法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

営業はいらない。「コーチング機能」戦略と「自動的なサービス提供」戦略

2020-05-17 11:36:00 | ・・営業はいらない
在宅勤務が週2日または3日になり、職場に毎日通っていたときに比べ、週に6時間から9時間、自由な時間が増えました。「通勤時間=読書の時間」でしたが、家にいるとそうはならず、せっかくの自由時間を無駄に過ごしています。これでは遺憾と反省しきり。

さて、「コネクテッド戦略」の残りの二つ(3)「コーチング機能」戦略と(4)「自動的なサービス提供」戦略について検討してみます。

日本コーチ連盟によると、『コーチングは「答えはその人の中にある」という原則のもと、 相手が状況に応じて自ら考え、行動した実感から学ぶことを支援し、 相手が本来持っている力や可能性を最大限に発揮できるようサポートするための コミュニケーション技術過』おしています。

それではICTを用いたセールステックのコーチングとはどのようなものでしょうか。

「コーチング機能」戦略とは、顧客の購買履歴、行動履歴等を収集・分析し、ニーズを認識していない顧客にニーズを認識させアクションを取らせる戦略です。

例えば、前々回で上げたプリンターのトナー購入の件です。「願望への対応」戦略では、トナーが切れたことを認識した顧客が、トナーを迅速、例えばワンクリックで、入手するのを助ける戦略でした。

「コーチング機能」戦略では、ネットを介してプリンターから使用状況がメーカーに逐次伝えられ、この情報を用いてメーカーはトナーが切れる時期を推定し、トナーの購入を促すメールを顧客に送信します。「あぁ、そうだった」と顧客はトナーが切れる前にカートリッジを購入し、滞りなく業務を継続できるようになります。

「自動的なサービス提供」戦略では、これを更に進化させ、顧客がプリンターを購入するときに自動補充サービスの契約を結び、トナーの送付先、クレジットカード番号を登録しておきます。メーカーはプリンターの使用状況をモニターし、トナーが切れる前に顧客に交換用のトナーを送ります。

もし、個々人の血圧や脈拍、汗などの情報が、ウエアラブル端末から常時、ヘルスマネジメント会社なるところ(病院とは異なる会社)に送られ、必要な運動の推奨、薬の購入あるいは送付、病院の紹介あるいは予約などが自動的に行われ、個々人はそれに従って動くということがあたりませになる時代が来るかもしれません。もちろん、個人情報の開示が前提になりますが、ICTを用いた新型コロナ感染対策を見ているとその可能性は大きいと思います。

コンプレックスセールスに従事されている方は、ICTの活用が営業の仕事を奪うところまではいかないことが分かったことと思いますが、「個」をセールスの対象としている場合は、セールステックの影響は非常に大きいと言えます。それが、「個」客にとってメリットがあれば、止めることはできないと考えるべきです。


‘The Age of Continuous Connection" HBR, May-June, 2019 (Translated by Diamond)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

営業はいらない:お薦めサービス戦略の検討 - 「個客」営業はセールステックを活用する側に回れ。

2020-05-10 17:23:25 | ・・営業はいらない
ゴールデンウィーク中に体重が3キロ増えました。職場で仕事をしていたときは、毎日1万歩以上あるきましたが、連休中は3千歩以下に。酒はやめていましたが、代わりに甘いものをちょくちょく。更に、脳みそを使わなかったので、エネルギー消費が大きく減り、お腹の周りに備蓄された次第です。

さて、セールステックの続きです。先週、テクノロジーを生かし、顧客と深く、長くつながる以下の4つのコネクテッド戦略を紹介し、(1)についてコンプレックスセールスに活用できるか検討してみました。

(1)「願望への対応」戦略
(2)「お薦めサービス」戦略
(3)「コーチング機能」戦略
(4)「自動的なサービス提供」戦略

今回は(2)「お薦めサービス」戦略です。この戦略は、顧客の購買履歴、行動履歴、顧客に関わるイベント・行事予定等から顧客が望むと予想される商品・サービスの選択肢を提供する戦略です。

提供するタイミングは、顧客がニーズを見極めた後で、満たし方を決める前です。
この戦略のメリットは、提供しやすい商品・サービスに顧客を誘導可能できることです。

多くの方は、amazonのお薦めサービスを体験されているので、「ああ、あのことか」と理解されますね。

コンプレックスセールスでももちろん顧客のニーズを満たす選択肢の提案は行います。しかし、提案内容がネットでお知らせするだけで済むような簡単な内容ではなく、また、説明が必要な関係者が多いため、会議を開いての提案説明になります。また、顧客が直ちに購入を決定することもまずありえません。

しかし、このような戦略は「個客」すなわち個人を相手にする商品やサービスでは大変有効です。よく御用聞き営業と揶揄されることがありますが、顧客のニーズを聞いて回る必要のある商品・サービスの提供にはセールステックは大変有効です。人間が1日かけて回れる「個客」の何倍もの「個客」とネット上で接することができてしまうからです。

このような観点から、営業が営業として生き残れるのはコンプレックスセールスだけと考えています。
逆に言えば、「個客」を相手にしている営業は、セールステックを活用する側に回る必要があるということです。



次回は、念のための(3)「コーチング機能」戦略、(4)「自動的なサービス提供」戦略についても検討してみます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

営業はいらない、セールステックを勉強してみた!

2020-05-04 00:53:01 | ・・営業はいらない
ゴールデンウィークの真っただ中、amazon primeで映画三昧、ほとんど外出はしないので、筋肉が弛緩。疲れていないので睡眠も浅い。朝早く起きてしまい、昼にうたた寝。脳みそが弛緩しすぎないうちにと思い、セールステックの勉強を始めてみました。

テクノロジーの技術的な中身を理解できるほどのITスキルはもう無いので、セールステックを活用した戦略から調べ始めました。視点はあくまでも「コンプレックスセールスをセールステックで置き換え可能か?」です。

ペンシルべニア大学のニコライ・シゲルコ、クリスチャン・テルビューシュ両教授は、テクノロジーを生かし、顧客と深く、長くつながるコネクテッド戦略を提唱しています。

具体的には、以下の4つの戦略になり、(1)から(4)の順に、より高度な戦略になります。以下で、一つ一つ検討していくことにします。

(1)「願望への対応」戦略
(2)「お薦めサービス」戦略
(3)「コーチング機能」戦略
(4)「自動的なサービス提供」戦略

(1)「願望への対応」戦略

顧客が望む商品・サービスを、できるかぎり迅速かつ円滑に提供する戦略です。顧客が何を望んでいるか注意深くモニターし、購入プロセスを簡単化、迅速化して顧客のニーズに素早く対応します。
例えば、トナーカートリッジが至急、必要になった場合に、プリンターのモデル名を入力すれば、カートリッジが数時間後に届くといったサービスです。クレジットカード番号や配送先は登録済みなので、あっという間に手続きは完了します。Amazonで購入体験のあるひとは、そうだねとうなずくはずです。
さて、生産財の業界でも、この戦略は取れるでしょうか。コモディディ化した部品、工具、装置などは、この戦略に乗せることはできますね。現場を支えるネットストア「モノタロウ」がその例です。
コンプレックスセールスではどうでしょうか。顧客がニーズを明確化したとしも、それを実現する方法は簡単ではありません。「願望への対応」は必要ですが、セールステックが手助けできる範囲は顧客管理などに限られると考えます。
「いや、そうじゃない」というコメントをお待ちします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

営業はいらない、セールステックで置き換え可能!?

2020-04-25 22:33:01 | ・・営業はいらない
先週も書いたように、「営業はいらない、ネットで十分」と言われると、営業をメインテーマに仕事をしている私のような人間には大ショックです。

そんな中、「耳が痛いような意見にも耳を傾けること」を信条の一つにしているので、あえて『営業はいらない』(三戸政和著、SB新書)を読んでみました。
この本を見つけたのは、帰りの電車の中。新型コロナ感染が騒がれている中、あまり他の人と接近したくない状況で、
私の目の前に年配の男性が立ち、いやだなと顔を上げたときに、この男性が線を引きながら熱心に読んでいたのがこの本です。

ホリエモンの推薦がオビにあり、そこには「最も大事で最も必要ないもの、それが営業ということだ。」とショッキングな文字が。
さらに、「テレワーク・在宅・時短 取引先に行かなくとも営業はできる」と続く。オビの裏には「営業マン不要という残酷な現実」の赤い文字が。
(ホリエモンのLivedoorの株で、大損したので憎さ100倍でもありますが)



