謎の解決において重要なのは、探し求められているのが解決だということを知っているだけでなく、どの点においてどのような仕方でそれが解決であるかをも知っていなければならないということである。たとえば人間がスフィンクスの謎の解決であることを知るという場合でも、それがなぜ解決であるかを理解していなければ、その解決を知ったところでなんの意味もないであろう。してみれば、まさに目の前に解決があるのに、さらにはずっと以前から目の前に解決があったのに、人はそれが解決であることに気づかなかったのかもしれない。ヴィトゲンシュタインにとって、まさにそれこそが、彼が哲学的問題の解決とみなすものにおいて生じている事態である
J.ブーヴレス(『言うことと、なにも言わないこと』)