野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

体内の酸素のめぐりを促すクロロフィル

2011-09-04 08:43:02 | Weblog
 昨日に続き、野菜の日記事についてです。各記事に疑問符が多くつくのですが、ネットで調べると、そのまま引用してブログに紹介される方もすでにいらっしゃるようです。最大の不思議は「体内の酸素のめぐりを促すと期待される色素成分クロロフィルを含む、緑色野菜」です。普通に読むと、「クロロフィルは酸素のめぐりを促す」ということでしょうか。さすがに、ネットの怪情報にもなかなか見あたらない新説かもしれません。
 かつて、テレビ番組制作会社の方が、「赤血球の酸素を運ぶヘモグロビンと、葉緑素クロロフィルとは構造が似ているので、葉緑素を含む緑の野菜を食べると、血のめぐりがよくなる」という説を主張され、同意を求められたことはあります。お話を聞いてみると、高校程度の生物や化学の知識もお持ち合わせでないようでしたので、「ありえない」と回答させていただいたように記憶します。さすがに、クロロフィルがヘモグロビンに人体内で化けるような怪情報はネット上にも少ないと思います。
 ある健康食品の宣伝で、「クロロフィルのマグネシウムは溶けにくいので、鉄に置き換えた」植物由来商品が紹介されていました。マグネシウム塩が水に溶けにくいとは思えませんが(同じく健康食品のニガリなどマグネシウムのかたまり)、鉄を添加した健康食品であれば、貧血の改善には多少は役立つかもしれません。それなら、「クロロフィルそのものが酸素のめぐりを促す」のではなく、「クロロフィルに鉄を加えた健康食品は、貧血を改善して酸素のめぐりを促す可能性がある」だけかと思いますが。
 あるいは、クロロフィルは水を酸素と水素に分解して、エネルギーを取り出す光合成を担う重要な成分です。体内に入ったクロロフィルに光があたると、その場所で酸素を発生するのでしょうか?否、単体のクロロフィルに光をあてても、酸素は発生しません。葉緑体という特殊な組織の中で、他の成分とのたくみな連携の元で光合成はおこります。緑色野菜を腹いっぱい食べたら、クロロフィルが体をめぐり、酸素やエネルギーを供給してくれるのなら素晴らしいのですが、あいにくそうはなりません。(不要なところで酸素やエネルギーを作られたら、それはそれで病気や炎症の元にしかならないと思いますが。)
 「体内の酸素のめぐりを促すと期待されるクロロフィルを含む、緑色の野菜」、この意味するところは謎です。