難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

障害児・者への「いじめ」と差別

2006年11月30日 15時16分16秒 | PHSから
061130_1251~001.jpg061130_1252~001.jpg教育再生会議が「いじめ問題への緊急提言」をまとめ、いじめた側の児童・生徒に毅然とした対応をとることを盛り込んだと報道された。(日経11月29日夕刊)
記事には主に学校や教員、教育委員会向けの内容とあるが、いじめた児童に罰を与えるような対応は問題の解決にならない。
新聞等に被害・加害者が体験が掲載されているが加害側は何らかの精神的に不全状態にあり、過去に自分が被害を受けたこともあることもある例がある

これは教育の問題で、人権教育がきちんと行われていないからだ。学力優先の教育システムでは子供は人権について考えられない。

こんなので安倍内閣の教育再生への意気込みを示されてはかなわない。
教育の場に、子供の諸権利、教育権、障害者問題に緊急に取り組むなら考えないでもないが。

ラビット 記



感覚器障害に関するワークショップのお知らせ

2006年11月29日 18時55分29秒 | 生活
061128_1934~001.jpg日本障害者リハビリ国立身体障害者テーション協会からリハビリテーションセンター研究所のワークショップの案内を受け取った。
情報保障付き。申込みは国立リハビリテーションセンターへ
ラビット
--以下、ワークショップ概要--

感覚器障害に関する研究発表会とワークショップ

平成18年12月8日(金)  13:00~18:30
〒359-8555 埼玉県所沢市並木4-1
国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院1F講堂(13:30受付開始)
http://www.rehab.go.jp/

○ プレワークショップ   研究所第2研究棟 13:00~14:00
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所見学会  (10:00~16:00見学可能)


○ 研究発表会 「感覚器障害者のニーズに応える統合研究に向けて」 14:15~15:45
 1.キーノートスピーチ  「障害者のニーズに応えるために」
  江藤 文夫  国立身体障害者リハビリテーションセンター更生訓練所長 
 2.感覚器研究に障害者は何を望むか
  石川 准    静岡県立大学国際関係学部教授
 3.視覚障害者を廻る専門職間の連携と研究課題
  簗島 謙次  国立身体障害者リハビリテーションセンター病院第三機能回復訓練部長
 4.小児人工内耳リハビリテーションへの取り組み
  田中 美郷  田中美郷教育研究所・ノーサイドクリニック,帝京大学名誉教授
 5.高齢化社会における難聴者の増加と補聴器の進歩 ―軽度難聴から最重度難聴まで―
  細井 裕司  奈良県立医科大学耳鼻咽喉科学講座教授

----- 休憩(15分) -----

○ ワークショップ(第3回) 「感覚器障害者のニーズに応える産学官連携」 16:00~17:30
 1.産業界における障害者支援機器開発と障害者のニーズ
  北風 晴司  日本電気株式会社医療ソリューション事業部マーケティングマネージャー
 2.パネル討論  「感覚器障害者のニーズに応えるための研究開発と施策」
  モデレーター  岩谷 力  国立身体障害者リハビリテーションセンター総長
  パネリスト   中谷 比呂樹  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長
          北風 晴司  (前出)
          河村 宏  国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所障害福祉研究部長

○ 交流会     学院6F大研修室 17:35~18:30





デジタル放送時代の字幕

2006年11月24日 08時03分02秒 | 生活
061123_1844~002.jpg総務省の「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送に関する研究会」は第二回が終わり、12月1に第三回がある。

これまでの研究会では、放送事業者や関連企業が字幕放送や解説放送に対する取り組みを報告し、これに対し全難聴、全日本ろうあ連盟、日本盲人会連合会の 委員が利用者の立場で意見を述べている。
しかし、放送事業者と関連企業の報告はこれまでの実績と技術的な取り組みについて終始し、障害者側の委員は、皆放送法に障害者のテレビ放送のアクセスす る権利とその保障となる目標値を持ったガイドラインの設定などを提案しているなど、まだ施策の方向を定める議論にまでいっていない。

