法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 自社の強みは?いくつ言えますか?

2021-05-30 01:09:31 | ・・自社を客観的に分析する
「他社を凌駕する自社の強みは?」、「他社製品・サービスを凌駕する自社の製品・サービスの強みは?」と問われたときにいくつあげられますか。

「高品質」「先進的技術」「顧客志向」「環境にやさしい」・・・・・他社も言っています。顧客からみたら差異はなし!

先週は、自社の製品やサービスの競合分析ではなく、自分の会社としての強み・弱みを客観的に分析し、これらの情報の活用方法を学びました。

例えば、強みの例として、「納入実績」「サービスサポート体制」「財務力」「強力な販売網」
「事業部長との人的関係」「業界紙の紹介記事」「XXXX賞受賞」などを上げてみました。

でもこれらの強みは、営業に生かせる強みでしょうか。顧客の誰もが納得する差別化要因になるのでしょうか。

また、前々回は自社の製品やサービスについては、「選定基準に基づく競合分析」を解説しました。

事例のようにいくとは限りません。販売しようとしているあなたの会社の製品やサービスの強みは何でしょうか。

営業活動は『顧客の購買意思決定を支援・誘導して顧客の購買による問題解決を支援すること』です。
簡単に言えば、誘導してあなたの会社の製品・サービスを選択させることです。

この支援・誘導の前提は、あなたが顧客の問題・課題・ニーズを分かっていること、場合によっては、顧客よりも分かっていることです。
顧客にも「こういう問題・課題があるから、こういうソリューションが必要なんです」と説明します。
「そうかそういう解決方法があったか」「じゃ、見積書出してよ。三社見積もりになるけどね」と顧客。

結果、他社が受注。
顧客が気付いていない問題を指摘したり、ソリューションを教えてあげたりしたからと言って、受注できるとは限りません。
無料のコンサルタントにはなれましたが。

顧客があなたの会社を選ぶのは、あなたの会社・組織ならではの強み、あなたの製品・サービスならではの強みを明確に認識したときです。
差異がない場合は、価格の安いものを選びます。では、どうするか?



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『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 自社はどう思われているか

2021-05-23 09:54:32 | ・・自社を客観的に分析する
個別の製品やサービスの競合分析ではなく、自分の会社としての強み・弱みを客観的に分析するツールが「自社分析シート」です。

例えば、強みには、「納入実績」「サービスサポート体制」「財務力」「強力な販売網」「事業部長との人的関係」「業界紙の紹介記事」「XXXX賞受賞」などが考えられ、弱みとしては、「納入済み製品のトラブル」「会社がリストラ中」「前回納入時の営業の対応が悪かった」などが挙げられます。顧客の立場で客観的に、特に競合と比べた現実的な強み・弱みを列挙します。

自分の会社や組織、個人の悪口につながる内容もあるため、マネージメントあるいは組織としての寛容性が求められます。

重要なことは、組織能力など会社としての強みを営業活動に活用すること、弱みを早め早めにリカバリーすることです。



事例では、過去10年間の納入実績がA社は15台、B社は1台、H社も1台となっています。強みとして、「過去10年間の納入実績」や顧客の現場からの評価が高い「サービスサポート力」「アプリケーションサポート力」をあげています。

プレゼン等で「納入実績」を示せば、顧客と密な関係や貢献度を示すことができますし、メーカーを変えた場合のデメリットをそれとなく匂わせることもできるでしょう。更に、「この際、B社、H社の製品もリプレースしてはどうか。可能であれば、複数台購入として、20%値引きできる」などと、提案することも可能でしょう。

ただし、B社の導入を決めた人が、当該事業部の事業部長などといった場合は、持って行き方に注意する必要があります。
また、私がB社あるいはH社の営業なら、「もう1台入れて冗長構成にしましょう。そうすれば、備品も安くできます」などと提案します。これにどう対抗するかも考えねばなりません。納入実績一つとっても様々な観点から検討する必要があります。

一方、弱みとして「U事業所における失注」をあげています。失注の原因を明確にし、早急に対策を練り、顧客を説得する必要があります。失注の原因には、製品やサービスの優劣や営業やサービスエンジニアに対する不満など自社の問題の他に、顧客内の人間関係や顧客の事業部間のライバル意識などが原因となることもあります。真の原因を見つけて、対策を打ちましょう。

営業活動は『顧客の購買意思決定を支援・誘導して顧客の購買による問題解決を支援すること』です。各購買段階での顧客の支援と誘導を戦略的に行い、営業ステップを進めるツールが『理詰めの営業』。言い換えれば『理詰めの営業』は、営業ステップ(営業プロセス)マネジメント・ツールです。

今まで説明してきた分析ツールを使い、営業ステップを進め、顧客を自社に誘導する戦略・戦術を考えましょう。


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『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 選定基準に基づいた競合分析を行う

2021-05-17 23:10:17 | ・・価値基準で競合を分析する
ゴールデンウィーク中も一向に時間が取れずブログの更新が滞っていました。久々の『理詰めの営業』の解説です。

『理詰めの営業』の競合分析ツールは、マーケティングでいうところの競合分析とは異なります。

一般的なマーケティングでは、目的により以下のような各種分析手法を使い分けます。

競合探索ための分析方法:マクロ環境分析、バリュー分析、5フォース分析
競合調査のための分析手法:4C分析、4P分析
戦略策定のための分析手法:SWOT分析

『理詰めの営業』の中では、「顧客の選定基準に基づいた競合分析」を行います。

競合分析の詳細に入る前に、私が発注側として行ったRFPの記事をご覧ください。

3/17/21 Coffee Break:RFPの結果 ------> 「営業コラム」の二番目にあります。


このような評価基準の設定は、ベンダー選定の公平性を確保するために必要ですし、どう選定したかを関係者に説明するためにも必要です。

さて、本題に戻ります。

1.選定基準を設定する
詳しくは「購買行動と営業活動」- 第四段階「競合分析・選定基準の明確化」で述べていますが、営業は、サプライヤーの選定基準が何なのかを慎重に調査します。デモ結果、サービスサポート体制、納入実績、価格等、どのような選定基準があり、どの項目にどのように比重を置くのかを調べます。

これが、定まっていない場合は、どんなにデモで良い結果を出しても失注する可能性があります。例えば、顧客に意中のサプライヤーがある場合です。たとえデモ結果が優れていても、意中のサプライヤーに有利な選定基準に重きを置いた選定をするからです。

選定基準については顧客のコミットメントを取っておくほうがよいでしょう(なかなか日本企業相手には難しいですが)。理想的には、第三段階までの間に、営業は自社に有利な選定基準を設けるように顧客を誘導すべきです。





2. 競合会社の特定と比較
選定基準が決まったら、競合他社がどこなのか推定し、競合他社の製品やサービス、強み・弱み等を調査します。

例えば、あなたの会社がこのRFP(Request For Proposal:提案依頼)の説明会で初めて呼ばれたのなら、少なくともすでに1社はもっと早い段階から顧客と話し会い、懐深く入っています。それがどの会社か分かった上で、その会社と顧客の人間関係、評判をまず調べましょう。この案件に関して、その会社以上に、強い人間関係をあなたが持っているか、相手の弱点に気づくことができるかそこが一つのポイントになります。

3. 自社ソリューションの分析 
「選定基準」に対する自社のソリューションとその問題点、懸念事項等を記入し、その上で代替ソリューションとの比較を行います。代替ソリューションには、競合他社の製品やサービスに加えて、現存装置やサービスの改良、現状維持も含まれます。この情報を分析し、プレゼンテーションで強調すべきポイント、新規開発の必要性等を検討します。

代替ソリューションとの比較は、カタログ値ではなくデモデータ等の実測値であることが望ましく、自社のエンジニアも含めたチームとして人間関係を活用し情報収集に努めます。 
各項目を記入し、優位性のある項目をグリーン、最善ではないが問題なしを黄色、問題のあるところを赤にして、比較し、自社の強み・弱み・問題点を明確にします。



事例の場合、三つの選定条件が示され、「装置性能に関しては今のところ問題はないが、中古装置の確保という課題が残り、また、サポート力がセールスポイントである」ことが分かります。

ここでは、価格については、色をつけていません。何故か。

価格はデモを実施し、装置の実力が判明してから検討すべきものだからです。合理的な金額であれば、デモ結果やROIが良ければ価格が他社よりも高くても問題はありません。
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『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 関係顧客を分析する(3)- 顧客も人間なんだ

