ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

おたふくワクチン(流行性耳下腺炎ワクチン)の接種に関して

2009-01-04 10:13:17 | 予防接種(ワクチン)
おたふくワクチン(流行性耳下腺炎ワクチン)の接種に関して

 おたふくワクチン(流行性耳下腺炎ワクチン)の接種に関して質問を頂きました。
おたふく(流行性耳下腺炎)は罹患しても「耳下腺が腫脹して痛くて、熱が出て学校を休まなくてならない病気」と認識されている方が多いかもしれません。しかし、実は恐い合併症がいくつかあります、その一つが難聴です。少なくない確率で耳が聞こえなくなることがあるのです。以下に関連するホームページを紹介します。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20070912-OYT8T00075.htm

http://www.cty-net.ne.jp/~kazuppe/munpusu/munpusu.htm

 インターネットの医療記事は玉石混合ですが難聴に関しては一定の確率で起こります。記事にも記載されていますが、以前は難聴はまれと考えられていましたが最近は検査が行われるようになって実は多いと考えられるようになりました。以前は髄膜炎などおたふくワクチンの副作用のみ注目されていしましたが、欧米では接種していなければ幼稚園にも入園できない基本的なワクチンです。
 おたふくの髄膜炎に関しては おたふくワクチンを打つと過去の統計では1200人に1人くらいの確率で髄膜炎になりました。これは約0.08%で決して低い確率とは言えませんが、自然に感染すれば3%が髄膜炎になるので、それでも有効と考えられます。また、この1200人に1人は結構昔の統計でMMRワクチンという麻疹・風疹ワクチンと一緒に接種していた時代の数字なので、最近の新しいワクチンはもっと少なくて1/10の12000人に1人と言われています(補足しておくと、一緒に打たなくなって副作用が減ったのではなくて、ワクチンそのものが改善されました)。もちろん、希ですがワクチンでショック、血小板減少性紫斑病、難聴、精巣炎といった副作用があります。
 世の中にはワクチン接種で病気になるくらいなら、ワクチンをしないと言う方もいます。しかし、副作用と効果を考えればあきらかに接種をした方が子供のためです。また、ワクチン無しで発症してしまった場合、他の友達にうつしたら嫌な思いをするかもしれません。また、両親が仕事をしている場合はどちらかが仕事を休んで看病しなくてはなりません。場合によっては入院するなどということを考えられます。このため任意接種でお金がかかってもワクチンを接種した方が良いと思います。
世界中で定期接種になっているのに日本で未だに自費で任意接種になっているのは、政府の怠慢と考えています。

質問の中に「男の子は早めに」と書かれており恐らく精巣炎を危惧されていることと思いますが、難聴も起こって欲しくない合併症であると思います。
 基本的に一歳を過ぎて麻疹・風疹のワクチンを接種したら28日後に以降すみやかにワクチンを接種すべきです。

ひきた小児科クリニック (群馬県桐生市 疋田小児科医院)
http://www014.upp.so-net.ne.jp/hikita/




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