差別化が必要になります。それがインサイトです。
最終的に顧客に選ばれるポイントは、この「インサイト(知見)」の価値です。

すなわち、顧客が気付かなかった技術的なソリューション、売上向上策、コスト削減方法などの全く新しい考え方やアイデアを伝授することです。

顧客が本当に必要としているのは、本人以上にそのニーズを知っている営業です。

顧客に新しい考え方を教え、顧客の視点やアプローチを見直させ、顧客の考え・行動を変えさせます。

しかし、以前にも書きましたが、伝授した新しい考え方やアイデアを顧客が入札にかけ、
その結果、競合他社が落札では、営業は無料でコンサルティングしたことにしかなりません。

そうならないためには、

・自社の製品・サービスに結び付く誘導を行う
・自社ならではの強みにつなげること(その前に自社ならではの強みを作る)
・顧客の仮説を覆し、行動を促す
・自社の強みが他の顧客へも拡張可能であること

が必要です。

さて、あなたの会社、あなたの製品・サービスの強みはなんですか。

プレゼン資料には、高品質、トータルサポート、最高のサービスサポート、戦略ソリューション、最先端技術、
高い技術力、顧客満足度1位、確実な運営体制、幅広い製品ラインアップ、・・・・・などの言葉が綴られています。

プレゼン資料に載っている強みは、本当に強みですか。
他社も同じことを言っていませんか。
強みを証明できますか・・・・

差別化のポイントは?差別化できていますか?



営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (1)検討の「きっかけ」をつくる

2023-07-23 06:46:08 | マーケティングと理詰めの営業
今週から「購買行動と営業活動」の詳細に入ります。

では、まず、第一段階の「問題の認識」です。

購買側行動の欄には、「客観的事実に基づく問題意識の発生」、および、「検討のきっかけの発生」とあります。



具体的な「きっかけ」としては、製造上の問題が発生し、それを解析・解決するために新たな測定器が必要となる、
あるいは、新製品の製造のために新たな製造装置が必要となる、営業の生産性を上げるために営業支援システムを導入する、
ビルを引っ越すので引越し先の設備を保守管理するベンダーが必要、などが考えられます。

これらは顧客本人も気づく分かりやすい「きっかけ」です。

営業活動の欄に、「きっかけ」の提供とありますが、これはどういうことでしょうか。

先の分かりやすい「きっかけ」ばかりではなく、
第三者の立場では明らかな問題でも本人たちが気付かないケースやその組織上の理由で検討の遡上に乗せてもらえない場合などに、
「問題に気付かせ、検討のきっかけを与えること」を言っています。

顧客が問題意識の高い人たちであれば、営業が黙っていても、
問題を認識し、営業に問い合わせがくるかと思いますが、
そうでない場合は、営業自身が問題提起をしないと商売にはなりません。

現状のプロセスあるいは業務でどのような問題があるのか営業が技術と一緒に分析し、問題提起して、解決策を提案する必要があります。

例えば、次世代の製品を開発するためには、もっと高精度の検査装置が必要であることを、データ付きで説明し、解決策を提案するなどです。

営業として大事なことは、顧客の開発担当者や現場のエンジニアと良好な関係を築き、事前に顧客の問題点や課題に関わる情報を収集・分析・整理できていることです。

それらの情報があれば、顧客のニーズに合った提案が可能となります。そうでないと、一般的な提案になってしまいます。

もちろん、最初は一般的な提案をして顧客の本質的な問題を探っていくという方法もあります。

営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - 営業に取って勝負所は?

2023-07-17 09:48:03 | マーケティングと理詰めの営業
購買行動のモデルの代表は、AIDMA(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)。

そして、インターネットの普及により、その進化版ともいえるAISAS(Attention, Interest, Search, Action, Share)が購買行動モデルの新たなモデルとなりました。
「Search(検索)」と「Share(共有)」がキーワードであることは、読者なら納得されると思います。

ここでは「購買行動と営業のプロセス」を紹介し、顧客が生産財を購入する一連の流れと営業の「やるべきこと」を明確にしていきます。

「生産財を購入する一連の流れ」と言いましたが、「コンプレックスセールス」に当てはまる一連の流れと考えていただければ良いと思います。

コンプレックスセールスとは、

・高額の商談や技術的に複雑な商談で、
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。
・また、受注から納品・引き渡しまでに時間がかかり、
・その後もフォローが必要な案件でもあります。

例えば、プラント建設やIT関連の大型投資、生産設備、ビル管理などは好事例でしょう。

表中のどの段階が「営業にとって勝負所か」を考えていきましょう。ヒントは、「RFPからでは遅すぎる」です。





どの段階でしょか?

