細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『犯人を逃がすな』は、足元の火種、灯台元暗し、の傑作驚愕ノワールだ。

2020年08月22日 | Weblog
●8月21日(金)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-141『犯人を逃がすな』"Cry Danger" (1951) RKO Pictures Presents <モノクローム・スタンダード・79分>
監督・ロバート・パリッシュ 主演・ディック・パウエル、ロンダ・フレミング <DVD/コスミック出版>
このところ、50年代周辺のハリウッド映画のジャンル別のDVD10枚セットが、非常に安価で書店に並んでいて、つい見逃せないで入手してしまう。
これは、歌手でミュージカル・スターでもあって、「グレン・ミラー物語」のヒロイン、ジューン・アリソンの実のダンナでもあったディックの主演未公開作品。
スーツにソフト帽というスタイルなので、ディックの当たり役の、レイモンド・チャンドラー作<フィリップ・マーロウ探偵>ものの一本かと思って見たら違った。
5年の刑期を終えて出獄してきたディックは、消えた50万ドルの行方と、俺をハメた奴への復讐を誓って、夜のロスのダウンタウンを独自で捜査していくのだ。
という設定では、つい最近このブログにも書いた、マーク・スティーヴンス監督主演の「復讐の涯て・Cry Venjeance」(54)に似ているが、こちたが先輩。
当時はキャンピング・カーでホーム・ステイしていた人種が多かったようで、50年代のフィルム・ノワールではおなじみだが、彼も親友と同居して真犯人を探すのだ。
ほとんどは警察の捜査も終わっていて、悪漢連中の隠れ家などを、まさにディックは苦虫を潰した表情で消えた大金と、持ち逃げした宿敵を日夜探しまわるのだ。
という意味では、見ているこちらは、あの<フィリップ・マーロウ探偵シリーズ>と同様の視線で見ているので、50年代ノワールのファンには馴染みのシーンが多い。
どうせ悪徳なギャング組織が仕掛けた<罠>で、このお人好しの善玉ディックは、鉄砲玉のように、悪徳組織に騙されて使い捨てされたのだろう・・・と、見ていた。
しかし、ラスト近くになって、あの「OK牧場の決闘』などのショーガールらしいガールフレンドの美女ロンダ・フレミングが、突然ディックに海外旅行を誘うのだった。
「金なんてないよ、どうすんだ」というディックの目の前に、彼女は美しい微笑で、洋服ダンスの奥にあった、大金の詰まったボストン・バッグを出したのだった。
まさにこれが<ファム・ファタール>の傑作であり、愕然としたディックはものも言わずに深夜の街に出て行く・・・というショッキングなラストに、おおお、感動。

■センターフライが意外に伸びて、フェンス直撃のスリーベース。 ★★★★
●コスミック出版<陰謀の世界>のDVDセット。

1 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-11-16 07:33:41
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彼女は美しい微笑で、洋服ダンスの奥にあった、大金の詰まったボストン・バッグを出したのだった。
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ナンシーは自分が金を持っていることは白状するが、ボストンバッグから金を出す場面はない。
金はウイリアムという人物の家に隠している。
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