仔羊の回帰線

詩と散文のプロムナード :Promenade

*隠者のように: 「オネーギン」より

2023年11月23日 08時45分52秒 | ギャラリー:世界の文学 Ⅰ

   オネーギンの隠者のような暮らしは、こんな風:

   夏は6時過ぎに起き、丘のふもとを流れる川に向かい、川を泳ぎ渡ると雑誌をめくりながら、珈琲を飲む。

    こうして、日々、森の木陰を逍遙し、読書し熟睡し、ときには村の娘と交わり、駿馬の手綱をとり、またワインを飲みながら昼食をし、孤独や静寂を愛していた。

    だが、感激はすでに、なく。 こんな暮らしにどっぷりとつかり、美しい夏の日を数えることなく、社交界も朋も祭りも、すっかり忘れていた。

      そうこうするうちに、北国の夏の空は早くも秋の気配。

日差しは日ごと衰え、みるまに昼間が短くなり、森では葉が静かに落ちて、霧が立ち込め雁も飛び去っていくと、侘しい季節がやってくる。

こうして、霜月11月は、つい目と鼻の先に到来していたのだ。

   OHEГИH 「オネーギン」                              ПУШKИH プーシキン作 より

 

 


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