土偶を読む――130年間解かれなかった縄文神話の謎 単行本 – 2021/4/24
竹倉 史人 (著)
竹倉 史人 (著)
誰もが知っている土偶のモチーフに隠された謎を門外漢の筆者が明らかにした内容を本にしたもの。ある意味痛快な内容ですがなかなか1度思いこんでしまったことを覆すというのは簡単ではないことを戒めてくれる内容でもあるかと思います。従来考えられてきたモチーフは…妊娠女性、宇宙人、他母神、精霊など。そもそもの人体というところに遡りだした答えは土偶は
「土偶は食用生物と貝類を表している」というものです。
以下に記していますがほぼ発掘されたタイプでモチーフが明確に回答できないものはないということからもかなり確からしいのでは?思いますが実際に推測するだけでなく裏付けとなる周辺データ=貝塚や植物分布の発見当時の資料などにもあたり総合的に裏付けた結果で判断している点です。これは筆者の専門である人類学的なアプローチが存分に発揮された成果なのではとは思います。ただこのような解明に時間がかかったのは学業の分業化による副作用の1つともいえる問題で考古学の専門家が解明できなかったというのはある意味怖いものだとは思いましたし、どんな分野でもどうしても変に常識に固執してしまうことは多いものそういった点でも警鐘を鳴らす内容でした。自身の取り組んでいる分野でも異端を切り捨てず多様性のあるチームで取り組んでいく必要があるというのは改めて言えることだと思います。
以下は謎解きに出てくる主な対応表
ハート形土偶:オニグルミ
合掌土偶、中空土偶:クリ
椎塚土偶:ハマグリ
みみずく土偶:イタボガキ
星形土偶:オオツタノハ
縄文のビーナス/カモメライン土偶:トチノミ
結髪土偶:イネ
刺紋文土偶:ヒエ
遮光器土偶:サトイモ
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