総務省がなぜ今デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送の研究会を立ち上げたのか。それは直接的には、2007年に今の字幕放送普及の指針の目標年度に達し、その後の方向を打ち出さねばならないからだ。また、視覚障害者の解説放送やろう者の手話放送などは現行アナログのテレビ放送では普通放送に制約を加えなければできないという「技術的」制約があるので、デジタル化で打開するという理由もある。解説放送はステレオの片チャンネルを使い、手話放送もワイプなど画面の一部を占有するので、普通の視聴者を重んじる放送事業者側がよしとしないのだ。

2011年にテレビの地上波デジタル放送完全移行に合わせ、放送事業者もテレビメーカーもインターネットコンテンツ事業者などもそれに向かってなだれをうって血眼になっている。
しかし、研究会では肝心のデジタル化によって、障害者のアクセスがどうなるのかの問題については明確な報告がされていない。テレビ放送とデータ放送との リンク、ワンセグ放送、災害時の情報提供などに触れられただけだ。NHK放送技研や大学の手話に関する研究がアニメに集中してしまうのか。音声認識技術がニュースに採用されたが、作成された字幕の修正によるコストの面で衰退したように、手話アニメの技術的困難を理由に手話放送も後回しにされないか。手話放送は必要な時に別の画面に表示されるオンデマンド方式が可能な規格だろうか。周波数帯域は十分か。字幕の色やフォント、位置の選択、スクロール機能などはオプションにされてしまったが、今後標準機能になるのか。字幕にはタイムドテキストというあらゆるメディアの映像と字幕を同期させる規格がW3Cで開発されているが、今後の字幕放送に関係がないのか。
地上波デジタル放送の規格は日本のISDB、アメリカのATSC、EUのDVBとあるが互換性はないのだそうだ。アメリカは2009年2月にデジタル化になると言うが、規格の違いがテレビのコストや障害者のテレビへのアクセス技術に影響がないのだろうか。

この研究会ではいろいろ多角的に検討しなければならない課題が多く、放送バリアフリーに付いて放送事業者や関連企業、利用者が協議できる恒常的な機関が必要だ。この機関が、アクセスの状況をモニタリングをするような権限を持たせればどうか。

アナログ放送を2011年に打ち切り、デジタル放送に切り替えるにあたって、国策として莫大な予算を投入するが障害者へのアクセスを進めることが免罪符とされてはかなわない。

ラビット 記



聞こえない人にとって、テレビの意義って何だろう?

2006年11月24日 03時42分46秒 | 生活
061123_1947~001.jpg061124_0042~001.jpgテレビ放送の意義って、何だろうか。

テレビの司会者になりたい夢を持っている障害を持つ小学生三年生の子供が実際にスタジオで安住紳一郎アナウンサーに会うというTBSテレビの「もうひとつの逢いたい」を見た。

「おおっ、いいじゃん。障害を持っているアナウンサーがいたっていいさ。アナウンサーに必要なのはジャーナリストの感覚だし、人権感覚が大事なんだ」、
「別にきちんと発音できなくったっていいさ、文字の通訳だってあるし。」など、一人でいろいろ言っている自分を見ていた。

NHKのトップランナーはケミストリーだった。この番組は、若い才能を持った人にインタビューで仕事に対する考え方を引き出しているので、時々見る。

チャンネルを変えると50歳の冒険家というリヤカーマンがアマゾン地帯を900km歩く番組だった。ぱっとしない風貌だが、年齢も近くおいおい頑張れよと手に汗を握って見てしまった。中年も捨てたものじゃないさ。

これらの番組は字幕放送が付いていた。テレビは多くの情報と知識と考える力をもたらしてくれる。


ラビット 記



企業減税?はぁ?財界に配慮?はぁ?

