学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

同期の仲間たち

2019-10-10 21:21:12 | その他
池井戸潤さんの小説『オレたちバブル入行組』に始まるシリーズの主人公は半沢直樹という銀行員である。テレビドラマでは堺雅人さんが演じ、劇中の「倍返し」のセリフは一躍有名になった。彼はバブル経済期に銀行へ入行し、責任を取らない上司や周辺、あるいは銀行そのものの不条理と戦う。大きな組織と戦うとき、彼の大きな味方となるのが同期入行の仲間たちである。半沢は、彼らから様々な意見や情報をもらうことで、相手との情報戦で有利に立とうとする。

私にも同期が15人程いる。私が配属されたのは美術館だが、同期たちは行政の様々な仕事に携わっている。先週、久しぶりに顔を合わせる機会があって、近況の話に花が咲いた。一言で同期といっても中途採用もあるから、年齢も違えば、社会人経験も違う。それでも気を遣わずに言いたいことを言い合える仲間たちで、お互いに情報交換しあうのはもちろん、悩みや困ったことがあればみんなで考えて解決策を出す。私は学芸員だから、よくお勧めの展覧会や美術のトレンドについて聞かれることが多い。実際、私がお勧めした展覧会を見に行って感想を教えてくれる人もいて、私としても、美術に興味を持ってくれることが、とても嬉しい。

一方、櫛の歯が抜けるように辞めていく同期が相次いだり、極端に仲が悪く一切口もきかない同期がいる世代もあると聞く。そうしたなかで半沢直樹の小説のように、良い同期たちに恵まれたことを、私はいつも感謝している。人と人との出会いには何かしらの縁があるのではないか。「袖振り合うも他生の縁」という言葉もある。これからもこの縁を大切にして、お互いに助け合いながら、一緒に歩んでいきたい。

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