或る時、ウンビルシュは都合で 家を長いこと開けなければならない時があった。だが、家は閉じていってはいけない。留守の間も、ずっと安心していられる気がしたからだ。
九月も下旬の ある雨の日。戻ってみると、棲みついていたライオンは目を見開き ドアの後ろで横たわっていた。が、気づくと玄関先に姿を見せた。家の中は 出ていったときと変わったところはなかった。留守番の礼として、大きな肉を与えてやった。
それからというもの、河で釣りをしていると、ライオンもついてきた。そして 魚を釣り上げると 途端、鼻を ぴくつかせ、すり寄ってきた。 >> ライオンとはまた、よく森に入った。そして夜には一緒に寝た。 が、しばらくすると、ライオンは ふいと離れていった。 初雪の舞う明け方のことだった。言葉をかけ 親しんできたつもりなのにと 淋しくなった。けれども、別れの時はくるのだ。仕方ない。 雨の中 川に向かっていく姿を追っていると、ライオンは河を泳ぎ切り、向こう岸にたどり着き 姿は小さく消えていった。>>
こうして、冬が去り、寒さも去ると 河の向こうは 煙りつつ青々としてきた。空は澄みわたり 気持ちも晴れ晴れとなった。 冬の間は とじこもったまま、近辺の隣人を訪ねたこともなかったが、訪ねていき ライオンを話のタネに、酒でも酌み交わしてこよう。。。
C.Meckel : Lowe 大人のファンタズィー より
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