顧客の立場になれば分かりますが、RFPを協力会社に要求する段階では、顧客の意中の協力会社は決まっています。

「A社のこの機能が必須」「サービスが良い今の業者がいい」「今の業者は対応が悪すぎる。B社の方がいい」など。

つまり上記表の第一段階から第三段階までの間に顧客に食い込まないことには勝負にならないのです。

この段階で顧客に貢献することが肝要です。

できれば、RFPの仕様書に自社にしかない機能を書き加えてもらい、自社に有利な状況を設定する、といったことも。

「え~、そんな」なんて言わないでください。当たり前のことです。

営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- マーケティング3.0とコンプレックスセールス3.0

2023-07-09 09:04:17 | マーケティングと理詰めの営業
先週のブログで書いたように私はエンジニアからエンジニアとしてのバックグラウンドを活かせるプロダクト・マーケティングに転身し、その後、(実際には並行して)営業を行いました。

営業として「マーケティングから営業のやるべきこと」を学ぶことは大切です。この学びが『理詰めの営業』の一番の基礎となっています。

マーケティングの大家、フィリップ・コトラーは、『マーケティング3.0』の中で、

・マーケティング1.0:製品中心のマーケティング
・マーケティング2.0:顧客中心のマーケティング
・マーケティング3.0:人間中心のマーケティング


という大きな流れを示しました。

これらに対応する営業を考えてみました。

マーケティング1.0「製品中心のマーケティング」は、日本の場合、高度成長期から半導体や自動車などのモノづくりで世界市場を席巻した1980年代までのマーケティングです。

これに対応する日本の営業は、営業1.0「根性・気力・気合の営業」でしょう。
「日本の営業」としたのは、海外の営業はもう少し洗練されていて、日本ほど体育会系ではないからです。
この体育会系営業で、日本を経済大国に押し上げました。時代にマッチしていたのです。

マーケティング2.0「顧客中心のマーケティング」は、バブル崩壊後の成熟市場でのマーケティングです。

顧客が何を欲しているか分からない、顧客自身も何を欲しているか分からない、そんな時代のマーケティングでした。
CRM(Customer Relationship Management)など顧客情報の活用が盛んに叫ばれました。
この時代の営業を、営業2.0「顧客情報活用営業」あるいは顧客のニーズに基づく「提案営業」または「ソリューション営業」と呼びます。

マーケティング3.0「人間中心のマーケティング」は、どうでしょうか。
マーケティング3.0は、顧客を単なる購買者としてではなく、マインドとハートと精神(スピリット)を備えた全人的な存在として捉えるべきだと主張しています。

顧客をマスあるいはセグメントで括るのではなく、個人個人のニーズをとらえるべくマーケティングするのが3.0です。
実際、インターネットを活用し、個人個人をターゲットにしたマーケティングツールは整えられつつあります。
例えば、アマゾンのお勧め機能などは、個人を対象にしたマーケティングの成功例といえます。AIはその精度を更に高めます。

コンプレックスセールスのBtoBの営業を考えた場合、案件の関係者、個々人の心理面にフォーカスすることが、「人間中心のマーケティング」に通じると考えます。
問題・課題が複雑化するにつれて、意思決定に関わる人が増えるため、営業は参加者個々の求めているものを理解し、参加者間の利害調整を行う必要があります。


次回からコンプレックスセールスの「マーケティングと営業」を深掘りしていきましょう。

営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Coffee Break:営業はいらない、あるいは、消えていく運命

2023-07-02 07:49:40 | 営業コラム
経営学の大家ピーター・ドラッカーは、

「マーケティングの目的は、売り込みの必要をなくすことだ。顧客をよく知り深く理解することにより、商品やサービスが顧客に最適なものになり、自然に売れるようになることが、マーケティングの目的である」

と語っています。

松下電器(現、パナソニック)の副社長で、松下寿電子産業の社長であった稲井隆義氏は「いいものを造れば営業はいらない」として松下寿に営業部隊をおきませんでした。

(余談ですが、稲井氏(故人)は、故松下幸之助氏の運転手を務めたこともあり、幸之助氏を支える大番頭の1人で、赤外線こたつの考案により、松下寿を発展させました。運転手を社長にする松下幸之助の人材育成・人材の選定がすごい!!)。

さて、はたして営業はいらない、あるいは、消えていく運命なのでしょうか。

マーケティング・ツールに置き換え可能なのでしょうか。

AIは営業職を消滅させるテクノロジーでしょうか。

私は顧客の誘導に戦略が必要なコンプレックスセールスの営業は生き残ると考えています。

また、経済的な価値がないものの営業、例えば、美術品なども営業力・戦略・戦術が必要であり、生き残ると思います。

しかし、そうでない営業は、すでに現実になっているように、ネットやマーケティング・ツールに取って変わられると予想します。

毎日の営業活動で体力・気力を消耗しているかとは思いますが、自分のいる業界、業種、製品・サービスに本当に営業が必要なのか、「隙間時間」に考えてみましょう。寝る前に考えると不安で寝られなくなるかもしれないので止めましょう。

<「2021年の気になるデータ」の一部。「C」のつく人とは、CEO、CFO、COO、CTOなどの肩書を持つ人のこと)>


営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする