ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

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グロソブ、分配金を引き上げ 1万口あたり35円に

2009-09-13 14:10:45 | Weblog
グロソブ、分配金を引き上げ 1万口あたり35円に 2009年8月18日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090817AT2C1700X17082009.html
 国際投信投資顧問は17日、国内最大の投資信託、「グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ)」について投資家に毎月支払う分配金を1万口あたり5円引き上げ、35円にすることを決めた。組み入れている債券の利回りが上昇し、一時5800円台まで下落した基準価格が6500円程度まで回復してきたため。昨秋の米リーマン・ブラザーズ破綻以降、毎月分配型投信の分配金引き下げが相次いでいたが、引き上げるケースはまだ少ない。
 国際投信は今年1月、運用環境の悪化を理由に毎月の分配金を40円から30円に引き下げていた。グロソブは欧米の国債など格付けの高い債券で運用する投信で、運用残高は約4兆4000億円に上る。昨秋以降の急激な基準価格の下落や分配金引き下げを嫌気した投資家の解約が相次ぎ、7月までの10カ月間、新規購入を解約が上回る資金流出が続いていた。



 少し前の記事ですが、中々興味深い内容だったため、当ブログでも取り上げたいと思います。
 それにしても、世界の主要先進国が軒並みゼロ金利あるいはそれに準ずる超低金利になった今、あえて分配金を引き上げですか…。
 まあ、この商品の場合、利潤追求目的というよりは、高齢者向けに年金の足りない分を補う、資産取崩目的で保有してもらっているケースも少なくない(というよりも、銀行がそのように売りこんだ)だけに、分配金減額にかかる保有者の不満も高かったのでしょうし、愛想を尽かされて資金の流出(解約)が続けば、(投信自体のキャッシュ保有比率を増やさざるを得ず)満足な運用ができなくなることもあり、保有者の要望に応じて仕方なく分配金の引き上げに応じたといったところでしょうか…。
 ただ、これから先、いずれ金利が上昇に転じれば、既に組み込まれている債券の利率の魅力が相対的に下がる(仮に、3年後に定期預金の1年物金利が2%になると予想できたら、誰も好き好んでゼロコンマうん%の利率の債券など欲しがりませんよね… → だから、実際に世の中の定期預金の利率が上がれば、この利率の低い債券の市場売買価格は急落。その債券が組み込まれた投信の基準価格も下がるわけです)
 わけですし、この世界的に金利が過去最低水準にある中での資産の先食い行為は、ごくごく個人的な意見を述べるならば非常に危険なカケ。まだ分配金水準は維持した上で基準価格の回復に専念した方がベターな選択肢だったのではないかと思いますね。

「サイコロ」成型肉はよく焼いて レアだと食中毒の危険

2009-09-13 14:01:21 | Weblog
「サイコロ」成型肉はよく焼いて レアだと食中毒の危険 2009年9月12日 朝日
http://www.asahi.com/food/news/TKY200909120113.html
 ステーキレストランチェーン「ペッパーランチ」での腸管出血性大腸菌O(オー)157による食中毒で、原因とみられる「角切りステーキ」は普通の肉とは違い、端材を混ぜた「成型肉」で、中心部まで火を通す必要があった。客が焼く形だったが、成型肉とはあまり知られておらず、十分な情報提供が必要との声が業界で出ている。
 厚生労働省の11日のまとめで確認された患者は山口、奈良、兵庫、大阪、新潟、東京など11都府県の23人。疑わしい事例も含めると全国で患者は33人になる。
 経営するペッパーフードサービス(本社・東京)によると、使われたのは岐阜県大垣市の協同組合が作った成型肉。8月3日製造分の1ロット(2560キロ、最大で2万3千食分)が関東から中国、四国の約100店に出荷され原因となった可能性が高い。
 成型肉は、ブロック肉を切ったものではない。全国食肉事業協同組合連合会によると、たんぱく質などの結着剤で肉の端材や内臓肉などを混ぜて作るものや、輸入牛などに和牛の脂肪を注入して味を良くし圧力を加え形を整えるものがある。業務用のほかにスーパーなどで市販もされている。
 ペッパーランチの角切りステーキも、主に豪州産牛肉を使い様々な部位の端材を混ぜ成型しカットしていたという。一辺2・3センチのサイコロ状の生肉を260度の鉄板の上にのせて出し、客が自分で焼く形式だった。
 普通のステーキは、サーロインやヒレなど牛の筋肉にあたる部分が使われる。O157は筋肉内部には存在せず、たとえ表面に菌がいたとしても食べる時に表面を焼き、熱で菌を殺せばいい。レアで食べられるのはこのためだ。
 一方、成型肉は細かくした肉を混ぜ合わせるため、内部に菌が入っている可能性がある。01年にも成型肉のステーキでの食中毒があり、食品衛生法は十分な加熱が必要と表示するよう義務づけている。
 臨時休業していた都内のある店は9日に営業再開したが、客足は以前の半分程度に減ったという。入り口に張られた「おわび」を見るだけで立ち去る人も多い。
 東京都小平市の会社員(51)は以前食べた時に店員から「よく焼いてください」と言われたという。「でも食中毒を防ぐためとは知らなかった。一口大で一度に口に入れるから、中まで火が通っているかは見なかった」と話す。
 ペッパーフードサービスは今回の問題を受け、角切りステーキの販売をやめ、他のステーキも店で表裏を1分ずつ焼いてから出すことにした。接客マニュアルで「十分に焼いてお召し上がり下さい」と口頭で注意していたが、鉄板に添える油よけ紙にも「十分に焼いてお召し上がりください」と記すようにした。
 外食企業でつくる日本フードサービス協会の中井尚事務局長は「成型肉は十分に火を通すよう店側に徹底し、お客様にも理解してもらうよう情報を伝えなければならない。牛肉やレバーなどが生で提供され食べられている実態もある。厚労省とも意見交換し、業界全体の問題として取り組んでいく」と話している。

「ペッパーランチ」の光と影 急成長の裏で続発する不祥事に消費者離れ懸念も 2009年9月10日 MONEYzine
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/n_food_service__20090909_4/story/moneyzine_172616/
 ステーキチェーン店「ペッパーランチ」で食中毒問題を起こしたペッパーフードサービス。事業急成長の裏側で続発する不祥事は何を意味しているのか。
 ステーキ店「ペッパーランチ」を展開するペッパーフードサービスは、来店客が病原性大腸菌O157による食中毒を発症したことを受け、7日に続き8日も全国187の全店舗で営業を休止した。9日から順次営業を再開したい考えだが営業再開日はまだ未定だ(8日時点)。
 ペッパーランチは同社が運営するステーキを主体としたチェーン店。加熱した鉄皿に肉を乗せ、客が好みの焼き具合で食べることができる。1995年の会社設立から10年強で約200店を出店。毎年のように売上を伸ばし、08年度の売上高は05年度比で4割増加するなど急成長をはたした。
 しかし今回の食中毒問題は、同社の成長にブレーキをかけることにもなりかねない。店舗の営業休止による収入減で売上高回復に時間がかかる可能性がある。食中毒が明るみになった週明け7日には、同社株は13%安の6万1900円と急反落。患者が新たに見つかったことで翌日の8日も6万3500円と低調に終わった。
 ペッパーフードは8日に、肉を加工していた取引先との取引中止を発表したが、同社のチェックが甘かったことが問題の原因とされており、責任の追及は必至だ。同社は過去にも07年に大阪で店長らが食事中の女性客を暴行する事件や08年に東京で店長が取引相手を殴る傷害事件を立て続けに起こしており、不祥事続きの印象が否めず、イメージ悪化による消費者離れも懸念される。
 ペッパーランチは調理手順が簡素なことから、フランチャイズチェーン店を展開しやすく、急成長を続けてきた。しかしその一方で続発する不祥事に、事業拡大に経営陣の監視が追いついていない可能性も指摘されそうだ。




