ひのっき

あったかくてぐっすりでごはんがおいしくてよかったねうれしいねなんて小さなしあわせ探し雑記

ロレンゾ・カルカテラ ストリート・ボーイズ

2005年10月12日 | どくしょ。
ロレンゾ・カルカテラ先生の「ストリート・ボーイズ」を読みました。
面白かったです・・・ていうか、泣きました。
第二次大戦降伏後のイタリア。荒廃し蹂躙され退去命令の出たナポリを守るために武器を取り立ち上がった200名の戦争孤児たち。迫るは徹底破壊命令を受けたドイツ機甲師団。子供達はナチス精鋭部隊に打ち勝ち、自分たちの街を開放することができるか。・・・というそれだけで景色が揺れ滲みそうなプロット。
それ以上のあらすじは何を書いてもネタバレになりそうなので割愛しますが、この作品の秀逸な点は、何よりその人物描写です。平時であれば穏やかに幸せに暮らせたであろう善良な子供たち。その視点は大人にも敵であるナチス軍にも注がれ、その「普通の」人間性が描かれます。それが故に、戦争がなければ気持ちを交わし友達になれたかも知れない人間同士が血みどろになりながら殺戮しあわなければならない切なさと、仲間のために身を呈し笑顔で死んでゆく子供達の悲壮な勇気に胸が締め付けられ涙腺が大解放状態です。
火炎瓶や手榴弾にクレイモアやRPG-7並の破壊力が与えられちゃってる設定が気になってしょうがないようなマニアの方はともあれ、そんなことより物語の本質を読むことのできる特にファーストガンダム世代の方にお奨めの作品です。