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ひのっき

あったかくてぐっすりでごはんがおいしくてよかったねうれしいねなんて小さなしあわせ探し雑記

江戸前寿司はせっかちの命懸け

2017年08月26日 | 絵日記


美味しいですねえ。
お寿司。
今はランチなら1000円くらいでさっと食べられるお店が多くて有り難いです。
もともと日本古来のお寿司は鮒ずしに代表される「熟れずし」で、保存食でした。熟れずしは発酵させるのに1年弱かかるため、待ちきれない食いしん坊さんたちがもっと短い期間で作れる「早ずし」を考案します。
上方の鯖ずしや柿の葉すし、バッテラなどがそれです。これにより数日から製法によっては一晩程でもお寿司が作れるようになりました。
しかし19世紀初頭、それすら待ちきれないせっかちさんが江戸に現れます。華屋與兵衛。
現代のファミレスにも名を残すその男は、ご飯を一個サイズに握りその上にネタを乗せる「だけ」の料理を考案します。普通に考えると昔からある「おにぎり」の一種なのですが、華屋與兵衛は大胆にもこのメニューをご馳走の代表格「すし」として売り出します。
手間暇のかかる上方寿司の職人から見れば「これが…寿司…?」と唖然とするしかないこの料理、その早さと手軽さが江戸っ子に受け大ヒット、瞬く間に江戸を代表するファストフードとなりました。
野心家の華屋與兵衛は更に軽食からご馳走への脱皮を図ります。雨後の筍のように増え続ける競争相手達と切磋琢磨しながら豪奢なにぎりずしメニューを考案し次々と世に出します。
しかしこれが贅沢を禁じた天保の改革にひっかかり、華屋與兵衛はライバルの寿司職人ともども投獄されてしまいました。当時の牢屋は環境が劣悪で、一度投獄されたら生きて出られる保証はありません。
200年前に幕府の圧力を受けながら、命懸けで握り寿司の開発と発展に尽くした男達のおかげで目の前のこのランチがある。有り難いですねなんてお寿司タイムでした!