細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『レイト・ショー』は、ウェスト・ハリウッドの脱落映画人の、実態苦笑コメディ

2021年12月22日 | Weblog
●12月21日(火)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-164-61『レイト・ショウ』"The Late Show" (1977) Warner Brothers, Harry and T Production. Robert Altman Pro.
製作・ロバート・アルトマン 監督・ロバート・ベントン 主演・アート・カーニー、リリ・トムリン <98分・カラー・ビスタサイズ> 
ちょうど、ハリウッドでCMの撮影をしていた時代に、ウェストハリウッドで、夕食待ちの暇つぶし見た作品だったが、意外に面白くてVHSで再見したが、
ロバート・アルトマンといえば、当時は「M★A★S★H」や「ザ・プレイヤー」などで、ハリウッドに新風を吹き込んだ異彩で、その彼が製作していた。
監督は「クレイマー、クレイマー」や「殺意の香り」などで注目のロバート・ベントンで、このクセもののハリウッド・アウトローのコンビなので気になって見た。
案の定、この異色作は、たしか本邦公開は見送られて、当時、一緒にCMのロケでウェストハリウッドに行っていた電通の今村氏(石上三登志)とは、レイトショウで見た。
一種のお遊び映画で、一応は異色コメディとして、現地では受けていたが、さすがにこの感覚は本邦での興行は危惧されたのか、一般公開はしなかったようだ。
あの名作「ハリーとトント」でアカデミー賞を独占して、主演男優賞を受賞したアート・カーニーも、その後にはオファーもなく、これはアルトマンとの道楽映画。
しかも「ハリーとトント」でニューヨークを脱出して、ヒッチハイクでウェストコーストまで来ていたアートが友人の殺人事件と、トントの失踪を探すという後日談なのだ。
当時テレビのバラエティ番組で人気のあったリリ・トムリンとの共演は、ひとり漫談のおしゃべりなリリと、どちらかというと寡黙なアートの共演というのは、ひとを食っていた。
私立探偵で親友だったハワード・ダフが、ある夜にアートのアパートに血だらけでやってきて、その場で死なれたものだから、ウェストウッドの墓地に埋葬したが・・、
そこはマリリン・モンローも埋葬されている墓地で、わたしもいちど、モンローのお墓参りに行ったことがあるが、事件はふたつの謎が、妙に絡んでいたのだった。
引退していた私立探偵も、親友が殺されたのだから、最後の仕事として乗り出すが、それよりも、愛猫の<トント>の捜索の方が、彼にとっては重要な<シゴト>。
たしかに殺人と失踪の絡んだ事件の背景にあるものの、作品はいかにもリタイアした老探偵の<愛猫探し>がテーマの、ビタースイート・コメディなのだった。

■サードの頭上を越えて、ファールグラウンドを転々のツーベース。 ★★★☆☆
●ビデオテープでの久々の再鑑賞。

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