 う~ん。私は食中毒事件を引き起こしたペッパーランチやどんでこの商品を食べたことはないのですが、ごくごく個人的な意見を述べるならば、そもそもしっかり火を通さなければならない食品を顧客に自ら調理させるというビジネスモデルそのものに根本的に無理があると思うんですけどね…。
 私自身、このサイコロステーキ肉は、安い時には100グラム100円程度の安値でスーパーで購入できることもあり、時折買ってきて自宅で調理するのですが、フライパンにふたをして、かつ2回程度はひっくり返すことでしっかり火が通るように調理していましたし、ハンバーグの生焼けには気をつける方でも、サイコロ肉の場合は、(ハンバーグと異なり)自分自身の手で作ることができないことから、いくら店頭で注意を促しても、ついつい十分に調理をしないまま食してお腹を壊す被害はこれからも忘れた頃に発生しそう…。
 別にサイコロステーキという商品そのものに責任があるわけではありませんが、私達消費者の側もこういった商品とは賢く付き合いたいものですね。

衆院議員の日給115万円!? たった2日で満額支給

2009-09-13 13:53:01 | Weblog
衆院議員の日給115万円!? たった2日で満額支給  2009年9月13日 産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090912/stt0909122209016-n1.htm
 8月30日の総選挙で当選した衆院議員の8月分の歳費が16日、480人の全議員に支給される。同月の在任期間は投開票のあった30日と31日のわずか2日間だが、歳費と文書通信費の計230万1千円が満額支払われる予定だ。日給換算で約115万円、全議員で約11億円という巨額な支出で、「社会常識を逸脱している」「無駄遣いだ」と批判も出ている。
 衆院事務局によると、16日に支給されるのは、8月と9月分の歳費と文書通信費の一部。議員の任期は投開票日にスタートするため、8月30日からが歳費支給の対象となる。
 歳費の額は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」で1人当たり月130万1千円と規定されている。8月の在任期間はわずか2日だが、同法には「日割り計算」などの制度はなく、満額が支給されることになった。
 また、電話代や交通費など政治活動に使う目的で支給されるが、使途報告義務がなく「事実上の歳費」とも呼ばれる月100万円の文書通信費(正式名称・文書通信交通滞在費)についても全額支給される。
 こうした解散総選挙による“歪(ひず)み”は以前から指摘されている。平成12年6月の総選挙では同月2日に解散したため、わずか2日間の在任期間を理由に499人に1カ月分が満額支給され、問題になった。
 歳費の返納は「公職選挙法が禁じる寄付行為にあたる」との理由で認められていない。このため、過去には一部の議員が公選法に抵触しない「選挙区外」の慈善団体に寄付したケースがある。
 民主党新人の横粂(よこくめ)勝仁議員(28)は、「一般的に考えておかしなことだと思う。今回は受け取るが、選挙でかなりのお金を使ったので、恐らくそこに充てることになるのでは」と戸惑い気味に話す。
 近畿地方の民主党の中堅議員も「(8月)30、31日はあいさつ回りで忙しく、国会議員としての仕事はしていない。2日間で1カ月分というのは社会常識を逸脱しており、報酬規定の見直しが必要だろう」と訴えた。
 “政治とカネ”の問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授(政治学)は「無駄遣いとしかいいようがない。日割りや返納などの制度を導入すれば済むのに、議員自らのことなので改正に意欲的でなかったのだろう。民主党は無駄遣いの撤廃を打ち出しているが、身近な点から改革しないと、国民の理解は得られないのではないか」と話している。



 ん…。実際には月に数日しか働いていないのに初当選した議員に1か月分の手当が丸々支給される問題は、これまでもテレビのワイドショーなどで何度か取り上げられていたのですが、今回は国政選挙が30日という月末に行われたにも関わらず日割り支給しなかったことで、ますますこの問題が世間の注目を集めているようですね…。
 まあ、選挙運動を行う側からみれば、1か月分のお手当と言っても、当選日以前も選挙運動で普段の何倍も働いていたことから、1月分の仕事を前倒しでしてきたという自負もあるのでしょうし、実際選挙で当選しようと思えば出費もバカにならないことから、これまではなあなあで運用されてきた一面もあるのかもしれませんが、今は失職後、運良く再就職先を見つけることができても社会保険を適用して貰えればラッキーな方で、内定をもらってから『ウチは日給月給だからそこのところよろしく!』といった働き手に衝撃的なセリフが平気で出てくることも決して珍しくありませんし、そういった民間企業に勤める働き手からみれば、まだまだ民間とは大きな意識のズレがあると言っても決して言い過ぎにはならないでしょう。
 『歳費の返納は「公職選挙法が禁じる寄付行為にあたる」との理由で認められていない』というのも、『国相手に一体何を圧力をかけることができるのか』を考えれば実にばかばかしい規定ですし、政権を取った民主党は、歳出の無駄をあぶり出すと息巻いていますが、まずはこの目の前にあるムダを適正な水準に是正できるのか…。民主党が有言実行してくれることを大いに期待したいと思います。

