日本橋の街巡りシリーズ、その1。中央区には日本橋⚪️⚪️町という地名が19ある(日本橋中州を含む)が、それらをそぞろ回って街並み散歩と洒落てみたい。第1回は手始めに事務所の近くにある日本橋小網町をぶらぶらしてみる。
日本橋小網町は明治には日本橋小網町1~4丁目、小網町仲町の5つのブロックに分かれていた。その街の名前の起源は『網を引いて将軍の観覧に供した漁師が御肴御用を命じられ、白魚献上の特権を得た。その漁師たちが1丁目の街角に網を一張干しておく風習からついた』とされている。
日本橋川に沿った細長い町で、東堀留川が流れていたが、今は埋めたてられて面影もなく、かつて海辺にあった名残は小網神社くらいしかない。その並びには古い看板屋。裏には東堀留川が流れていたらしい。
さらに広い通りを渡り、鎧橋に抜ける道を歩くとすぐ右手に三軒長屋、木造モルタルで看板造で昭和初期の建物だろうか。三軒のうち右の一軒のみ銅貼りというのは珍しい。
その先を左に折れると桃乳舎という喫茶店。明治22年に牛乳販売店として創業、その後当時流行したミルクホールになり、今に至る。今はランチが美味しく、リーズナブルなレトロカフェとして近所では有名である。
因みに東京初のカフェ『メイゾン鴻の巣』が明治43年にできたのもこの小網町で今も碑が残されている。
さらにその先を右に曲がると鰻の『喜代川』。明治7年の創業でここで140年商売を続けているだけですごい。座敷でランチは3000円也である。
これだけ並べるとどんなにかレトロな街と思われるかも知れないが、他はビルばかりで、特に最近はマンションの建設も相次いでいる。その谷間に昔の街の面影を探すのも楽しい町歩きである。