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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

奈良のきたまち散歩③ ~般若寺・夕日地蔵・北山十八間戸~

2019-12-29 17:14:51 | 史跡を歩く

 旧奈良監獄から、京街道に出ると、すぐ般若寺の横を通る。街道に面して楼門が建てられている。この楼門は、上層三間、下層一間の鎌倉時代の名建築で国宝に指定されている。日本最古の楼門なのだそうだ。

 

 平家物語では、南都を焼き討ちした源平時代の武将、平重衡が斬首された後、般若寺の門前にその首をさらされたというエピソードを載せているが、その時には、この門は、建っていないことになる。

 般若寺は、創建は定かではないのだが、聖武天皇が平城京の鬼門を守るために基壇に大般若経を納めたということが寺名の由来だという。

 境内には、鎌倉時代の経蔵や十三重石塔、笠塔婆、江戸時代の本堂などがある。

 

 経蔵は、もともとは何に使われた建物なのか不明だとのこと。

 

 十三重石塔は、宋の石工、伊行末の作品で、高さは14mある。

 

 笠塔婆は、伊行末の息子行吉が、父の追善供養と母の無病息災を祈って建立したものである。もともとは別の所にあったものをここに移築したものである。

 

 本堂は江戸時代の建築。中に本尊文殊菩薩騎獅像が安置されている。その他境内には、藤原頼道や平重衡、大塔宮護良親王の供養塔があり、正岡子規の句碑や會津八一の歌碑などもあった。

 般若寺は、コスモス寺として著名で、秋には、境内一面をコスモスの花が咲き乱れている。惜しいことに、これまで般若寺には3回ほど来ているのだが、一度もコスモスの時期にかち合ったことがない。いつも、コスモスの花が終わって、枯れてしまったあとである。今回も同じくで、めぐりあわせとはそういうものなのだろう。

 般若寺の向かいには、植村牧場という本物の牧場がある。住宅街の中にあるのが何とも不思議である。覗いてみると、ヤギが2匹寄り添うように座っていた。

 

 結構奥行きがあるようで、肝心の牛は、この奥にいるらしい。牛乳とアイスクリームが人気らしい。隠れた名所なのかもしれない。

 京街道を南へ下っていくと、途中左手に夕日地蔵と呼ばれる石像がある。

 

 このお地蔵さん、西向きに立っており、夕日を拝んでいることから夕日地蔵と呼ばれている。1509(永正6)年だから、戦国時代の興福寺の僧、浄胤が生前に自分の死後の冥福を祈って建立したものである。光背に、制作した年や浄胤の名前、それから「逆修」といった文字が読み取れる。「逆修」は生前に死後の冥福を祈ることを表しているらしい。

 

 歌人、會津八一は、この夕日地蔵について、次のような歌を残している。

 「ならさかの いしのほとけの おとがいに こさめながるる はるはきにけり」という歌で、以前来た時には、この歌を記した木札があったのだが、いつの間にかなくなっていた。(般若寺に歌碑が建てられている。)

 

 この辺りが奈良坂と呼ばれる場所で、途中道が二股になっている所に北山十八間戸と呼ばれる長い建物がある。

 

 鎌倉時代の中ごろ、西大寺の僧、忍性がハンセン氏病の患者を救済するために建てた施設である。現在の建物は、江戸時代寛文年間に奈良奉行所が再建したものである。中は、4畳ぐらいの部屋が18戸ある。慈善事業の遺跡として、国の史跡に指定されている。

 

 厳重に管理されており、中には入ることはできなかった。

 

 奈良坂を下っていくこの道は、昔、京街道と呼ばれた道であり、多くの人が京都と奈良を行き来していた。そのため、道沿いには、趣のある古民家チックな家もいくつか並んでいる。

 

 この辺りは、観光客も少ないので、ゆっくりと歩いていると、古い街並みを散策できる楽しみもある。

 京街道を歩いていくと、国道、佐保川と交わるところに石橋が架かっている。上はアスファルトで舗装されているため、一見するとわからないが、のぞき込んでみると、コンクリートの橋桁の後ろ側の橋桁に石が使われているのが見える。

 

 この石橋は、江戸時代、慶安年間に奈良奉行所が建てたものだという。結構歴史のあるものである。

 

 ただ、上記のようにアスファルトで舗装されているため、気づいている人も少ないという話である。

 ここまでくると、奈良の市街地になり、東大寺の国宝、転害門まではあと少しである。


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