こんな仕事をしていますといろんな方々に声をかけていただきます。
「いつも聞いてますよ」
なんて言われると本当に嬉しい。お世辞でも嬉しい。どこのどなたかは存じませんが、僕のことを知っていただいている、ラジオを聴いていただいていると思うと本当に励みになります。見ず知らずの方とのこんな会話も楽しいものです。
ところが先日こんなことがありました。ある行事に出かけたバスの車中で。朝早かったので半分居眠りしてると、ある男性にいきなり声をかけられました。えらいでっかい声で。
「本名さん、ずいぶん早いですね」
「はあ。ちょっと事前の打ち合わせがあるので・・・」
はてこの人誰だったかな、ずいぶん親しげに声かけてきたけど。僕はというと人の顔と名前を覚えるのが大の苦手でして、「はじめまして」と挨拶すると「いや以前ご一緒したことがあります」などと言われ赤面することが何度もあります。だからどうもこの男性もそうかもしれないと。で、目的地でバスを降りました。まだ時間があるので近所のマックでコーヒーでも飲んでいこうと思い、立ち寄ったら、その男性もカウンターに並んでました。あちゃー。
「本名さん、この割引券使ってください」
「いや、いいですよ、コーヒー飲むだけだから」
「どうせタダなんだから使いんさい」
で、相変わらず「この人誰だったかな」と思いつつ半ば押し付けられたチケットを使わせていただいたわけですな。カウンターの店員さん、僕とその人が一緒と思って、
「トレイはご一緒でよろしいですか?」
正直僕は、知り合いなら別ですが、ガンガン攻めてくるタイプがあんまり得意ではありません。何しろ眠くてテンション上がってなかったし。で、できることなら離れたところに座りたかったんですが、そう言われて「いや、別々で。」とは言えないじゃないっすか。仕方なしにこの「超攻撃型オヤジ」と同席するハメになりました。もう一日のスタートとしては最悪です。僕は思い切って彼に聞いてみました。
「あのう、お名前うかがってなかったんですが・・・。」
「○○言います。本名さんの会社におる○○さんと同じ名前なんですよ。誕生日もいっしょで。あっはっはっ」
別にそこまで聞いてないし。それにしてもこんな仕事してるから向こうはこっちの名前を知ってるんでしょうが、そこまで会話するんなら
まず自分から名乗ろうぜ
さて行事が無事終わり、帰りのバス停へと急いでいたら、なんと横の道からまた「攻撃型オヤジ」登場。例の大声で、
「本名さん、帰りもバスですかぁ?」
俺ぁなんてツイてないんだ。とにかくそれ以上話しかけられないようにずんずん急いでバス停到着、次のバスの時間を確認してたらオヤジさんが遠くから、
「次は53分でしょー」
もう、俺を独りにしといてくれっ!
バスを諦めて独りとぼとぼと歩いて家路に着いたことは言うまでもありません。