2006年11月22日 13時59分40秒 | 福祉サービス
061122_1258~001.jpg061122_1302~001.jpg朝日新聞20日の夕刊トップに、こんな記事が。
「法人税 下げ 明記、07年度政府税調答申 前倒し 財界配慮」
障害者自立支援法の自己負担で自ら死を選ぶ仲間もいるなかで。
オイルショックのときに、売り惜しみ下元売企業に多くの抗議が寄せられた。官製談合や民間談合に何億円もの追加徴税や罰金を課されている企業に何が減税か。過去最高の売り上げを誇る自動車会社、偽装請負をしていたキャノンの御手洗会長は財界の代表、日本経済連の会長だと。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/pro003.html

記事中には、4兆円規模の企業減税が行われれば、それと同額の消費税は2%程度の税率アップが必要とある。これ以上、高齢者、障害者を苦しめてどうするのだ。
この政府税調の報告が行われれば、景気の後退、地方自治体の税収減がセットで起きる危険性が高まる。
2009年度の障害者自立支援法の第二期に合わせて、介護保険制度と自立支援給付制度などの組み込み、コミュニケーション支援事業も有料化=「福祉サービスの商品化」が避けられなくなるのではないか。

断固、国民的規模で抗議すべきだ。

ラビット 記



要約筆記事業を開始させるための考え方(2)

2006年11月20日 02時07分12秒 | 要約筆記事業

小樽食堂看板実績がないということに対して、制度がなかったから実績になっていないのは当然だ、制度が出来れば必ず利用されるということを説明するが、これで納得してもらえる区市は実施を予定している、そうでない区市をどう説得するかで議論になった。

「実績がないと言うなら、今から実績を作ろう、理事や会員が日常の生活の中で、今までは我慢していたり、控えていたのを派遣の依頼をしよう」と。しかし、理事や役員の反応は今ひとつだ。
「部会とか月に1回あるかないかだし、このぐらいで頼むのも」、「地域の行事に手話通訳を頼んだら、児童館に予算がないなら個人派遣で有料になると言われてあきらめた」、「会社に通訳を頼んでも断られる方が問題だ」。「実績がないことはニーズがないことではないと言っているのだから、無理に派遣を依頼しても本当のニーズではない」など逆の意見ばかりだ。
「支援費制度で利用が急増して、国が障害者自立支援法を成立させることになったのも、当事者団体が地域の隅々の同障者に利用を呼びかけたからだ、今本当に依頼して利用を増やさなければ制度なんて出来ない」、「地域に支部がないので派遣の組織ができない、協会が自らやらないと」、「支援センターに依頼すれば、行政との交渉もやってくれる」、「地域の会員にも依頼の方法を説明して使ってもらおう」。
「区報など見て、区の行事に参加して、要約筆記を依頼してほしい」、「区や市と交渉する時に区の主催行事には依頼があったら付けるように要望しているので、それはぜひやって欲しい」。

結局議論は、協会として行動することと個人で行動することを臨時ニュースを発行して、会員全体に呼びかけることになった。ニュースが届いた後、地域の会の人々を中心に説明会を行うことも計画されている。
協会として、引き続き、区市に要望の説明に行くこと、地域の会員と一緒に行き、実績論に対しては、緊急時や病気のときのコミュニケーション保障は行政の責任だ、要約筆記事業がどういうものか知っているのに、支援法で要約筆記者派遣事業が実施されることになっているのに制度化しないのは行政責任が問われると説明することにした。
実績を作るために、こういう場合は派遣が依頼できる、依頼先のファックス番号や依頼用紙なども含めて、依頼しやすい形で利用を呼びかけることにした。福祉事務所に利用の呼びかけのチラシをおき、他団体にも利用を呼びかけることにした。
自立支援センターでは、個人から依頼があれば当該区市に対して事業体の立場で、要約筆記者派遣事業の契約を説明することができる。

ラビット 記


要約筆記事業を開始させるための考え方(1)

