野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

トマトと相性の悪いキュウリ?

2009-07-12 11:58:56 | Weblog
 某人気テレビ番組で野菜が取り上げられたようです。あいにく見逃したのですが、番組HPによると、「キュウリと一緒に食べると栄養素の吸収のわるいものは?」という問題に対して、トマトが正解とされています。サラダで食べるとき、キュウリの酵素アスコルビナーゼが(トマトの)ビタミンCを破壊するためと理由付けされています。
 パリパリしてやや青臭い日本のキュウリと、ソフトで甘みのある日本のトマトの組み合わせは最高においしいパートナーだと個人的には考えています。キュウリ果実にアスコルビン酸を酸化する酵素、アスコルビン酸オキシダーゼが存在するのは誤りではありません。ただし、この酵素があるだけで、ビタミンCが破壊されるわけではありません。たとえばCCレモンのようなビタミンC飲料とキュウリを冷蔵庫にいっしょにいれることは、よくあることだと思います。アスコルビン酸を分解する酵素のあるキュウリの近くに、CCレモンのペットボトルを置いたら、CCレモン中のビタミンCの含量が減るでしょうか?減るわけはありません。アスコルビン酸オキシダーゼという酵素が働くには、ビタミンCと酸素の両方にこの酵素が接触する必要があります。ペット樹脂とキュウリの皮とで、ビタミンCとアスコルビン酸オキシダーゼは完全に隔離されています。従って、キュウリを満タンにつめた冷蔵庫にCCレモンのペットボトルを入れても、中のビタミンCが減ることはありません。ただし、ペットボトルの口をあけて、キュウリジュースを加えれば、キュウリジュース中のアスコルビン酸オキシダーゼとペットボトル内のビタミンCが接触するので、ビタミンCの分解が起きるかもしれません。
 それでは、野菜サラダの場合は?トマトはトマトとして切り、キュウリはキュウリとして切って並べるものと思います。いろどりも大事なので、トマトとキュウリを細かく切り刻み、混ぜ合わせる人は少ないのではないでしょうか。後者の場合は、番組で紹介するようにビタミンCが減るかもしれませんが、普通の人がイメージする野菜サラダでは、「アスコルビナーゼ」なるものについて考慮する必要は全くないものと考えます。
 HPでは、「ドレッシングを加えて酵素の働きを弱める」ようにと書かれていますが、ドレッシングというのは結構油を含んで高カロリーですので、ドレッシング多用による油のとりすぎの方が懸念すべきではないかと考えます。素材のよいキュウリやトマトならドレッシングなしでおいしく食べられます。夏野菜のおいしさを簡単なサラダで味わっていただければと思います。
 さらにナスと相性のよい食べ物として、「ナスとトマトのピザ」が紹介されています。ナスのナスニンとトマトのルチンの相乗効果で血糖値を抑えると説明されています。ナスニンとルチンで本当に血糖値が抑えられるのかどうか知りませんが、写真で見る限り、血糖を抑える効果よりも、カロリーの高いピザを食べて血糖が上昇する効果の方が大きいのではないかと懸念します。トッピングにある野菜がのっておれば、糖類の吸収が抑えられ・・・というものがあればよいのですが、残念ながら、そういったミラクル野菜はテレビ番組やネット情報に限定された都市伝説の範囲と考えています。
 


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