細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●「父親たちの星条旗」の新しい解釈

2006年10月13日 | Weblog
●10月12日(木)12-30 日比谷<ワーナー試写室>
M-121 「父親たちの星条旗」Flags of Our Fathers (2006)warner
監督・クリント・イーストウッド 主演。ライアン・フィリップス ★★★☆☆☆
クリント・イーストウッドが異例の同時製作、監督した硫黄島二部作のアメリカ・サイド版。
あの硫黄島での壮絶な日本軍との戦いの勝利で、有名な星条旗の掲揚は、実はヤラセだったという、回想調査した小説をもとに描かれた戦争映画だ。
写真には6人の兵士の姿が写っているが、その中の3人は直後に戦死。
残った3人の兵隊は、直後にアメリカ本国に送還され、軍資金不足の折に、国債資金調達の広告塔として使われた。
彼らは「硫黄島の英雄」として騒がれたが、本当のヒーローは戦死していて、我々はクズだ。
つまり、「戦争にヒーローはいない」というクリントのメッセージが込められた作品なのだ。
モノトーンで描かれた戦場も、本土アメリカの風景も荒廃していて、今までに見た戦争映画とは違う。
もう一本の「硫黄島からの手紙」を見てみないと、全体の評価は出来ないが、少なくとも、製作のスピルバーグの映画のようなエンターテイメント性をなくした、イーストウッドの映画になっているのが嬉しかった。
ジョン・ウェインの「硫黄島の砂」も、かなり事実を描いていたことがよく判ったし、あの映画のラストで死んだジョン・ウェインが、ヒーローのひとりだったのが、これで認識できた。
日本人としては、必見の力作だろう。

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