●ギーヴ
ダリューンの武勇チート、ナルサスの知略チート、そしてギーヴの遊撃チート。
とにかく技量とか運動能力とか、頭の回転とかバランスよくそつなくチートなのがギーヴ。
単機行動で密偵みたいな事も出来るし、
ゲームでいうところの運の良さとかラック的なものが異常に高い。
ナルサスがいなくなった今、行動力の高さから単独チートがアップしたようで、
とにかく無双であり仕事人だしで。
主要人物の中では最も死の気配がなく、終盤では戦場での生き残り組。
結局、ギーヴの正体や素性は誰も知らないままで、よく彼が女を口説く時に自称していたホラの何とかの王子内容なんかが、
割と本当のところではないんだろうかって思ったこともあったけど、その辺りは物語の誰も知らないまま。
あれだけの技術や能力を培うだけの生い立ちや経歴なんかも謎のまま。
なのに、そういう人物なのに、登場したての割と序盤からアルスラーン個人に入れ込んで本気で仕えてたりして、
こういうタイプなのに長い付き合いになるっていう不思議な縁で。
ナルサスなんかギーヴの素性もよくわからないうちから、単独行動のお願いとか出しちゃってるし、
この辺りの最初から信頼関係ある程度出来てたのも凄いし、謎。
結局何、アルスラーンに対しては何処までも人の良いお兄ちゃんだったのか。
ギーヴは生き残ったけれど、生き残りとしての役目は、心から仕えていた主を失うことで逆に自由になって、国を去るかと思ってたんです。
アルスラーンの治めない国なんか興味ないし、仕える必要もないし、ここにいる必要もないとかで。
国政に関して傍観者を決め込むぐらいの。
そして後世に残ったかも知れないアルスラーンの伝説の弾き語りみたいなサーガの伝え手としてだと頭から決め付けていたら、
無口になったり、女遊びをやめてしまうとか傭兵みたいなことを始めるとか、
アルスラーンの崩御で、ギーヴのアイデンティティが完全に失われちゃってた。
ただ、彼は旅に出ることもなく、律儀に真摯に遺された者同士の中に留まった。
元々真面目な人だったのか真面目にならざるを得なかったのか。
いろいろ考えます。
彼の最後は病気だったのも以外というか呆気ないというか。
人に殺されるのも老衰に殺されるのも真っ平そうなタイプだから、病気というのもそれはそれなのかなとは感じつつ、
戦場を生き残った運も、病気にかからなかったという運にはならなかっんだなとか。
とりあえず何だろう、臥せったまま病で死を悟るほど衰弱していくギーヴは正直見たくないし、考えたくもない。
それはエラムやファランギースもそうなんだろうなって。
●ファランギース
一番根性が座ってそうだった彼女だけど、いろんな人、仲間の死を女神官として見送って、
その中に、死からも逃げ切ってみせるようなあのギーヴが加わってしまった。
その辺りで隠居を決めてしまった辺り、いよいよ気丈さの陰りとか、思うところがあったんじゃないかとか、
最前線にいる事にさすがにもう疲れてしまったのではとかさー思う訳です。
ナルサスとアルフリードに何かが起きて、そして結ばれた前例を思うと、
エラムが、ギーヴとファランギースは結局のところどうだったんだろうって感じるぐらいには、
この二人にはこの二人なりの関係が、絆があったのだと思います。
(やったとかやらないとかデキてたとかデキてないとか別にして)
ギーヴはファランギースを口説こう落とそうとする素振りの中には、心からの本心と、若干のからかいとちょっかいがあるように見えた。
素っ気無く突っ返されても、鋭いツッコミが来ても、そのいずれも彼は喜んでたし、楽しんでた。
ファランギース含めて、それは二人のコント仕立てのやり取りでもコミュニケーションの一環で、
お約束の展開を二人で繰り出しているのではないかみたいな。
ギーヴの最後に「おれの赤心」を捧げた。
と、彼らしく言うのも、初志貫徹で良かった。
彼ならではの冗談らしくもあり、これは本心なのだろうという微妙なライン。
別に操を立てていた訳ではないけど、それに通じる何かは感じました。
ギーヴもファランギースもお互いの仲がどうなったのかは沈黙していたので最期までわからなかったそうだけど、
あったにせよなかったにせよ、お互いに墓まで持っていった。と考えたら、それはそれで特別だったのではなったのではないかと。
ミスラ神に仕える女神官と、その女神官にただ一つの赤心を捧げた男の生涯ということで。
そして、ファランギースも病気。
嫌になるほど波乱万丈な人生を「おもしろい人生」だと締めくくれたファランギースはやはり芯の強いマイペースで彼女らしかった。
そんな自分であろうとしたのかも知れない。
●エラム
何だかもう一番割を食った貧乏くじ総大将だったのは一番幼年であったエラムではなかったのかと思うと、
エラムの人生を思って悲しくなりました。トホホ。
ナルサスの弟子としてナルサスから徹底的に仕込まれていたのは、
待童としての身近な立場を超えて、(私は最初は身近故にと、エラムの両親のことを考えてだと思ってたんですが)
エラム自身の優秀な才覚や性格を見越してた部分があったのだと今は絵感じます。
その期待をかけた教育を完了する前に恩師が亡くなり、
彼をサポートしていたチートな大人集団がほぼ全滅。
志を分けた弟弟子で親友で君主も年若くして死去という現実に追い討ちをかける祖国滅亡。
しかも自分は割と中枢にいた訳で…。
そしてラジェンドラのところで居候50年…。
エラムが頑張ったことって、全盛期のチートメンバーなしで全部自力解決しなきゃいけないことだから、
もう本当にできること、できたこと。考えたこと、考えられなかったこと。沢山あると思うんです。
ナルサスは生前に、死んだ人が生き残ってる人に勝手に後の事を押し付けてくる遺言を全面否定してたけど、
結局エラム自身が亡くなった人達の意志を受け継いだっちゃあ聞こえはカッコイイですけど。
ギーヴやファランギースという相談先は生き残ってくれたけど、
二人とも先頭に立つタイプではなく第一線でない感も亡くなったメンツよりは際立つので、
先の見えない後始末を全部押し付けられて自分の人生使い切るまで死ねなかった…訳ですから、
もう本当にエラムおつ…おつだよ…。
アイヤールやロスタムみたいな後継は育ってきたけど、育たせるまでの孤独さはいかばかりか…。
みたいなことを考えて突き詰めていくと、今の状況をそれなりに楽しんで自分の人生を謳歌できるタイプではないので、
やっぱり使命の全うというのが人生の比重になったのかな…どうなのかな…。
世話焼きエラムはおっちょこちょいで天然の奥さんが出来たけど、そういう何気ない私生活の片隅以外は、
安らぎがなかったのかも知れないな…とか。
エラムは一番長生きする設定はわかってたとして、最後に登場する人生の終盤を迎える老いたエラムが、
その若かりし日の少年エラムと全く結びつかなかったのは、正直、私の個人的な読解力の問題なのかなとか。
自分の人生を使って、目的を果たすまで死ねないと張り詰めていたエラムと、
いざ目的を果たし終わって一種遺言という呪縛みたいな使命から開放されたエラム。
そうなると本当にエラムがすべきことが亡くなってしまって、
だからといって第三の人生を余生として自由に過ごすことにエラムの気持ちが向いてなくて、
もう死んでもいい。生きてることに意味はない。まで思っちゃってて。
栄枯盛衰を全部見たエラムは、もう一度栄と盛を見ることを時代に託してしまった。
そうしたら絶妙なタイミングで迎えが来るんだわ…。
亡くなった仲間が、人生で一番輝いてた全盛期の姿で迎えに来て、一緒に旅をしようって声をかけられたら、
エラムも自分が一番輝いていた時期の姿に戻ってる。
そして自分も一緒に旅立つと、この世から存在が消えた。
ベタじゃないですか、余韻の残るベタなラストではないですか。
いなくなったけど、亡くなったかはわからない。
けど、いなくなったから、亡くなったとわかる。
遺体も痕跡もなく、消えたことで死を悟り、死であると伝わる。
迎えに来た方も、そこに本当に存在していたのか、幻だったのか、エラムの願望だったのか。
でも、来た方の実際の痕跡は他の人に見えて残っているし、
痕跡が何処かに続いているかといえば途中から消えている。
お察しにお任せします。
というのが、物語の締めくくりにして一番のファンタジーを見た気がします。
ここ一番ファンタジーの、童話的な終わりだと思います。
まぁリアルな話だと、
エラムが目的を果たすまではお迎えが来なかったこと、これは本人が拒絶することもあるとして、
エラム本人が人生に未練を残さなくなって、やり遂げたと感じたところに、
狙ったようにやっとオールスターお迎えが来るのも見事というかズルイというか何というか…。
でも、ギーヴやファランギースのように、無念ではないけど志半ば感のある人生の途中退場よりは、
エラムが自分の逝きたい時に、会いたいメンバーが来てくれたというのは最後の御褒美なのかなと思います。
それまで苦行過ぎて見てられないけど、本人が喜んでい行けたのなら。っていうエラムおつ…。
ノロノロと続く。