日航、米デルタが出資打診 300億~500億円、交渉は流動的

2009-09-13 13:45:51 | Weblog
日航、米デルタが出資打診 300億~500億円、交渉は流動的 2009年9月12日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090912AT1D110AR11092009.html
 経営再建中の日本航空が航空世界最大手の米デルタ航空から300億~500億円規模の出資を打診されていることが11日明らかになった。日航は同じ国際航空連合に所属する米アメリカン航空と提携しており、デルタからの出資受け入れには慎重な姿勢。日航の再建を監視・監督する国土交通省は日航とデルタの提携に前向きとされるが、金融機関などの思惑も絡み、今後の行方は流動的だ。
 関係者によると、デルタは8月末に日航に出資を打診してきたという。実現すれば出資比率は6.7~11.2%と筆頭株主になる。これに対し日航は同じ航空連合ワンワールドに所属するアメリカンとの関係から「デルタとの提携は難しい」(幹部)とみている。日航は今後アメリカンへの出資要請を検討する見通し。

日航再建、思惑が交錯 デルタとの提携、国交省後押し 2009年9月12日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090912NT1C1100N111092009.html
 日本航空が米デルタ航空から出資を打診された。日航再建を監督する国土交通省は提携を後押ししており、日航が本格交渉の土俵にのぼる可能性はあるが、関係者の思惑は交錯している。
 日航とデルタの提携報道が流れた11日夜、日航の社内には困惑が広がった。「デルタから出資の打診があったが、何も決めていない」(役員)
 デルタがこのタイミングで日航に接近した背景には、日米の政府間で「オープンスカイ」交渉が進む見通しになったことがある。民主党はマニフェストに、国際的に航空市場を開放し合うオープンスカイ政策の推進を盛り込んだ。日米間でオープンスカイが成立した場合、日航は同じ航空連合ワンワールドに所属しているアメリカン航空と、全日本空輸はスターアライアンスに所属するユナイテッド航空と大型提携に踏み切る見込みだ。

日航、2500億円規模調達 経営改善計画、増資など検討 2009年9月12日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090913AT1D1201F12092009.html
 経営再建中の日本航空が2010年3月期に新たに2500億円規模の資金調達を検討していることが12日、明らかになった。増資で1000億円強を調達するほか、金融機関への追加融資要請や子会社株の売却に踏み切る。増資の一環として米デルタ航空からの出資受け入れ交渉に入り、商社や投資ファンドにも出資を要請する構え。当面の必要資金を確保すると同時に資本増強で財務を強化。路線整理や人員削減などリストラを進め、再建を軌道に乗せたい考えだ。
 日航は9月末をメドに国土交通省の監督下で経営改善計画をまとめる予定。抜本リストラを進めるには追加資金が必要で、2500億円規模の資金調達は改善計画の柱となる。



 う~ん。ここに来て、米デルタからの出資の話が出るなど、日本航空(JAL)の再建問題が急にバタバタしはじめましたね…。
 とはいえ、仮にデルタに出資してもらったところで、デルタ側としては出資する以上は、当然ながら日航の路線の大胆なリストラなど抜本的な経営改善を求めてくる可能性が濃厚ですが、2005年9月に一旦連邦破産法を申請して身軽になったデルタとは異なり、日航の場合は地方路線から撤退しにくいといった元国営会社特有の経営事情を抱えていますし、これまで法的整理の申請を金融機関が渋っていたことから、日航としては人員削減が中心のリストラを行わざるを得ませんでしたが、そのいつ止むかわからない断続的なリストラが やる気のある若手従業員を流出させる悪循環に陥っているのが、この会社の置かれている紛れもない現実。
 仮に外資と組むとしても、OBの年金支給水準の見直しを行うなど、会社が生き残るためには抜本的な経営改善策を講じることが避けられないと思いますが、日航は次にどのような経営改善策を打ち出してくるのでしょうか…。
 いっそ、外資の圧力を利用するのも抵抗勢力?から条件を勝ち取る上での有力な選択肢なのかな…と思わなくもないのですが、労働条件問題はまだしも、地方路線の見直し問題の場合は、利用している空港の稼働率や地域経済への影響も絡むだけに、その問題の解決は中々苦労しそうです。

大和と住友の合弁が解消 大和SMBC、銀行がリード取りたかった=奥・三井住友銀頭取

2009-09-13 13:32:57 | Weblog
大和と三井住友が合弁解消、銀証のビジネスモデルで見解相違 2009年09月11日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK030334720090910
 大和証券グループ本社と三井住友フィナンシャルグループは10日、ホールセール業務、大和証券SMBCの合弁事業を解消すると発表した。大和は銀行と資本関係のない独立系証券に戻り、三井住友は買収を決めた日興コーディアルを軸に証券業の拡大を目指す。両社の見解の相違は、ホールセール証券の経営権をどちらが握るかで合意できなかった点のほか、銀行と証券をめぐる金融コングロマリット経営に対する根本的な哲学にあったようだ。
 大和は、現在6対4の出資比率で経営する大和証券SMBCの三井住友の持ち分を12月31日に買い取る。取得価格は約2000億円になる見込みで、三井住友銀行から1000億円の融資を受ける予定。
 10日、都内で別々に会見した両社首脳の発言からは、2つの点で見解の相違が鮮明に表れた。
 まずは証券の経営権をどちらが取るかについて。三井住友銀行の奥正之頭取は、2008年後半以降、大和証券SMBCのあり方について、大和証券グループと枠組み変更も含めて協議をしてきたことを明らかにしたうえで、「大和SMBCは、銀行がリードを取るかたちにしたかった」と述べた。
 一方、大和の鈴木茂晴社長は「金融資本市場の発展のためには証券は証券のプロが、銀行は銀行のプロがそれぞれ主導しつつ、シナジーがあるところでやるのがいい」と述べ、大和が経営権を握ることを希望したことを明らかにした。
 両社には「どちらにも譲れない哲学があった」(鈴木社長)という。
 金融のコングロマリット経営に関する見解も交わらなかった。
 奥頭取は会見で、リーマン危機後、欧米投資銀行の間で銀行と証券の一体化の動きが加速していることや、日本でファイヤー・ウォール規制の緩和が進んでいると指摘。銀行がグループ経営において、主導権を握って証券業を大きくする希望があったことを明らかにした。
 鈴木社長は「金融コングロマリットは今の世界の潮流では求められていない」と発言。銀行と証券の垣根は低くなってきたが「弊害も顕著化している」と指摘し、「Too big too fail(大きすぎて潰せない)な金融機関にはならない」と語った。
 三井住友は今後、日興コーディアル証券を証券事業の柱に位置付ける。奥頭取は「日興はリテールがメーンなので、ホールセール部門を強化する必要がある」と述べ、セールス・アンド・トレーディング部門の機能強化など、課題が残ることを示した。
 大和は10年前と同様、独立系証券に戻る。鈴木社長は、大和の主幹事社数は800社超あり、そのうち三井住友をメーンバンクとする企業は200社強あることを明らかにし、三井住友との提携を解消することで「逆に違う商いもできる可能性がある」とメリットを指摘した。
 一部で懸念される流動性の供給については、仮に、2年間短期市場が閉鎖して資金が取れなくても問題ないほどの流動性を確保していると強調。提携解消の収益への影響は「限定的。どれくらいかといえば10%くらい」と述べた。これまでも「基本は大和主導でやってきたし、今後もいいビジネスができる自信がある」とした。
 両社は法人向けの証券業務で10年間、大和証券SMBCを通じ提携してきたが、三井住友が今年5月、日興コーディアル証券のリテールとホールセールの一部事業の買収を決めたのを機に、合弁解消を決めた。大和証券SMBCの子会社で自己資金投資会社の大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツについては、今後も大和証券グループ本社と三井住友フィナンシャル・グループの持分比率が6対4になる枠組みで運営を続ける。
 両社とも、友好関係は長い歴史の中で培われてきたため、三井住友が大和のメーンバンクであり続けることなど、何ら変わりはない点を確認している、としている。

