世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書) | |
山口 周 | |
光文社 |
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」」山口 周 (著)
経営で必要とされているのは論理的思考よりも美意識だ、と言ったらなかなか信用しない人もいるのかもしれないですがここ10年ぐらいで変わってきた流れとして美術というよりは美意識、感性、直感というのが注目されています。この本はそんな流れに呼応してビジネスに今後どのようなことが重要になっていくかを考えた本です。
英国のRCA(Royal college of Art)に研修に行ったり、MBAだけでなくMFA=芸術学修士の価値が上がってきているというTrendがすでに起こっているとのこと。それは今後の経営者やリーダーに求められていることとしてMBAで取得されるような論理的な思考に加えてより新しいものを生み出す、軸を持って人の気づかない視点で考えるということの重要性が増しているということでしょう。時代の変化として右肩上がりではなくなってしまったため今までの延長線上で資源分配をするようなケースはMBA的な知識は役に立ったのですがいやゆる何がビジネスになるか、そしてどちらとも優劣がつけがたいような選択をする場合には結局その人の感性、直感で判断するしかなくいわゆる「筋がいい、わるい」を判断できる経営者こそが生き残るのだという風に考えられているのでしょう。軸というものをいかに持てるようになれるかということなのだとは思います。
一世を風靡したコンサル業界での分析、フレームワークやロジカルシンキングで導き出される結論というのはどうしても画一化されてしまうので結局は活用してしまえば横並びになってしまうというのも背景にはあるそう。分析で導き出されるのは論理的、理性的なもの。それに対して直感的で感性的な結論というのは普通に考えると意思決定の場所では活用されずらいようには思いますがそこが逆にポイント。あまりにも論理的な思考のみに編重しすぎているというのが差別化できないリスクになるというわけです。VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧)という言葉に象徴される今日の世界では、正解というのはあるようでないのが事実。 このような状況の中で守・破・離を実現するにはアート(直感)・サイエンス(分析)・クラフト(経験からの知)の中でアートを柱に据えてサイエンス/クラフトを支えさせるというスタイルが望ましく、ソニーもホンダもユニクロもアップルもTopに据えられているひとというのは強力なビジョンを描く「アート」な人であるわけでそれを参謀が支えているような形であるわけです。
製品を売る上で顧客側に近くなればなるほど性能といった要素よりもストーリーや世界観といった要素が重要になります。こういった観点では日本の文化的なものはまだまだ世界に誇れるものはあるのではないかと思いますがいかに活用していくかがキーで世界観や美意識を様式としてではなく哲学として織り込んでいくことが重要となりそうです。
最後にどのように美意識を鍛えるのかについて… 下記のようなものが挙げられています。
絵画鑑賞での観察眼、哲学での常識を疑う力、文学を通した疑似経験、誌を通したレトリック、比喩表現
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます