Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

球面性の仮定について:反復測度の分散分析

2007-06-23 | Education for 院生以上
 被験者内計画(反復測度)のデータに分散分析を適用する際の球面性の仮定について。
 分散分析では各水準の分散が等しいことが前提のひとつとなるが、さらに各水準間の相関(共分散)が等しければ、分散分析をおこなうための十分条件となる。ただし必要条件ではない。実際の心理学実験では水準間の相関(共分散)は異なると考えられるので、この条件を満たすことは現実的には難しい。
 これに対して、分散分析をおこなう必要十分条件は、各水準間の「差」の分散が等しいことであるといわれている(Huynh, H. & Feldt, L. S. 1970)。これを球面性の仮定と言う。この仮定が満たされない(検定で棄却された)ときは、自由度を調整して有意性の検定をおこなうか、MANOVAをおこなう。前者では係数εを算出するが、これにはGreenhouse-GeisserとHuynh-Feldtの方法が知られている。
 以下のサイトで、心理生理学的研究で実際にこれらを使用する際の例を参照できる。余談だが、Huynh-Feldtはフィン-フェルトと発音するほうが正しいようだ。根拠は Huynh氏がベトナム人であることによる。
cf.
http://home.hiroshima-u.ac.jp/nittono/QA.html#Stat

References
Huynh, H. & Feldt, L. S. 1970.Conditions under which mean square ratios in repeated measurements designs have exact F-distributions. Journal of the American Statistical Association, 65, 1582-1589.
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