難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

障害者の権利条約に関する声明―特別委員会での条約草案採択を受けて

2006年09月01日 21時17分34秒 | 福祉サービス
060901_0837~001.jpg日本障害フォーラム(JDF)が8月30日、記者会見で以下の声明を発表した。

私たちが直接関わったのは昨年からだが、国際的な強力な障害者差別禁止条約を求めた動きは1987年の国連のストックホルム会議だったことを初めて知った。この会議で半数以上を占めた障害者自身がこの障害者権利条約の必要性を主張したということも知った。
日本におけるテレビの字幕放送の拡充の運動も、聴覚障害者自身が長年取り組んで来た。政府と放送局を動かして来たように、これから、社会のあらゆる場において、障害者が人間として生きる権利を保障するようあらたな運動が必要になっている。

ラビット 記
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障害者の権利条約に関する声明―特別委員会での条約草案採択を受けて

国連障害者の権利条約特別委員会は、8月25日に障害者の権利条約草案を採択した。国連では総会のもとに設置された特別委員会で2002年7月以来、障害者の人権を保障するための国際条約を検討してきた。丸4年をかけた作業の成果として条約草案が成立し、9月から開始される第61回国連総会にて年内にも採択される見通しとなったことを受けて、日本の障害者を代表する立場にある日本障害フォーラムとしての声明を発表する。

日本障害フォーラム(JDF)は障害者団体を中心に13団体から構成され、障害者の権利を推進することを目的に設立されたネットワークであり、条約及び関連国内施策に関する政府との意見交換、意見書(日本語、英語)の公表、権利条約推進議員連盟との協力、特別委員会への代表団派遣、特別委員会でのNGOとしての発言、政府代表団への顧問推薦、世界の障害者ネットワークとの協力など、権利条約策定過程に国内外で積極的に参画してきた。

思い起こせば、国際的条約提案が最初になされ、そして否定されたのは1987年だった。1981年の国際障害者年を受けて、1983年から実施されていた「国連障害者の10年」の中間年である1987年に開かれたストックホルム専門家会議において、条約提案が行われたのである。国連の専門家会議として初めて障害者自身が過半数を占めたのが同専門家会議だった。障害者の権利を確立し、差別を撤廃するには、国際条約が必要だという声は、障害者自身から切実に表明されたのである。
20年を経て、国際社会はようやく障害者の権利条約草案をまとめることができた。率直に言って私たちはもっと強力な内容の条約を求めてきたため、これで満足という訳ではない。しかし、障害者を含む誰もが差別されず、完全に参加できる社会を築き上げる取り組みのさらなる一歩として条約草案の採択を今は心から喜びたい。社会にある障壁を除去し、障害者の人権と自由を確保するための国際的な合意が、条約という具体的な形でまもなく実現しようとしているからである。

21世紀初の人権条約となる本条約草案の国連総会での採択に、私たちは大きな期待と関心を抱いている。採択までの条約草案の微調整過程で、いっそう充実した内容とするための努力も行う。そして採択後は国内施策と国際協力への条約の理念の反映ならびに批准と国内履行という大きな課題が待っている。この条約制定と実施は「完全参加と平等」の世界的実現に向けて極めて重要な意義があり、日本障害フォーラムは全力で取り組む覚悟である。

2006年8月30日
日本障害フォーラム(JDF)会長 小川榮一





中央対策本部の文書がブログに掲載される

2006年09月01日 21時00分40秒 | 福祉サービス
060831_0838~001.jpg聴覚障害者自立支援法対策中央本部は、今後の取組みについて、8月31日付で地方本部に文書を発信した。
対策中央本部のブログに掲載されている。
http://blog.goo.ne.jp/houantaisaku/e/0752ea0aeb34765dcdfa955580f29261

一つのポイントは、コミュニケーション支援事業が無料で実施される各地の実施要領、ガイドラインなどを、厚生労働省が8月24日の障害保健関係主管課長会議の資料として配布したことから、その活用を求めていることだ。
また、全国手話通訳問題研究会が、手話通訳事業の展開にあたってパンフレットを発行した。その中で紹介されている、要約筆記事業について、市町村に対して「要約筆記者事業」として実施されるよう働きかけることが強調されている。