2021-05-03 22:15:18 | ・・関係顧客を分析する
さて、もう一度、記入例に戻ります。分析表上に問題点にマークし、備考欄を設けて、重要な組織変更の情報などを追記します。

下記の例では、現在の影響度は「中」だが、今後、影響度を増す事業部長の関心度を高める必要があること、また、着任したばかりのため個人的側面が全く分かっていないことが、問題の一つとなっています。

実際に装置を使用するエンジニアが、「アンチ」であり、他社を推奨していることはシリアスに考えるべきです。「アンチ」の態度を表明している背景を理解し、対策を打つ必要があります。

では、個の事例にはありませんが、会社人あるいは個人としての目標が、「昇進や出世」の人に対してはどのような対応が考えられますか。

例えば、上司の前でほめる、ですね。顧客も人間です。

コンプレックスセールスの場合は、感情面(個人的な好き嫌いや偏見)よりも、この製品・サービスを買うべき理屈を顧客に授けることが重要です。
しかし、顧客の持っている感情面にも配慮しないと、理屈ではない要素により、案件が消えてしまうこともあるのです。

特に、最近はディシジョンメーカーも関係者の合意を求める傾向が強くなっています。その背景にはソリューションの内容が複雑で関係者が多岐にわたることや、失敗したときのリスクが大きいソリューションに対するリスクヘッジのためです。したがって、事例のような「アンチ」に対しては、対策が必須です。

このように人や集団に関わる問題点を見つけ、対応していくためのツールが、「関係顧客分析ツール」です。

関係顧客分析により、営業戦略に「人間性」という要素を盛り込むことができるようになります。

顧客を徹底的に知り尽くす。

性格、学歴、職歴、家族状況、特別な関心事、生活様式。顧客自身よりも熟知する、例えば「意識していないニーズ」。それが顧客関係分析の究極も目的です。

だからといってリレーションシップ・ビルダー・タイプの営業を目指している訳ではありません。リレーションシップ・ビルダー・タイプの営業は、多くの人の予想に反して、営業成績は低迷しているとの調査結果があります。関係構築が不用になったのではなく、関係構築と購買の決定との関係が薄くなったのです。

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<変更>『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 顧客の問題・課題・ニーズを分析する

2021-05-02 23:42:31 | ・・顧客の課題・問題を分析する
変更:最後のピンクの2行、追記しました。

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画面右下の「カテゴリー」を整理しました。関連資料の探索にご活用ください。

読んでいただきたい順番は、

「生産財のマーケティングと営業」:B2B営業の本当の攻めどころが分かります。
「『理詰めの営業』そのコンセプト」から「自社を客観的に分析する」までの各論:自分なりの営業手法を確立できます。
「会議設計」から「質問設計」:営業ステップを前進させる「会議の仕切り方」をマスターできます。

「スチーブ・ジョブスの営業」~「だからどうなの」:コラム系の記事は息抜きに!

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さて、『理詰めの営業』に戻ります。「え、戻る?」

昨年の10月3日にサービス業への『理詰めの営業』の適用事例を始めました。適用業種はビル管理業。ビルの空調や電気の管理、清掃、警備などを扱う業種で、会社務めの方には理解しやすい業種です。

『理詰めの営業』のコンセプト(10月3日)から始め、「営業ステップの定義」(10月11日)、「顧客基礎情報の収集・分析」(10月25日)と進めてきました。

営業ステップの最初に「顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)」があったため、11月1日から『会議設計』に進み、本年の3月7日まで解説しました。

そしてようやく『理詰めの営業』の流れに戻り、「顧客基礎情報分析」の次の「問題・課題・ニーズ分析」となった次第です。



「問題・課題・ニーズ分析」シートは、顧客の投資の背景となる問題・課題・ニーズを整理・分析するツールです。顧客の抱えている問題や課題が複数ある場合は、顧客の中での優先順位を想定し、ソリューションを準備します。