この本の中で営業の仕事がセールステックというテクノロジーにより置き換えられているであろうと推定される統計データが記されています。
営業職は、この20年間で約100万人減り、逆に営業事務職が14万人増えたそうです。

御用聞き営業やコモディティ化した商品の営業は、インターネットによる販売に置き換えられていることは体験的にも分かりますね。
また、インターネットにより顧客の調査能力が向上し、情報の非対称性を戦術にしていた、葬祭業などは苦しくなっています。
しかし、コンプレックスセールスまで置き換えが可能とは思いません。

そう、私が思っているのは、一つには私自身がSFA(Sales Force Automation)などのセールステックを使ったことがないからかもしれません。
もう一つは、SFAの代表的な外資系企業S社からある企業の紹介を昨年末に依頼されたことからです。SFAなどの高額なシステムの販売は、コンプレックスセールスの典型です。

このS社は見込み客を絞り込み、その中の私の知り合いの会社の役員以上の方を紹介して欲しいと依頼してきました。
見込み客はデータベースから絞り込めますし、その企業の役員もホームページを見れば分かります。でも、「会う」という営業の最初のプロセスができないのです。
もちろん、営業資料の送付やメールを送ることはできますが、興味のない方に送っても無駄です。
機会を作っていただき、興味を持っていただく、営業の最初のステップがどうしてもコンプレックスセールスでは必要です。

結局、S社のアプローチは旨く行きませんでした。
オーナー会社である私の知り合いの会社のM社長の個性、考え方を十分に配慮したアプローチを取らなかったためです。
M社長は中小企業といえども社長は社長、普段、お付き合いしているのは、一流どころの社長や役員。世界一のSFAの会社とはいえ、部長クラスの方との面談はのめなかったのです。
私のアドバイスに従っていれば、と思った次第です。

やはり、「本物の営業」がコンプレックスセールスには、必要です。

『営業はいらない』の後半の「営業は独立して「小商い」をすべし」は頷けます。
とくにいたずらに規模の拡大を狙わず「小商い」に徹すること、ブルーオーシャン戦略ではなくブリーポンド戦略(Blue Pond)を取ること、
は私と全く同じ考え。ただ、ブルーポンド戦略というネーミングはさすが。

外出できない今だからこそ、営業の勉強、営業に関わるセールステックなどの研究をしてみよう。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

営業はいらない、ネットで十分!!

2020-04-19 01:02:13 | ・・営業はいらない
「営業はいらない、ネットで十分」と言われると、営業をメインテーマに仕事をしている私のような人間には大ショックです。

でも、実際に現実を見つめてみると、少額で単純な営業は、徐々にインターネット販売に置き換えられ、営業の活躍できる範囲は狭められています。

まず、私個人の購買行動を見てみましょう。

・Bicカメラの店舗に行って欲しものをチェックし、販売員から情報を仕入れて、ネットで価格の安いところから購入。
・プリンターのインクなどの消耗品をネットで安いところから購入。
・中古車情報をネットで検索し、気に入ったものを実店舗でチェックし購入(これはカミさんがやりました)。
・車の保険はサービス内容、価格、評判をネットで調査し、ネットで契約。
・葬儀屋をネットで探し、価格と評判をチェックし、葬儀を依頼。

私の会社の場合でも、
・文房具等の消耗品はコーポレート契約を結んだ後は、ネットで発注。
・名刺は必要情報をメールで送り、版下をチェックして、印刷を依頼。
・出張に必要な航空券をネットで購入し、ホテルもネットで予約。
・機械部品や電気部品をモノタロウあるいはamazonで購入。
・社員研修に必要な書籍をamazonのおすすめで購入。

確かに、購買行動の多くの部分が、ネットに置き換わり、営業の入る余地が少なくなっていることが分かります。

まだまだ営業がプロとして活躍できるのは、コンプレックスセールスです。

このコンプレックスセールスとは、高額の商談や技術的に複雑な商談で、

・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。

例えば、プラント建設やITシステム導入、生産設備の購入、オートメーションの導入、ビル管理、不動産の購入、大規模な移転などは好事例でしょう。

このコンプレックスセールスを戦略的に進めるツールが弊社の『理詰めの営業』です。

製造現場でのコスト低減努力よりも、値下げしない営業の頑張りが、会社の利益率を大幅に改善します。

「営業、頑張れ!営業のやる気で会社も元気になる!」おっと精神論になってしまったかな。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする