2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か 太田 泰彦 (著)
コロナに端を発した半導体不足と地政学も絡んだ戦略物質、インフラの1つとなりつつある半導体の世界の歴史、今、そして未来を記者の目から分析した本。各種インタビューからの情報も多数掲載されており、入念な取材を持って書かれており、要点がわかりやすくつかめる内容だと思います。
今も昔も中心であり続けたい米国ですが最先端半導体に対する競争からは少し遅れ始めていることもあり、TSMC含めた囲い込みを強力に進めているところから入って中国との関係と間に挟まれる台湾情勢などの情報がファーウェイやTSMCの関係者に対する取材も含めて前半で解説されています。先端ロジック半導体ではTSMCと並ぶ韓国の半導体産業も含めデジタル三国志として例えられてます。確かにこれらの企業はほぼ環太平洋に位置していているのは面白いところ。
6章からは日本の半導体産業のこれからについて。DRAMを牛耳っていた過去が懐かしいところですが経済安全保障という観点から半導体産業に力を入れていく方向性は大きな潮流として変わらずですが強みを強化しながら次世代の潮流を読んでGamechangerになることを目指すという方向性が垣間見れる内容です。素材、装置関連に関してはまだまだ競争力がありこの位置を確保するのとパワー半導体、イメージセンサー、化合物半導体などまだ分野として先端があるところは今の立ち位置をキープしていくことが重要。さらに今後に向けては微細化だけに頼らない高性能化という観点でChip3次元化と素子間通信の高速化を図る光電融合などもありそういった先の先を打つ技術に注目する必要はありそうです。
半導体に関連する企業は大きくファブレス中心の設計するGrp、TSMCなどの作るGrp、GAFAMなどの使うGrpの3勢力あるわけですが日本としてそもそも「使う」パートが先端半導体に至っては居ないことから付帯する2つのパートもどうしても育ってこない面があるのは致し方ないところもあるのかもしれませんがそこらへんは国の壁を飛び越えてうまく連携を取っていくしかないのでしょう。
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