細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ふたりの旅路』は伴侶を失った妻の、かなりボケな心の旅路。

2017年06月16日 | Weblog

●6月8日(木)13-00 渋谷<映画美学校B-1試写室>

M-066『ふたりの旅路』" Magic KIMONO " (2017) DCP Krukfilms/ Loaded Films ラトビア・日本

監督・脚本・マーリス・マルティンソーンス 主演・桃井かおり、イッセー・尾形 <99分・シネマスコープ> 配給・エレファントハウス

<ラトビア>という国のことはまったく知らなかったが、漠然とはロシアの西の辺りにあって、ドイツの東のルーマニアとかの辺りだとは知っていた程度で、この映画で初めて知った。

というか、この作品は、そのラトビアと姉妹都市の神戸市が共同プロジェクトを組んでの合作なので、両方の都市のロケを活かした一種の観光映画とも見られた。

従って、そのラトビアの映画監督が日本との共同製作をしている関係なので、ほぼ大半をラトビアと神戸でのロケをしているので、まるでダブル観光ツアーのように、のんびり愉しめる。

おかしなストーリーで、そのラトビアで日本文化を紹介するイベントの一環として<ジャパンきものショー>が開催されることになり、桃井かおりの着付け未亡人は、そのリガという首都に赴く。

彼女は神戸の住人で、夫と娘と3人で暮らしていて、レストランを新設経営しようと準備していた矢先に、あの大地震で夫と娘と私財も失って、ひとりきりで生きて来たが・・・実はかなりの災害ボケ。

今回、招かれたラトビアのホテルや市街地では、はじめはご主人のイッセー尾形も同行していたが、どうも紋付羽織袴で歩くダンナは、どうやら<ゴースト>らしいことが、少しずつ判ってくる演出だ。

つまり、あの黒澤清監督の「岸辺の旅」のラトビア版、という次第で、「ゴースト」のように、古くはレックス・ハリソンの「幽霊と未亡人」と同様な設定のファンタジーというワケ。

しかしどうも、桃井かおりが例によって、自己暗示をかけるようなスローな一人芝居を展開するので、後半はドラマにも間延びがしてしまって、テンションも切れ切れになってしまう。

おまけにイッセー尾形の演技も、まったくジコチューなブツブツの独り言芝居なので、異郷地で方向オンチになったようなドラマも、桃井かおりの演技との絡みがルーズで、後半はダレてしまう。

ラトビアという国は、いかにも東ヨーロッパの小国、という佇まいが旅愁を誘うのだが、このゴーストとの旅先の夫婦ドラマがダラダラと曇調なので、さすがにダレてしまった。

おそらく、監督も日本の俳優の長めの芝居には<カット!>も出せずに長まわししてしまったのか、いかにも凡長なゴースト・ストーリーになってしまった。

 

■ショート横のレフトへのゴロだが、セカンド手前で失速、アウト。 ★★★

●6月24日より、渋谷ユーロスペース他でロードショー 


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