野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

涙を流さずにタマネギをみじん切りする方法

2011-06-05 13:46:03 | Weblog
 お茶の基準値設定という比較的地味な作業が大きく報道された1週間でした。「荒茶」というこれまで関係者しか使わなかった業界用語が、平時であれば流行語大賞にノミネートされるかと思われるような勢いで報道されています。お茶の放射線基準は、荒茶について500ベクレル(セシウム)とするという決定については、飲用時の濃度に換算すれば牛乳の200ベクレルよりもずっと厳しいことになり、生産・流通にかかわる方には納得できない部分も多いかと思います。「荒茶はふりかけとして食べることもある」とういう政府の発表も、ふりかけを1日にどれくらいの量食べるか、総量としての被曝量を減らそうという趣旨から考えて、どこまで「科学的根拠」があるのでしょうか?話かわりますが、こうした議論を通じて、「A国産の野菜から基準値の5倍の農薬が検出されました」等の報道で、これまでは絶対視されてきた基準値というのが、どこまで安全上意義があることか改めて考えるきっかけを与えてくれたものと思います。
 前置きが長くなりましたが、テレビで「タマネギを切る方法」について放送されるとのことでしたので、どんな新しい技を使うのか楽しみに見ておりました。紹介されたのは、冷凍庫で15分冷やすという、ありきたりの方法でした。実際にスタジオで涙を流さずに切れたので、実用上問題はないのですが、「調理科学」を謳った割には、その説明がいただけない。「冷やして、硫化アリルの揮散を抑える」とのこと。まず、「硫化アリル」という化学物質は存在しません。タマネギの組織の中に、催涙成分のもとが存在します。包丁で切ったりすると、組織中の酵素が働いて、何段階かの反応の後に、催涙成分を生成します。冷やせば、酵素の働きが弱くなるので、結果的に催涙成分の生成量が少なくなり、そのために涙がでないというのが正解です。酵素が働かなくなればよいので、加熱したりアルコール漬けにしたタマネギをみじん切りにしても涙はでません。
 冷やし方について、冷凍庫で15分というのは、時間を間違うと凍ってしまいます。冷蔵庫でも、氷水でもよいので冷やすことが大事だと思います。涙の出ないタマネギについても一時期科学上の話題になりましたが、まだ実用販売されたという話はききません。
 余談ですが、お茶の基準値騒動で、静岡の茶農家杉本さんが映ってました。放射性物質について、個人で依頼分析に出しているとのこと。10年前に茶園を見学させていただきましたが、先進的で科学的な有機農法の経営者です。たまたま原発から遠い生産地では、データを公開して「安全」プレミアで売れるが、近い生産地で本来の品質とは違い、放射性物質の数値にびくびくしながら、生産・流通せねばならない、なんとなく、しっくりいかない部分もあります。


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