大和SMBC、銀行がリード取りたかった=奥・三井住友銀頭取 2009年09月11日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK030328720090910
 三井住友銀行の奥正之頭取は10日、大和証券グループ本社との間でつくる大和証券SMBCの合弁事業解消についての会見で、大和SMBCに対しては銀行がリードを取るかたちにしたかったと述べた。
 奥頭取は、2008年後半以降、大和証券グループと大和SMBCのあり方について、枠組み変更も含めて協議をしてきたことを明らかにし、その上で銀行の顧客基盤や大和に対する流動性の供給の役割などもあり「大和SMBCは、銀行がリードを取るかたちにしたかった」と述べた。しかし、大和証券の理解を得られなかったという。
 奥頭取は背景として、リーマン危機後、欧米投資銀行の間で銀行と証券の一体化の動きが加速していることや、日本でのファイヤー・ウォール規制の緩和が進んでいることなどを挙げた。
 大和SMBCの収益に対する寄与度は「4割は行っていなかったと思う」と述べた。ただ、「信用補完の役割も果たしていた」として、大和証券グループを支えていたとの認識も示した。
 今後は、買収する日興コーディアル証券を証券事業の柱に位置付ける方針を表明。しかし、「日興はリテールがメーンなので、ホールセール部門を強化する必要がある」と述べた。具体的には、セールス・アンド・トレーディング部門の機能強化、人員強化が必要だとした。




 ん…。私が経営者の立場ならば、自社が強くなるならば表面上の主導権なぞどうでもいいことですし、もし相手側が救済合併されることを警戒しているならば、今の関係を継続することで確実に果実を得ることを選びますが、銀行の方って どうしてそこまで主導権を握ることに必要以上に拘るんでしょうね…(苦笑
 まあ、銀行側から見れば、大和に対して顧客の紹介など『いいところ取りされてこちらのメリットがない』といった不満を抱えていたのかもしれませんが、大和証券と言えば、業界トップの野村證券とは既に圧倒的な力の差があったとはいえ、ここ数十年では山一を含めた大手4社のうち追撃の一番手(業界2位)に位置し、日興証券と比べても独立意識の強いことでも有名な会社。
 完全な救済合併だった平和相互銀行の時とは異なり、一方的に吸収することが得策とは思えませんし、仮に強引に子会社化をもくろんだところで、雇用形態の多様化と転職がごくごく普通になった現代では『欲しい人材に逃げられる』というまさに現在の野村が旧リーマンの人材に懸念している事態と同様のトラブルに襲われるデメリットの方が余程大きいと思います。
 日興が同じ住友グループ入りすることで、それでなくても大和側には危機感があったと思いますが、ここで『証券部門はあなたがた(大和)に任せますよ』と表面上のポストや権限を与えた上で、実権はしっかり握っておけばいいものの、どうも銀行さんはなにかと主導権に拘り過ぎて、そのことが相手の反感を買い自滅するパターンが決して少なくないように思いますね。

 もっとも、大和証券から見れば経営の自主性は守ったものの、肝心の法人営業力という企業体力の主力を占める分野が10年の間にすっかり弱体化してしまいましたし、住友にとっても野村に対抗できるグループを作ることができなければ日興を傘下に入れた意味がなく、かといって既に弱体化した日興を今の大和並みに強化するにも時間がかかりそう…。
 何のために10年間も提携をしてきたのか全くメリットがないわけで、まさに『つまらないプライドがM&Aを失敗に終わらせてしまう』M&Aの格好の失敗事例として後々も長く語られ続けることになりそうな気がします。