この映画を初めて見たのは5,6年前だと思いますが、
第一印象は「薄っぺらいストーリーで退屈やな・・。」
でした。でも、長年、何かが心に引っかかっていて、もう
1度レンタルしてみました。
前言撤回です。「ストレイ・ストーリー」は傑作中の傑作です。
しかも、これが実話をもとに作られているから勇気を貰えます。
先進国で勝ち組だ、負け組だと競争社会をもまれているような
人に対し、人生を見つめ直すキッカケに成りうる哲学的な
メッセージが込められていると思います。
「ストレイ・ストーリー」をレンタルする事は、宝くじを買うの
と一緒です。300円で人生が変わるかもしれません。
主人公は、73歳の老人で、足も目も悪く、倒れたら自力で立ち上
がれない程衰えています。ある日、喧嘩別れをし10年間疎遠に
なっていた兄が心臓発作で倒れたと、連絡が入りました。
車は運転できないし、兄が住んでいる所は560キロも離れて
いて交通の便も悪い片田舎です。でも、自らの衰え、兄の危機を
知った時、疎遠のまま死別する事だけは絶対にしてはいけない・・
と、時速8キロの草刈用小型トラックで兄に会いに行く事にしました。
要するに、かつての仲が良かった兄弟仲を取り戻すために、時速8キロ
の6週間に渡る冒険が描かれています。庭の芝を刈る用に作られたトラック
で旅をするなんて無謀な挑戦ですが、人間いくつになっても目標を持ち
達成する姿には感動を受けます。
「ヘミング・ウェイ」の「老人と海」を彷彿するような、老人の最後の
夢が達成する姿を、淡々と描いています。
大量の食品を積み、夜は焚き火で野宿をしながら旅が進みます。
とても美しい映像美で、雄大な、どこまでも続く麦畑に、地平線の
彼方まで通ったアスファルト道路を、ボンボンボンボンとエンジン音を
あげながら、タバコをふかし、風景を楽しみながら、ゆったりと
進みます。
老人が運転する時速8キロのトラックの横を、我先にと、飛ばした車
がビュンビュン過ぎ去っても、老人は何にも気にせず、タバコをふかし
前に進むだけです。自転車からも抜かれながらも、老人は自分のペース
でただ進むだけです。
脚本家や監督の意図は知りませんが、僕は競争社会を描いているように
思えて成らなかったです。周りの風景や香りや現状を楽しむ余裕、すな
わち過程を無視し、とにかくゴール「結果」に向かうだけの現代人を
風刺したのでは無いかと思います。「周囲なんてどうだっていいじゃないか・・
自分の生き方で、自分のペースで生きろ」と、自分流の生き方の尊さを
訴えているようにも思えます。
「グレイトリッチーズ」の「時速4キロの長い旅」という歌が、頭を
よぎりました。
歌詞「♪人が2年でやることを 10年かかるぼく
とっても不器用だけど 諦めたりはしないさ
大人は不思議というけれど 関係ないもんね
イヤなことはやらないさ それがぼくの生き方さ
大きな海を見つけて ちょっとここらで小休止
ずっと浜辺で寝てたら 心が波間にとけた
時速4kmの長い旅 夢を探していつまでも♪」
旅の先々で出会う、人々の優しさや、老人が話す、重みの
ある戦争体験話、家族の話、兄弟の話、若いという事の素晴らしさ、
年をとって良い事は?とか・・話の1つ1つに、年を重ねた年輪
の深みを感じました・・。
車に轢かれた直後の鹿を老人が焼いて食べているシーンで、鹿に
囲まれたのが笑いが止まりませんでした。
あまり代わり映えしない田舎道を進むシーンが続くが、着実に兄の家に
近づき、ようやく兄と10年ぶりの再会を果たし、少しぎこちなく、
照れくさく、お互いに言葉少な目で、ぶっきらぼうに会話するシーンから、
じわりじわりと再会を喜ぶ展開に、感動します。
兄は「あれに乗ってきたのか?」と、自分に会うために草刈用トラック
なんかで560キロの長旅をしてきた事を悟った、込み上げる感情の
シーンが何とも言えなく素晴らしいです。
VFXや、特撮や、派手なアクションの映画も僕は好きだから否定は
しませんが、制作費の総額を競ったり、特殊効果の凄さを競うような
映画では得られない、感動があります。
この映画は万人ウケとは言えませんが、壁に行き詰ったり、疲れが
慢性的になったり、心を癒し気分をリフレッシュしたいような人の
