四谷三丁目周辺にはなかなかいい居酒屋がある。ギネスに載った萬屋おかげさん、交差点近くの日がさ雨がさ、反対側の酒徒庵など挙げるときりがない。その中で古くからあるような風情の『酒房一』に今回はお邪魔した。
まず、予約の電話を入れると主人から『うちに来たことある?』と言われ、初めてと伝えると『予約は大丈夫だけど、うちは汚い飲み屋だよ』と言われる。気にもせず、当日前まで行くと中々歴史を感じる店構えである。
引き戸を開けて店に入ると小生の連れのみ奥に1人、ボックスが4つ、あとはカウンターのみの居酒屋兆治のセットのような店である。
生ビールを注文すると後はお通しを出すから、それからにしてと言われる。そしてビールで乾杯。
主人がお通しを持ってくるが、比較的大きな皿に『大根と豚肉の煮物』、次の皿は『ハマチの刺身』、さらに『もずく酢にベビーホタテ』と堂々としたもの。
確かにあまりつまみを食べない人ならこれで充分かも。主人曰く、『これだけ出せばすぐ注文しないから、こっちが楽、1人でやっているからね。』中々合理性がある。
3皿とも美味い、特にハマチが脂が乗って食べ応えがある。ついで日本酒に行くが、やはりこの店はスキー正宗、新潟県上越市の酒である。
普通の店よりコップが大きく、受け皿にこぼしてくれるのが嬉しい。久しぶりに飲むが、辛口で美味い。食べログにこれを飲みすぎて失敗した人のコメントがあるが、よく分かる。
ついで『ホタルイカの沖漬け』『ポテトサラダ』をお願いする。量が多いのに驚くが味付けがいい。とくにポテトサラダは抜群である。
さらにモツ煮と地鶏のフライを注文。豪快だがどちらも味付けが繊細。次に頼んだ『ぶなの露』はスキー正宗と同じ蔵元の純米吟醸、これも飲み口がいい。
次に漬物としてキュウリとセロリの浅漬けを頼むがこれも豪快に切ってある。量も多く、この無骨さが嬉しい。
『巖瀬』という富山の酒を飲み、仕上げに柚子サワーをお願いするが、残念ながらあまり味は覚えていない。
気がつくと店はかなりの人、特に1人のおじさん飲みが多く、じっくり荒木町で飲むならいい店だ。主人は新潟県妙高の燕温泉の出身らしく、妙高談義で盛り上がった。こうして荒木町の夜は更けていった。
酒房一
新宿区荒木町3
0333556589