見出し画像

肥宝館 -貧すれば丼する-

【長野 上諏訪】 ハルピンラーメン本店「ハルピンラーメン(790円)」

諏訪のソウルフード「ハルピンラーメン」総本山へ

戦時中、一人の日本兵が寒さ厳しい中国・奉天(瀋陽)で出会った「寝かせダレ」。ニンニクをはじめ何種類もの食材を甕で漬け込み、土の中で熟成発酵させたものだったという。初めて出会うこの味を故郷の人にも食べさせたいと、男は帰国後、故郷・上諏訪の駅前で寝かせダレを使ったラーメンの屋台を開いた。昭和30年頃の話だ。

屋台はたちまち話題となり多くの人を唸らせた。そして、この一杯に惚れ込み、味を継承して店を開業したのが「ハルピンラーメン」初代店主・山崎篤氏である。昭和49年10月に上諏訪駅前で店を始めたが、平成2年に現在の場所へ移転。その唯一無二の味わいのラーメンは「諏訪のソウルフード」として親しまれている。

ここ本店のほか、現在は下諏訪、松本、塩尻、富士見諏訪南ICにも店舗を展開。また「ハルピン味噌らーめん雷蔵」を茅野に、テイクアウト専門「唐揚げのやまざき」を茅野と岡谷に出店中だ。この日訪れた本店は、茅野駅と上諏訪駅の中間、諏訪バイパスの飯島交差点そばにある。両駅から徒歩40分超え。車で訪問するのが良いだろう。

店内はL字カウンターに14席ほど。昼下がりでも満席状態だ。食券制ではないので行列時は店内のベンチに端から詰めて座って待つ。麺メニューはハルピンラーメンを筆頭に、ニンニクラーメン、醤油ラーメン、そして「並木」なるメニューもラインナップ。これはかつて上諏訪駅そばの並木通りに店があった頃の味を再現したもの。

辛味と旨味が凝縮された一杯で、かつては本店のみの提供で冬季限定だったそうだが、今は各店で通年啜れるようだ。味の濃さやコッテリ具合では「醤油<ハルピン<ニンニク<並木」の順という。チャーシュー、寝かせにんにく玉子を追加トッピング可能で、ライスや餃子、豚飯といったサイドメニューも用意している。

今回は「ハルピンラーメン(790円)」を注文。店内の壁に貼られた注意書きによると、タレが重くて沈んでしまうため、丼底から麺とスープを持ち上げ、絡ませながら啜るようにとのこと。それに従い、天地を返してからひと口。茶濁したスープは豚骨をベースに魚介も加えた濃厚なもの。そこに秘伝の「寝かせダレ」を合わせている。

タレはなんと4年も寝かせているそう。醤油のような味噌のような。ピリっとした辛みもあり独特の風味である。濃厚な味わいで旨味は十分だが、サラリとした飲み口で嫌な重さはない。タレを長期間寝かせているのでニンニクの気になる臭いもほとんど残らないそうだ。そこに合わせるのはコシがあり、スープをよく拾う細縮れ麺。

チャーシューは薄切りで大判の豚肩ロース肉が1枚。味付けは控えめで肉の味をしっかり楽しめる。ほか茹でモヤシ、歯応えあるメンマ、京都知七の九条ねぎ、海苔がトッピングされる。丼と一緒に湯呑みでジャスミン茶が提供されるので、最後にグッと飲み干し口直し。唯一無二の味。諏訪に行かれた際はぜひ味わってみて欲しい。

<店舗データ>

【店名】 ハルピンラーメン 本店
【住所】 長野県諏訪市大字四賀飯島2336-2
【最寄】 JR中央本線「茅野駅」西口徒歩42分(3.1km)

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「長野県」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事