心の粘膜には響く映画だと思います。
第一印象は「薄っぺらいストーリーで退屈やな・・。」
でした。でも、長年、何かが心に引っかかっていて、もう
1度レンタルしてみました。
前言撤回です。「ストレイ・ストーリー」は傑作中の傑作です。
しかも、これが実話をもとに作られているから勇気を貰えます。
先進国で勝ち組だ、負け組だと競争社会をもまれているような
人に対し、人生を見つめ直すキッカケに成りうる哲学的な
メッセージが込められていると思います。
「ストレイ・ストーリー」をレンタルする事は、宝くじを買うの
と一緒です。300円で人生が変わるかもしれません。
主人公は、73歳の老人で、足も目も悪く、倒れたら自力で立ち上
がれない程衰えています。ある日、喧嘩別れをし10年間疎遠に
なっていた兄が心臓発作で倒れたと、連絡が入りました。
車は運転できないし、兄が住んでいる所は560キロも離れて
いて交通の便も悪い片田舎です。でも、自らの衰え、兄の危機を
知った時、疎遠のまま死別する事だけは絶対にしてはいけない・・
と、時速8キロの草刈用小型トラックで兄に会いに行く事にしました。
要するに、かつての仲が良かった兄弟仲を取り戻すために、時速8キロ
の6週間に渡る冒険が描かれています。庭の芝を刈る用に作られたトラック
で旅をするなんて無謀な挑戦ですが、人間いくつになっても目標を持ち
達成する姿には感動を受けます。
「ヘミング・ウェイ」の「老人と海」を彷彿するような、老人の最後の
夢が達成する姿を、淡々と描いています。
大量の食品を積み、夜は焚き火で野宿をしながら旅が進みます。
とても美しい映像美で、雄大な、どこまでも続く麦畑に、地平線の
彼方まで通ったアスファルト道路を、ボンボンボンボンとエンジン音を
あげながら、タバコをふかし、風景を楽しみながら、ゆったりと
進みます。
老人が運転する時速8キロのトラックの横を、我先にと、飛ばした車
がビュンビュン過ぎ去っても、老人は何にも気にせず、タバコをふかし
前に進むだけです。自転車からも抜かれながらも、老人は自分のペース
でただ進むだけです。
脚本家や監督の意図は知りませんが、僕は競争社会を描いているように
思えて成らなかったです。周りの風景や香りや現状を楽しむ余裕、すな
わち過程を無視し、とにかくゴール「結果」に向かうだけの現代人を
風刺したのでは無いかと思います。「周囲なんてどうだっていいじゃないか・・
自分の生き方で、自分のペースで生きろ」と、自分流の生き方の尊さを
訴えているようにも思えます。
「グレイトリッチーズ」の「時速4キロの長い旅」という歌が、頭を
よぎりました。
歌詞「♪人が2年でやることを 10年かかるぼく
とっても不器用だけど 諦めたりはしないさ
大人は不思議というけれど 関係ないもんね
イヤなことはやらないさ それがぼくの生き方さ
大きな海を見つけて ちょっとここらで小休止
ずっと浜辺で寝てたら 心が波間にとけた
時速4kmの長い旅 夢を探していつまでも♪」
旅の先々で出会う、人々の優しさや、老人が話す、重みの
ある戦争体験話、家族の話、兄弟の話、若いという事の素晴らしさ、
年をとって良い事は?とか・・話の1つ1つに、年を重ねた年輪
の深みを感じました・・。
車に轢かれた直後の鹿を老人が焼いて食べているシーンで、鹿に
囲まれたのが笑いが止まりませんでした。
あまり代わり映えしない田舎道を進むシーンが続くが、着実に兄の家に
近づき、ようやく兄と10年ぶりの再会を果たし、少しぎこちなく、
照れくさく、お互いに言葉少な目で、ぶっきらぼうに会話するシーンから、
じわりじわりと再会を喜ぶ展開に、感動します。
兄は「あれに乗ってきたのか?」と、自分に会うために草刈用トラック
なんかで560キロの長旅をしてきた事を悟った、込み上げる感情の
シーンが何とも言えなく素晴らしいです。
VFXや、特撮や、派手なアクションの映画も僕は好きだから否定は
しませんが、制作費の総額を競ったり、特殊効果の凄さを競うような
映画では得られない、感動があります。
この映画は万人ウケとは言えませんが、壁に行き詰ったり、疲れが
慢性的になったり、心を癒し気分をリフレッシュしたいような人の
心の粘膜には響く映画だと思います。