7月に入ると京都は祇園祭一色となる。週末も15日からの3連休を中心に身動きが取れないほど混み合う。観光客にはいいのかも知れないが、私のように墓が京都にある人間に取ってははた迷惑な話である。今年は母親の3回忌ということもあり、3連休前に法事を済ませることにした。
土曜日の朝の新幹線は家族旅行とインバウンドで混んでいる。早めに切符を取り、しっかり駅弁を買って乗り込む。以前はせいぜいチキン弁当くらいしかなかった。
しかし、今は東京駅が全国駅弁大会を毎日開催しているかの如く、有名駅弁を楽しめる。私は山形駅の『牛肉ど真ん中』、少し高いがボリュームと味を兼ね備えている。
名古屋を過ぎたあたりで駅弁を食べ、あっという間に京都駅。何しろ2時間20分しかかからない。
京都駅ではすんなりタクシーに乗り、黒谷へ。なぜかお経も30分程度、早めに法事も終えた。
少しだけ観光にと選んだのは京都市京セラ美術館、以前は京都市立美術館だったもの。開設は1933年、初めは昭和天皇即位の礼を記念して作られたため、『大礼記念京都美術館』と呼ばれていた。日本近代絵画、特に竹内栖鳳のコレクションに優れ、浅井忠、上村松園、村上華岳など多数保有している。
また、建物は1933年に作られた物をベースに2020年にリニューアルオープン、京セラがネーミングライツを購入、この資金を用いて地下1階にガラスリボンと言われている全面ガラスのエントランスを設置、そこから階段を登り、本館に入るように変更した。
一方で古い部分は塗り直し等を施した上で残されていて登録有形文化財の中を歩いていることを実感させてくれるコーナーや中庭などが素晴らしい。
私は開催中のルノワール展ではなく、コレクションルームの『人間国宝 稲垣稔次郎ー遊び心に触れて』を鑑賞した。
というのはこの作家は私の母方の祖父(京都で表具師を営んでいた)が屏風や掛け軸に拵える手伝いをしていた縁があったためである。
稲垣氏の温かみのある京都の市井のデザイン、また、歴史上の出来事、竹や紅葉などのデザインをゆっくり楽しんだ。コレクションルームには上村松園をはじめ、浅井忠の名作、清水六兵衛の清水焼など幅広いジャンルのコレクションが展示されていた。
(虎)
(鵯越)
あまり時間もなかったが、ミュージアムショップなども冷やかし、京都駅にむかった。滞在時間約4時間、雨と蒸し暑さがなければ東福寺にも行きたかったのだが。午後7時、もう東京にいた。