細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『トンプスンの逃亡』の、枯れても熱い、宿敵への最後の友情。

2021年12月18日 | Weblog
●12月17日(金)21-00 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-163-60 『トンプスンの逃亡』<男たちの勲章> "Thompson's Last Run " (1986) Gerald Freedman Production, United Artists Film
監督・ジェラルド・フリードマン 脚本・ジョン・カーレム 主演・ロバート・ミッチャム、ウィルフォード・ブラムリー 
自称ロバート・ミッチャム・フリークの当方としても、あの名探偵フィリップ・マーロウを演じた「さらば愛しき女よ」よりも、大好きな作品だ。
窃盗常習犯の、初老のミッチャムは、その軽犯罪を繰り返しては、刑務所の自室牢獄で、大好きな読書を過ごすというおとこで、そのライフスタイルに満足していた。
ところがある日のこと、見知らぬ若い女性が面会に来て、脱獄の手助けするので、一緒に窃盗をして、カナダに逃げないか・・・という相談を持ちかけたのだ。
あまり乗り気ではなかったが、その遠い親戚を名乗る女性は、とにかく巧みな段取りで、あまり監視の厳しくない牢獄から、強引にミッチャムを脱出させたのだ。
ほとんど警備のない下町の工場から、深夜にいくつかの備品を盗んでは売りさばき、逃走資金を用意していく二人は、とにかく着々と決行の夜を迎えていた。
その犯行は、ほとんどシロウト泥棒の手口なのだが、そのふたりを逮捕するのが、定年退職の仕事をして上司から命じられたウィルフォードは、実はミッチャムの旧友なのだった。
テキサスの片田舎の、工場の金庫から給料の金などをせしめては、逃亡を重ねて北へと二人は田舎を移動していたが、どちらかというと、ミッチャムは窃盗より博奕の達人。
転々とモーテルを北上しては、田舎町の寂れたバーで、ポーカー賭博の穴場を聞き出しては、得意のイカサマ賭博の腕で、着々とカナダへの町を転々と北上していった。
その犯罪の経路を捜査していた警察は、老刑事のウィルフォードを定年退職のラスト・ジョブとして振り当てたのは、実はこの二人は若い時からのネコとネズミの仲だったのだ。
ま、こうして見ると、これも一種の<バディ・ムービー>で、その相手の行動を知り尽くしている二人は、追いつ追われつの道中の毎日が、これが老後の生き甲斐のよう。
その初老の二人の、いかにも軽くも人生の味わいもあって、まったく迫力のない友情の日々が、西部劇時代の古くからある、どこか嬉しい老人の<鬼ごっこ>なのだ。
という意味では、初老窃盗犯とそれを追う定年刑事の友情物語のように、実に味わい深く、ラストでは逮捕寸前の追いかけで、刑事が心臓発作を起こして倒れてしまい、
その介護のために逃亡のミッチャムは、救急車を呼んで、宿敵の刑事を病院まで護送する、という、実に心暖かい友情の、感動のラストには、ホロリとする。

●左中間を抜けるゴロをモタモタして、スリーベースにしてしまう友情?  ★★★★
■レンタル・VHSでの鑑賞。

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