ダリューンの武勇チート、ナルサスの知略チート、そしてギーヴの遊撃チート。
とにかく技量とか運動能力とか、頭の回転とかバランスよくそつなくチートなのがギーヴ。
単機行動で密偵みたいな事も出来るし、
ゲームでいうところの運の良さとかラック的なものが異常に高い。
ナルサスがいなくなった今、行動力の高さから単独チートがアップしたようで、
とにかく無双であり仕事人だしで。
主要人物の中では最も死の気配がなく、終盤では戦場での生き残り組。
結局、ギーヴの正体や素性は誰も知らないままで、よく彼が女を口説く時に自称していたホラの何とかの王子内容なんかが、
割と本当のところではないんだろうかって思ったこともあったけど、その辺りは物語の誰も知らないまま。
あれだけの技術や能力を培うだけの生い立ちや経歴なんかも謎のまま。
なのに、そういう人物なのに、登場したての割と序盤からアルスラーン個人に入れ込んで本気で仕えてたりして、
こういうタイプなのに長い付き合いになるっていう不思議な縁で。
ナルサスなんかギーヴの素性もよくわからないうちから、単独行動のお願いとか出しちゃってるし、
この辺りの最初から信頼関係ある程度出来てたのも凄いし、謎。
結局何、アルスラーンに対しては何処までも人の良いお兄ちゃんだったのか。
ギーヴは生き残ったけれど、生き残りとしての役目は、心から仕えていた主を失うことで逆に自由になって、国を去るかと思ってたんです。
アルスラーンの治めない国なんか興味ないし、仕える必要もないし、ここにいる必要もないとかで。
国政に関して傍観者を決め込むぐらいの。
そして後世に残ったかも知れないアルスラーンの伝説の弾き語りみたいなサーガの伝え手としてだと頭から決め付けていたら、
無口になったり、女遊びをやめてしまうとか傭兵みたいなことを始めるとか、
アルスラーンの崩御で、ギーヴのアイデンティティが完全に失われちゃってた。
ただ、彼は旅に出ることもなく、律儀に真摯に遺された者同士の中に留まった。
元々真面目な人だったのか真面目にならざるを得なかったのか。
いろいろ考えます。
彼の最後は病気だったのも以外というか呆気ないというか。
人に殺されるのも老衰に殺されるのも真っ平そうなタイプだから、病気というのもそれはそれなのかなとは感じつつ、
戦場を生き残った運も、病気にかからなかったという運にはならなかっんだなとか。
とりあえず何だろう、臥せったまま病で死を悟るほど衰弱していくギーヴは正直見たくないし、考えたくもない。
それはエラムやファランギースもそうなんだろうなって。
●ファランギース
一番根性が座ってそうだった彼女だけど、いろんな人、仲間の死を女神官として見送って、
その中に、死からも逃げ切ってみせるようなあのギーヴが加わってしまった。
その辺りで隠居を決めてしまった辺り、いよいよ気丈さの陰りとか、思うところがあったんじゃないかとか、
最前線にいる事にさすがにもう疲れてしまったのではとかさー思う訳です。
ナルサスとアルフリードに何かが起きて、そして結ばれた前例を思うと、
エラムが、ギーヴとファランギースは結局のところどうだったんだろうって感じるぐらいには、
この二人にはこの二人なりの関係が、絆があったのだと思います。
(やったとかやらないとかデキてたとかデキてないとか別にして)
ギーヴはファランギースを口説こう落とそうとする素振りの中には、心からの本心と、若干のからかいとちょっかいがあるように見えた。
素っ気無く突っ返されても、鋭いツッコミが来ても、そのいずれも彼は喜んでたし、楽しんでた。
ファランギース含めて、それは二人のコント仕立てのやり取りでもコミュニケーションの一環で、
お約束の展開を二人で繰り出しているのではないかみたいな。
ギーヴの最後に「おれの赤心」を捧げた。
と、彼らしく言うのも、初志貫徹で良かった。
彼ならではの冗談らしくもあり、これは本心なのだろうという微妙なライン。
別に操を立てていた訳ではないけど、それに通じる何かは感じました。
ギーヴもファランギースもお互いの仲がどうなったのかは沈黙していたので最期までわからなかったそうだけど、
あったにせよなかったにせよ、お互いに墓まで持っていった。と考えたら、それはそれで特別だったのではなったのではないかと。
ミスラ神に仕える女神官と、その女神官にただ一つの赤心を捧げた男の生涯ということで。
そして、ファランギースも病気。
嫌になるほど波乱万丈な人生を「おもしろい人生」だと締めくくれたファランギースはやはり芯の強いマイペースで彼女らしかった。