ラビット 記
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国の地域生活支援事業実施要綱(案)コミュニケーション支援事業では、2事業内容に『手話通訳者、要約筆記者を派遣する事業(後略)』と明記されています。

支援法成立により、手話通訳と要約筆記が同列の「通訳」とされたことはコミュニケーション支援事業が聴覚障害者の権利擁護の事業であること、また要約筆記の専門性が認められたことでもあります。

しかし、地域生活支援事業実施要綱(案)コミュニケーション支援事業の4留意事項では、イ「要約筆記者」の説明として「要約筆記奉仕員」と記されています。また、現時点では、要約筆記者養成・研修事業の要綱は示されていません。このため、障害者社会参加総合推進事業で養成された要約筆記奉仕員が、要約筆記奉仕員のまま派遣されることに対し市町村にきちんとした説明が必要です。
「市町村行政の必須事業になったこと、社会福祉法第二種事業であることから、要約筆記奉仕員の派遣には、一定の補修研修が必要になること、何らかの担保を得る必要があること、今後は『要約筆記奉仕員』から『要約筆記者』の養成と派遣にシフトしていく必要があること」を市町村に要請してください。事業名を「要約筆記者派遣事業」とするのはもちろんです。
また、都道府県での要約筆記奉仕員養成・研修事業についても、地域生活支援事業施行後は、「要約筆記者養成・研修事業」として実施されるよう、説明が必要です。

             聴覚障害者「自立支援法」対策中央本部



アメリカ聴覚障害者雇用均等に関するQ&A

2006年09月01日 20時30分29秒 | 福祉サービス
060831_0836~001.jpg在米の難聴の友人から、情報提供があった。

アメリカでは、障害別の障害者雇用と就労に関するADAのガイドブックが発行されていること、就労を希望する聴覚障害者や就労している聴覚障害者に、ADAがどのように適用されるかを解説している。
・聴覚障害がADAにおける「障害」である場合
・雇用主が就労希望者や雇用されている人に聴覚障害について尋ねる場合、
・雇用主が聴覚障害者に合理的配慮の範囲でを提供しなければならないこと
・雇用主は就労希望者及び雇用されている人の医学的情報を以下に守秘するか
・聴覚障害者の必要とする情報保障機器などにはどういうものがあるか
・雇用主は聴覚障害者に合理的配慮を提供しなければならないということ
・雇用主はいかに聴覚障害者に安全とハラスメント(嫌がらせ)問題を扱うか
・聴覚障害者がADA法とリハビリテーション法で雇用主に対して、苦情を申し立てることが出来ること
などが説明されているとある。

東京でも、聴覚障害者就労問題フォーラムの開催が近づいているので、大変示唆に富む内容だ。
もちろん、ADA法のあるアメリカと障害者雇用に極くわずかな罰金くらいしかない日本とは比べられないが、聴覚障害者は聴者より能力が劣ることは無い、適切な支援と配慮があれば普通に働けるという思想が貫徹しているところが、重要だ。

ラビット 記
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米国EEOC (Equal Employment Opportunity Commission=訳:雇用機会均等委員会?)は、7月26日付、聴覚障害者の雇用・就職におけるADA法の適用について説明したQ&A形式のガイドを発刊しました(http://www.eeoc.gov/press/7-26-06.html )。
これは、同委員会が作成してきた「障害と雇用」Q&Aシリーズの第6巻に当たるもので、適切な配慮を受けながら様々な職場で活躍する聴覚障害者の実例を挙げながら、雇用者にも聴覚障害者にも分かりやすく説明したオンライン・リーフレットです。

当委員会の議長、カリ・ドミンゲズ氏は、ADA法16周年を祝う記念講演の席で「聴覚障害者は聴者よりも能力がないとか、生産性が低いので余分な訓練や監督を必要とするというような誤解を解くためにつくられた。(中略)障害者は甚大な雇用市場を形成する無尽蔵の源」と語りました。
このリーフレットの詳細は、http://www.eeoc.gov/facts/deafness.htmlにて閲覧できます。


写真は、鉢植えの唐辛子。