五
汽車は柳州の郊外を通過した時、鉄道沿いの緑化樹が窓のほうに飛び込んだように後にやり過ごした。枝の間から、ざっと彼は灰色の塀と芭蕉の大きな葉っぱを目にした。
午後16時頃、小さな鉄橋を一本渡ると、「鹿寨」という駅に到着した。暖房のおかげで、車内は暖かかった。車外を眺めると、案外なほど人少なくて、とても静かであった。ホームにある緑頭巾をしていた老婆が赤き服の女の子をつないで、誰かを待っていたように、汽車から降りた乗客をわき目ふれずに見ていた。寒かろうか、女の子はイヤホーン式の防寒耳掛けをし、嬉しそうに笑った。が、車内の彼はその笑い声が聞こえなかった。サイレントのようだった。
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