ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

感染性腸炎について

2009-01-08 00:33:50 | 流行状況
感染性腸炎について

 コメントで感染性腸炎はどの程度回復したら周囲の人に感染しないのでしょうかと質問を頂きました。
 一般的には、嘔吐、下痢の症状が無くなるまでと考えて良いと思います。と回答させていただきました。
 しかし、一般的にと断ったように上に書いた回答は厳密には正しくはありません。それは、感染しているウイルスの種類によって異なるからです。さらに、今回はお母様が感染したとのことでしたが、腸炎になった方が、子供か、大人かでもウイルスを排菌する期間が変わってきます。
 例えば、昨年末から流行しているノロウイルス感染症によるウイルス性腸炎では症状があるのは数時間から長くて1週間程度で、普通は数日です。しかし、便中のウイルスを調べると2-3週間検出されることもあります。乳幼児では1か月以上検出されることもあります。しかも、このウイルスは10-100程度ととても少ない量の感染性ウイルス粒子で感染が成立します。(それではずっとダメなのかと言うことになります。しかし、先の文章に反しますが、実際には家族1人が感染すれば数日内に家族の多くに感染してしまいます。もし、数日内に発症しなければもう感染しないと思うしかないと思います。もちろん感染する可能性はあるのですが、現実的に子供の世話を数種週間しないというわけにはいかないと思います。もちろん、手洗いとうがいは続けてください)。
 一方、ロタウイルスによる胃腸炎は下痢は5~7日程度続きますが、便中のウイルス抗原は通常一週間程度で消失します(しかし、他の感度の良い検出法だともう少し長く検出されるという報告もあります)。
 さらに、ノロウイルスとロタウイルス意外にもアデノウイルス、エンテロウイルスなどの感染で感染性腸炎になります。さらに、ウイルスだけでなく細菌性である可能性もあります。
 これらの全てのウイルスを論ずることはできませんので、一般的には嘔吐と下痢が改善するまでと考えていただければ良いと思います。(飲食業などに従事される方はまた話が変わってきます。)

 私は2年前までノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等による感染性腸炎に関する臨床研究もしていたので(疋田敏之,他 当院に入院した軽症胃腸炎に伴うけいれん37例の検討)、もっと詳しいことも書けなくはありませんが、本日は一般的なことプラスアルファくらいにしておきたい思います。

ひきた小児科クリニック (群馬県桐生市 疋田小児科医院)
http://www014.upp.so-net.ne.jp/hikita/


コメント (2)
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