顧客と良好な関係が築けている場合は、顧客から問題や課題を聞き出すことは容易でしょう。信頼されていれば、むしろ顧客の方から相談してくるはずです。

しかし、顧客と良好な関係を築くには時間がかかります。それまでは、顧客から問題や課題を聴きだすことが大変難しい場合がほとんどです。その場合は、業界情報・同業他社の情報などの外部情報を活用し、想定してみるとよいでしょう。

私も新規開拓の顧客では、人間関係の構築に時間を要し、問題や課題を聞き出すことができませんでした。最初のプレゼンの機会をいただいたときは、業界の課題となっている点とそのソリューションをプレゼンしました。その結果、「さすがによく研究している」との評価を得て、更に、上のマネージメントへプレゼンする機会を得ることができました。もちろん、プレゼンの最中も、こちらから質問し、顧客の本当の課題や問題を聞き出すようにしました。

すでに取引のある顧客の場合、現場に入っている担当者が顧客の担当者と良好な人間関係を築き、そこから情報を得ることもできます。むしろ、現場に近い担当者経由の情報入手を積極的に活用すべきと考えます。

しかし、顧客自身も問題に気づいていない場合や業務プロセスの問題の場合は、事実となる情報を集め、現状とあるべき姿を明確にし、問題を抽出し、解決すべき問題が何かを絞り込む必要があります。近年、ソリューション営業がうまくいかなくなっている背景には、顧客自身が問題・課題・ニーズに気づいていない点にあります。顧客にニーズを聴く営業ではなく、顧客にニーズを教える営業になる必要があるのです。

以下は、「問題・課題・ニーズ分析」シートの記入例です。

しばらく間が空いてしまったので、事例をもう一度、説明します。

某外資系金融機関V社のビル設備管理業務委託契約(5年契約)の現行業者との契約終了に伴う、業者見直しの事例です。現行業者がA社、そこに割って入ろうとしている業者がS社で、そのS社の『理詰めの営業』活用事例です。

今回の記入例は、以前、作成した営業ステップの4月10日前後のものとしましょう・・・・

2018年3月9日:顧客V社から打診
2018年3月16日:顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)
2018年3月23日:参加表明
2018年4月1日:RFP(Request For Proposal)をV社から入手
2018年4月10日:RFP検討・必要書類の洗い出し

S社はV社から設備管理の仕事はもらっていませんでしたが、スポットの仕事や見積もりへの参加(明らかに当て馬)は行ってきました。そのときの情報収集や3月16日の打ち合わせで顧客の問題・課題を整理することができました。

以下は、3月16日のV社担当者と打ち合わせの要約。

A社の現場リーダーが1年前に代わってから、見積もりや調査を頼んでもフォローされていないことが多くなり、また、トラブルが発生した時の対応が悪く、報告もタイムリーに行われない。営業に言っても一向に改善が見られないため、A社とは10年の付き合いであるが、ベンダーの見直しを行うことにした。手狭になったため3年後に移転する方針が決まっており、移転先で設備管理を任せられるベンダーを探しておきたい。これからの3年間は、次のベンダーの試用期間と考えている。RFPはA社、S社ともう一社に依頼する予定。

これらの情報をもとに問題・課題・ニーズまとめたものが以下のシートです。



設備管理業務は顧客が設置した設備の保守管理を行うもので、現場のリーダーやスタッフの能力が差別化の決め手となります。しかし、その能力をあらかじめ証明することは容易ではありません。やはり同業他社での実績、資格などをもとに候補者を決め、面接を行って顧客に選んでいただくことが提案(ソリューション)となります。

当面は「管理能力のある」「コミュニケーション能力」のある実績を積んだリーダーおよびスタッフを用意し、顧客の問題を解決するとともに、3年間その能力を実証していきます。そして3年後の移転先のビル設備管理も受注という営業戦略になります。

ビル移転時には、ビル管理や関連する総務のソフトサービス(庶務・清掃・受付け・警備など)もRFPになるので、それらも併せ受注、というシナリオ(営業戦略)になる!!

ソフトサービスの現行ベンダーや評判も調査しよう。

急に眼の前がばら色になってきましたね。それが営業!!

でも待てよ。V社担当者は、RFPに参加する他のベンダーにも同様な話をするはず。だとすると他社も似たような提案になり、結局、価格競争に!!何か差別化できる提案が必要だ!!!

ばら色だった目の前が、少し薄曇りになってきました。



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