日記

日記

晴れ時々曇り時々雨

2010年11月12日 | 徒然日記・日々の記録
今日は晴れ時々曇り時々雨となり、肌寒い一日となりましたね。

終日寺院勤務

寺務・墓苑ヒバお供え・落ち葉掃除などして過ごす。

宇宙メダカ

平成16年2月18日に当寺にやって参りました宇宙メダカの子孫たちの子孫は、もう残すところあと一匹となってしまっております・・寂しい限りですが、できるだけ長生きしてほしいですね・・

第4回墨心会展のご案内
平成22年11月11日(木)~14日(日)
AM10時~PM5時(最終日はPM3時まで)
東大阪市民美術センターにて
主催 書道研究 墨心会
併催 松下志公喜寿展

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さて、前回は、『「場所の哲学」と仏教』ということについて述べさせて頂きまして、今回は、仏教が「現実肯定の理論」へと転落し、非仏教化していく経緯を松本史郎氏提唱の「基体説」を視座として、「基体説」の内実、または『究極の真理・永遠の真理としてある「場所」』というものを探究しつづけて展開された仏教の内実とは、いったいどのようなものであるのかにつきまして考えて参りたいと存じます。

「基体説」・『究極の真理・永遠の真理としてある「場所」』の基本的な考え方は端的に申しますと、存在・現象など一切のモノ・コト、万物に関する究極的な真理としての最終的基体(基本・基底・基盤・根本・根底・根源・根拠などの本質体)というものが、「絶対的な存在・実在・実体・自性・自相」としてあるのだと想定・仮定・仮説した上で、それらから、あらゆる事物・事象・現象が生じていると説明する「発生論的一元論」・「生成流出論的根源論」・「絶対的一元論」であります。

存在・現象など一切のモノ・コト、万物に関する究極的な真理を説明していこうとする考え方は、宗教と哲学の両者共の至上命題である「真理の探究」の趣旨に適うことであります。

しかし、「真理の探究」において「絶対的な存在・実在・実体・自性・自相」というものを想定・仮定・仮説してしまうことは、仏教の基本的教説である「空」・「無我」の思想とは真っ向から対立することになるはずであります。ところが、長い仏教史上において、特に「空」・「無我」の概念から大きく逸脱していく教説が展開されてゆくこととなってしまいます。それが、いわゆる「如来蔵・仏性思想」というものであります。

「如来蔵・仏性思想」に関しましては、拙著施本「仏教・縁起の理解から学ぶ」の第九章「仏性思想・如来蔵思想について」におきましてある程度詳しく述べさせて頂いておりますので参照して頂ければと存じます。

施本「仏教・縁起の理解から学ぶ」
http://oujyouin.com/enginorikai.html

第九章「仏性思想・如来蔵思想について」
http://oujyouin.com/enginorikai9.html

そこで、今一度、「如来蔵」・「仏性」というものは、果たしてどのようなものであるのかということを理解していければと考えています。もしも、「如来蔵」・「仏性」というものを「絶対的な存在・実在・実体・自性・自相」であるとして認めるならば、「空」・「無我」の概念からは説明がつかなくなってしまいます。かといって、認めないならば、どうして「如来蔵」・「仏性」というような概念が出てきてしまったのか、ということを考えていかなければなりません。このことについては、上記の「仏性思想・如来蔵思想について」の考察の中でも少し触れていることではありますが、次にもう少し詳しく扱って参りたいと存じます。

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「場所の哲学」と仏教

前回は、松本史朗氏の「基体説」の解説につきまして詳しくその内容を見たところでございます。「基体説」は、如来蔵(仏性)思想批判において展開された松本史朗氏による提唱の説でございますが、仏教が「現実肯定の理論」へと転落し、非仏教化していく経緯を詳しく知見することのできる極めて有効な説でもあり、純粋な仏教とは一体どのようなものであるかを考察していく上で、重要な視座を示しているものであると考えております。

「基体説」は、ある意味で哲学におけるトポス論の一つであると考えることができます。「トポス」(topos)とは、「場所」のことを表しますが、存在・現象の基体としての「場所」について探究を行うのが、トポス論であります。最も有名であるのが、西田幾多郎氏の哲学(西田哲学)における「場所論」・「場所の哲学」であります。「場所の哲学」は、究極の真理・永遠の真理としてある「場所」を探究することがその目的であると言えます。

真理の探究は、宗教と哲学の両者共の至上命題であり、何千年と人類が取り組んできたことでもあります。仏教ももちろん真理の探究に取り組むわけではありますが、仏教の開祖、お釈迦様により、既にその答えは出ていたはずであったにも拘わらず、その後、仏教に関わる者たちは、様々に悪戦苦闘しながら真理の探究に更に取り組み、色々な教義・教説・論説・解釈が生じることとなって、諸派入り乱れて、現代まで展開して来ることとなってしまいました。

