『鉄道シリーズ』その304。上毛電気鉄道は西桐生〜中央前橋の25.4kmを走るローカル私鉄である。ただ、この鉄道はかなり変わっている。まずは途中駅の赤城駅以外なら他社線と接続していない、しかし、徒歩圏内には接続できる路線が多くあることである。赤城駅で東武鉄道桐生線に接続、ここから浅草駅まで特急りょうもう号が結んでいる。
しかし、始発駅の中央前橋駅からはJR前橋駅まで1km、終点の西桐生駅からJR桐生駅までは5分ほど、さらに桐生球場前駅はわたらせ渓谷鉄道運動公園駅から徒歩5分程度と微妙な距離にある。
(赤が両毛線、黄が上毛電気鉄道)
西桐生〜中央前橋は25.4kmで52分に対し、桐生〜前橋は29.0kmと伊勢崎経由のため迂回しているが、乗車時間は33分と圧倒的に両毛線の方が早いのである。
西桐生駅は1928年11月開業で駅舎はマンサード屋根の洋風建築だが、内部は宿直室で和風の畳部屋と三和土の土間と和洋折衷になっていて、国の登録有形文化財となっている。
この懐かしい駅舎が好きで桐生に来る度に立ち寄っている。建物だけでなく、改札口や高い天井、今回気づいたのだが駅前のトイレまでマンサード屋根になっていた。
先程、上毛電気鉄道は遅いと書いたが、桐生から東京方面に向かう場合、小山周りで新幹線を使うと1時間50分、高崎周りでは2時間10分掛かるのに対し、西桐生〜赤城〜浅草では1時間9分とりょうもう号を使うほうが早いのである。
便利なことに西桐生駅でも赤城駅経由でりょうもう号の指定席券も購入することができる。もちろん機械が発券するわけではなく、特に特急券は今時珍しい硬券が購入できる。さらに日中は毎時43分(一部46分)が特急に連絡しているので便利である。
窓口の女性に発券をしてもらい1443の中央前橋行きに乗車した。車両は京王電鉄3000系を改造した700系。井の頭線に使われている車両の1号車と5号車を繋げ、塗色を変えて使われている。
今回利用したのはピンク色の車両で1966年東急車両製造、1999年京王重機で改造したもの。もう55年も活躍している強者である。
しばらくは住宅街を走るがやがて高架になり、丸山下駅に到着。かなり山が近く感じる。
富士山下(ふじやました)駅はその名前の通り、駅のすぐ横に標高160mの富士山があり、山頂には浅間神社が祀られている。
天王宿駅、桐生球場前駅と続くが、桐生球場前駅は上毛電気鉄道では珍しい2006年に作られた新しい駅であり、わたらせ渓谷鉄道運動公園駅まで徒歩5分のところにある。
その次が赤城駅で東武鉄道と共用となっている。隣のホームにはりょうもう号が停まっていて乗換も実に便利だが、乗換た人は私を含めて3人であった。
もう少し余裕があれば中央前橋駅まで行きたいところであるが、本日はここから北千住駅経由で自宅に戻りました。