宮殿内では築城されたり増築がつづき槌の音の絶えることがなかった。ガブリーニは飽きずに眺め人夫らとお喋りした。宮殿内にいる多くの縁者らはそれを好ましく思っていなかった。
一度、何かの折りガブリーニは一人の横っ面を叩いたことがあった。すぐに泣き上げた少年は縁者の者で、彼のそんな振る舞いを声高に非難したが、コーラは意に介さず、みずからの若き頃の愚行を思い浮かべているに過ぎなかった。
宮殿内では大きな歓迎行事のあと、ガブリーニも同席しなければならなく、それが苦痛のタネだった。テーブルに座っていること自体、好きになれず、レセプションの席では豪華な料理で、多くの騎士や連隊長や大使といった列席者の下で荘重になされた。 こうしてみると、コーラの交際範囲は驚くばかりであるとガブリーニは思い知った。
Werner Bergengruen: Das Vogel-Schalchen
「鳥の小皿」より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます