コロナ禍の影響だけではないが、街の風景が大きく変わってしまった現実に直面すると少し悲しくなってしまう。まず驚いたのは、新宿駅西口付近を歩いていたら向かい側にあったはずのビルが消えていることに気づいた時である。
確か黒っぽい旧安田生命(現、明治安田生命)の本社が大きく構えていたはずなのに建て替えなのだろうか、全くなくなっている。
新宿は私が社会人になって初めて勤務した街であるが、少し歩いて当時の支店まで行ってみた。支店が統合されることは知っていたが、今はまだ閉鎖された店舗がそのまま。
よく見ると私の働いていた会社のロゴの跡がくっきりと残っている。今から40年も前の痕跡が残っているだけでも感動もの。
広いウィンドウにキューピー人形をたくさん並べる奇抜なディスプレイをしたことも今から考えると懐かしい。
通用口にまわり、中に入ると当時から残っているテナントも一階の銀行とビルの所有者である日本生命のみであった。
以前は一階が地主の酒屋、地下にはその酒屋が経営する居酒屋があり、あん肝とつくねが美味かったことを思い出した。それも1階はコンビニ、地下はチェーン店の居酒屋になっていた。
新宿駅南口界隈を散歩する。相変わらずヨドバシカメラは幅を利かせていてバス乗り場のビルまでが、全てヨドバシカメラになっていた。しかし、すぐそばにサクラヤの本社があったことを覚えている人はまずいないだろう。
周辺の古いビルも次々に取り壊されてしまっていてコロナ前にはちょくちょく行っていたビストロも串揚げの店も無くなっていた。また、確か寿司屋さんがあった建物もテナント募集中に変わっていた。
当時からあって今も残っていたのは支店向かい側にある『栄寿司西口店』、その先にある『アラジン』というパチンコ屋、支店と同じビルに入っている『ルノワール』くらいのもの。確か1年前にはもう少しあったはずなのに。コロナ禍がやはり店に影響を与えたのであろう。
ノスタルジックな気分で歩いても知った店がほとんど無くなり、さらにビル自体も建て替えられているのを見ると寂しくなる。もちろん新陳代謝が早いのはこの街の特徴なのかもしれないが。