この混乱の要因は色々と挙げることができますが、その一つとして、「根深い実在論・実体論」というものを特に挙げることができるのではないかと思います。それが、松本史朗氏の「基体説」というもので、明確にその「基体説」を否定することで、真なる仏教を確立させようとする意図を松本氏の論考から随所に伺うことができます。

では、さて、究極の真理・永遠の真理としてある「場所」について、仏教ではどのように考えるべきであるのでしょうか。これは、これまでの拙いながらも私の仏教論考考察からの一つの結論として、そのような『究極の真理・永遠の真理としてある「場所」』というものは、はっきりと(実体・実在として)無いと言えます。このことは、お釈迦様の教えにおいて意図されているところとも完全に一致する結論であると強く確信しています。私の確信が正しいのか、間違っているのかは、これからの仏教研究の成果により更に示していければと考えている次第ではありますが、では、『究極の真理・永遠の真理としてある「場所」』というものを探究しつづけて展開された仏教の内実とはどのようなものであるのかについても、しっかりと検証して見極めていく必要があると考えております。

では、まず一体どのような考え方が、「基体説」と言えるのかということについて、次回に少し述べさせて頂こうと存じます。

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"dha(_)tu-va(_)da"「ダートゥ・ヴァーダ」・基体説について
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51783852.html

今後の仏教論考考察について
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51782334.html

仏教・学びの進捗状況全般参照
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51777157.html

これから更に仏教の学びを進めるための文献・第四弾

「中論―縁起・空・中の思想(上・中・下)」三枝充悳著 レグルス文庫
「大乗仏典14 龍樹論集」 中央公論新社
「講座 大乗仏教7 中観思想」春秋社
「講座 大乗仏教9 認識論と論理学」春秋社
「講座 仏教思想1 存在論・時間論」理想社
「講座 仏教思想2 認識論・論理学」理想社
「チャンドラキールティの中観思想」岸根敏幸著・大東出版社
「ツォンカパの中観思想―ことばによることばの否定」四津谷孝道著・大蔵出版
「ツォンカパ 中観哲学の研究1」
「ツォンカパ 中観哲学の研究2」
「ツォンカパ 中観哲学の研究3」
「ツォンカパ 中観哲学の研究4」
「ツォンカパ 中観哲学の研究5」
「般若経釈 現観荘厳論の研究」兵藤一夫著 文栄堂
「ダライ・ラマ 般若心経入門」ダライ・ラマ14世著、宮坂宥洪翻訳・春秋社
「ダライ・ラマの仏教哲学講義―苦しみから菩提へ」
 テンジンギャツォ著・TenzinGyatso原著・福田洋一翻訳・大東出版社
「チベット仏教成就者たちの聖典『道次第・解脱荘厳』解脱の宝飾」
 ガムポパ著・ツルティム・ケサン、藤仲 孝司共訳 UNIO
「心の迷妄を断つ智慧―チベット密教の真髄」
 チュギャム トゥルンパ著・宮坂宥洪訳
「チベット密教 修行の設計図」
 斎藤保高著・春秋社
「チベット密教 心の修行」
 ゲシェー・ソナム・ギャルツェン ゴンタ著、藤田省吾著 法蔵館
「チベット仏教 文殊菩薩(マンジュシュリ)の秘訣」
 ソナム・ギャルツェン・ゴンタ著 法蔵館
『ダライ・ラマの「中論」講義―第18・24・26章 』
 ダライラマ14世テンジンギャツォ著・マリアリンチェン翻訳 大蔵出版
「悟りへの階梯―チベット仏教の原典『菩提道次第論』」
 ツォンカパ著・ツルティムケサン翻訳・藤仲孝司翻訳 UNIO
『「空」の構造 -「中論」の論理』立川武蔵著・第三文明社
「縁起と空 如来蔵思想批判」松本史朗著・大蔵出版
「チベット仏教哲学」松本史朗著・大蔵出版
「禅思想の批判的研究」松本史朗著・大蔵出版
「道元思想論」松本史朗著・大蔵出版
「法然親鸞思想論」松本史朗著・大蔵出版
「仏教思想論 上」松本史朗著・大蔵出版
「法華経思想論」松本史朗著・大蔵出版
「中国仏教の批判的研究」伊藤隆寿著・大蔵出版

施本シリーズ

施本「仏教・縁起の理解から学ぶ」
http://oujyouin.com/enginorikai.html
施本・「仏教・空の理解から学ぶ」
http://oujyouin.com/topengi.htm
施本「仏教・空の理解」
http://oujyouin.com/sunyatop.htm
施本「仏教 ~ 一枚の紙から考える ~」
http://oujyouin.com/buddhism1p.html
施本「佛の道」
http://oujyouin.com/hotokenomichi.html

これから更に仏教の学びを進めるための文献・第三弾
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51518341.html

これから更に仏教の学びを進めるための文献・第二弾
http://blog.livedoor.jp/oujyouin/archives/51552614.html

これから更に仏教の学びを進めるための文献・第一弾
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/2008-11.html#20081110