そんな自分であろうとしたのかも知れない。
●エラム
何だかもう一番割を食った貧乏くじ総大将だったのは一番幼年であったエラムではなかったのかと思うと、
エラムの人生を思って悲しくなりました。トホホ。
ナルサスの弟子としてナルサスから徹底的に仕込まれていたのは、
待童としての身近な立場を超えて、(私は最初は身近故にと、エラムの両親のことを考えてだと思ってたんですが)
エラム自身の優秀な才覚や性格を見越してた部分があったのだと今は絵感じます。
その期待をかけた教育を完了する前に恩師が亡くなり、
彼をサポートしていたチートな大人集団がほぼ全滅。
志を分けた弟弟子で親友で君主も年若くして死去という現実に追い討ちをかける祖国滅亡。
しかも自分は割と中枢にいた訳で…。
そしてラジェンドラのところで居候50年…。
エラムが頑張ったことって、全盛期のチートメンバーなしで全部自力解決しなきゃいけないことだから、
もう本当にできること、できたこと。考えたこと、考えられなかったこと。沢山あると思うんです。
ナルサスは生前に、死んだ人が生き残ってる人に勝手に後の事を押し付けてくる遺言を全面否定してたけど、
結局エラム自身が亡くなった人達の意志を受け継いだっちゃあ聞こえはカッコイイですけど。
ギーヴやファランギースという相談先は生き残ってくれたけど、
二人とも先頭に立つタイプではなく第一線でない感も亡くなったメンツよりは際立つので、
先の見えない後始末を全部押し付けられて自分の人生使い切るまで死ねなかった…訳ですから、
もう本当にエラムおつ…おつだよ…。
アイヤールやロスタムみたいな後継は育ってきたけど、育たせるまでの孤独さはいかばかりか…。
みたいなことを考えて突き詰めていくと、今の状況をそれなりに楽しんで自分の人生を謳歌できるタイプではないので、
やっぱり使命の全うというのが人生の比重になったのかな…どうなのかな…。
世話焼きエラムはおっちょこちょいで天然の奥さんが出来たけど、そういう何気ない私生活の片隅以外は、
安らぎがなかったのかも知れないな…とか。
エラムは一番長生きする設定はわかってたとして、最後に登場する人生の終盤を迎える老いたエラムが、
その若かりし日の少年エラムと全く結びつかなかったのは、正直、私の個人的な読解力の問題なのかなとか。
自分の人生を使って、目的を果たすまで死ねないと張り詰めていたエラムと、
いざ目的を果たし終わって一種遺言という呪縛みたいな使命から開放されたエラム。
そうなると本当にエラムがすべきことが亡くなってしまって、
だからといって第三の人生を余生として自由に過ごすことにエラムの気持ちが向いてなくて、
もう死んでもいい。生きてることに意味はない。まで思っちゃってて。
栄枯盛衰を全部見たエラムは、もう一度栄と盛を見ることを時代に託してしまった。
そうしたら絶妙なタイミングで迎えが来るんだわ…。
亡くなった仲間が、人生で一番輝いてた全盛期の姿で迎えに来て、一緒に旅をしようって声をかけられたら、
エラムも自分が一番輝いていた時期の姿に戻ってる。
そして自分も一緒に旅立つと、この世から存在が消えた。
ベタじゃないですか、余韻の残るベタなラストではないですか。
いなくなったけど、亡くなったかはわからない。
けど、いなくなったから、亡くなったとわかる。
遺体も痕跡もなく、消えたことで死を悟り、死であると伝わる。
迎えに来た方も、そこに本当に存在していたのか、幻だったのか、エラムの願望だったのか。
でも、来た方の実際の痕跡は他の人に見えて残っているし、
痕跡が何処かに続いているかといえば途中から消えている。
お察しにお任せします。
というのが、物語の締めくくりにして一番のファンタジーを見た気がします。
ここ一番ファンタジーの、童話的な終わりだと思います。
まぁリアルな話だと、
エラムが目的を果たすまではお迎えが来なかったこと、これは本人が拒絶することもあるとして、
エラム本人が人生に未練を残さなくなって、やり遂げたと感じたところに、
狙ったようにやっとオールスターお迎えが来るのも見事というかズルイというか何というか…。
でも、ギーヴやファランギースのように、無念ではないけど志半ば感のある人生の途中退場よりは、
エラムが自分の逝きたい時に、会いたいメンバーが来てくれたというのは最後の御褒美なのかなと思います。
それまで苦行過ぎて見てられないけど、本人が喜んでい行けたのなら。っていうエラムおつ…。
ノロノロと続く。