2006年11月19日 16時06分02秒 | 要約筆記事業
協会の理事会で、区市で要約筆記事業を始めさせるための活動をどう強化するかを協議した。
昨年から全ての区市に要望書を渡したり、面会をしてきたが、まだ事業の開始を決めていないか、やらないと言っているところがほとんどだ。
その理由のひとつに、東京都はすでに手話通訳事業も要約筆記事業も派遣事業を実施しないことを表明しているが、23区として東京都に要約筆記事業の継続を要望している。東京都が、これに明確な返事をしていないためだ。
それらの区市では、実績がないことを理由にしている。これまで東京都の事業だったから区市に実績がないのは当たり前だが、東京都の派遣実績がないところも多い。また地域の要約筆記サークルが派遣していた場合は数字が上がってこない。
さらに、「団体」派遣が非常に多いがこれは特定の団体の支援につながるとして対象にされないことがある。



東京都大田区の手話通訳派遣事業の仕組み

2006年11月19日 00時05分37秒 | 要約筆記事業
061110_1234~001.jpg東京の福祉対策会議(地方対策本部会議にあたる)で、東京都大田区で地域生活支援事業の条例が出ていることが報告された。
それを見ると、手話通訳事業は費用給付事業で10%の負担金を契約した手話通訳等に払うとかある。
何なんだと詳しく見ると「大田区障害者自立支援条例」の第3条第2項に「地域生活支援事業(事業の利用の決定を受けた者と区長の指定を受けた事業者との契約に基づき提供されるサービスに係る費用の一部について給付金を支給する事業(以下「費用給付事業」という。)及び補助金又は助成金を交付する事業を除く。)の利用者は当該事業の実施に要する費用の一部として、その実施に通常要する費用の額を勘案して区長が定める基準により算定した費用の額に100の10を乗じた額を負担しなければならない。」、「大田区障害者自立支援条例施行規則」の第12条に「法第77条第1項第2号に規定する手話通訳者等派遣事業を、第16条第2項の規定により支給決定を受けた者と区長が別に定めるところにより登録した手話通訳者及び手話奉仕員との契約に基づき提供される手話通訳サービスに係る費用の一部を給付する事業として実施するものとする」とある。

長々と引用したのは、その不可解さに気が付いて頂きたいからだ。
これは、契約事業の個別給付と事業補助である地域生活支援事業とを一緒にしていることがまず問題だ。
個別給付の自立支援給付事業などは法律で契約の事業とされていて(だから一割負担が決まっている)のに対し、地域生活支援事業は支援費制度の対象にならなかった(つまり契約の事業ではない)
社会参加促進事業の手話通訳事業とは明らかに法律上も位置付けが異なっているのだ。だから手話通訳事業を費用給付事業にして、有料化すること自体に無理がある。

上記のように、議会や障害者関係団体も誤魔化されやすいのは支援費制度で契約の事業だった移動支援事業が地域生活支援事業にされたからだ。

本来予算が統合された地域生活支援事業は事業補助、つまり事業
そのものの費用は市町村が負担する(第92条四項)ものとなっているが、国や都道府県は予算の範囲内で補助することができる(第94条第2項、第95条第2項)となっている。
ここが個別給付の国が負担するとした義務的経費の事業との違いだ。つまり制度が違うというのはこのことを指している。

有料化するために、手話通訳事業を「契約事業」にしたのか、それとも移動支援事業に合わせたために有料化したのかわからないがどっちにせよ、意図的に行ったのは間違いない。

この構図は、今後全国で実施される懸念が大きい。

ラビット 記





難聴者向け電話器と高齢者対策

2006年11月18日 23時42分58秒 | 機器について
061118_2149~001.jpg061118_2149~002.jpg全難聴の事務所にある電話器は拡声機能付きだ。
一台はラージ社のXL-50、着信すると赤いランプがつく。音質も変えられ、音量も十分だ。アメリカのアンプリファイア社製。
http://home.s00.itscom.net/large/XL/index.html

もう一台はサンヨーのTEL E-6だ。拡声機能はあるが補聴器を必要とする難聴者にはもう少しボリュウムが必要かも知れない。「ゆっくり」というボタンがついているが、試しに聞いてみたが相手にゆっくり伝わるのではなく、自分が聞くのにゆっくり聞こえる機能らしい。再度試してみよう。

こうした難聴者が使える電話器はどのくらい社会に知られているのか。

今日会った聞えや補聴の専門家の話では我が国は難聴者が2000万人もいるという。
難聴者自身が聞えの問題を理解して、社会に必要な施策を働きかけるが、難聴者の多くが高齢者であることを考えると、まず高齢者サービス従事者や介護ケアマネージャへの啓発や支援技術の訓練が必要だと思う。
先の難聴者向け電話器や補聴器の使い方もこうした人々に理解しておいて欲しい。自ら情報を探したり、試聴するほどの行動は期待できないからだ。

ラビット 記



駅の放送と難聴者

2006年11月18日 11時52分05秒 | PHSから
061118_1111~001.jpg急いで駅のホームに駆けあがったら、発車時間は過ぎているのに人がいっぱいで、何か放送している。
時刻表の側に立っている男の人に「私は補聴器をしていて、駅の放送が良く聞こえないのですが電車かなり遅れているのですか」と聞いたら、「いや、実は私も貴方と同じように補聴器をしないといけないのですが一人では話しかけられることもないだろうと考えてしていないんですが、どうも遅れているようです。どのくらいとは言
ってないみたいです、お待ちくださいと言っているようです」と言われたので、ちょっと驚いた。

まもなく電車は来たが、どういうことか考えた。
この方の私の補聴器を指して私も着けなければいけないと言われた表情は初めて補聴器を見るというものではなく、「(自分も持っているが)貴方のように」というものだった。
「貴方のように」が「貴方が着けているのに」だとすれば、私から尋ねられたのを機会にこれからは補聴器をしてもらえると良いがフィッティングがうまくいってないだろうか。何かアドバイスが出来ないか考えしまった。

もう一つは、冗談ではなく社会には「犬も歩けば棒にあたる」くらい、難聴者がいる、これらの方への社会の働きかけはどうなっているのだと思ったことだ。

ラビット 記



NHKの生解説放送の取り組み

2006年11月18日 10時11分58秒 | 生活

二の酉の市NHKの生解説放送の取り組みを聞く機会があった。これまで解説放送と言うと、1週間前に台本を手に入れ、ト書きを参考にどの場面の何を「解説」するかの副音声用の台本を作成してから、オリジナルと副音声を録音する方法だった。従来の事前制作の字幕制作に似ている。
しかし、NHKは今年のトリノパラリンピックの競技速報と総集編で生解説放送に取り組んだ。昨年、教育テレビの「ともに生きる2005働く!」でも実施したそうだが、連続して毎日取り組んだのは初めてとのことだった。
スポーツ中継なので、解説者と実況アナウンサーがいる。その話の合間を縫って、コメントをつけるのだが、タイミングよく、「描写」と「説明」、「感性を表現」しなければならず、事前に良く情報収集の取材をするとか、放送現場担当者との打ち合わせが大事だと話されていた。
印象的だったのは、ジャーナリストとしての放送センスが求められると言われたことだった。ないことをあたかもあるかのように話さないとか、確実でないことを話さないという放送倫理性が求められると強調されていた。こうした放送倫理性があるからこそ、視聴者側は安心して見られる。

字幕放送のリスピーク方式でも、事前の取材が欠かせないと聞いている。その場の音声や情景をどのように要約して、何を伝えるかはその場で聞こえたり、見えたりしたものだけでは判断できない。
超高速入力を売り物にする字幕制作事業者も、入力と校正を同時に行うシステムを開発して、1分間400字でも入力できると「豪語」していたが、話し言葉をそのまま文字化して、情報が伝達できると考えているのは「速記」という記録の事業者だからだ。
日々、膨大な音声情報を聞いているだけに、その言葉の構文、単語を蓄積できる環境にある。それを利用して、その場のその時に伝える「文字通訳」技術を確立する考えが必要だ。

聴覚障害者や視覚障害者の放送のニーズは何か、もっと真剣に考えて取り組んで頂ければ、発展していくだろう。


要約筆記派遣事業の有料化と「団体」派遣 

2006年11月14日 09時33分07秒 | 要約筆記事業
061112_1903~001.jpg地域生活支援事業のコミュニケーション支援が始まっているが、要約筆記者の「団体派遣」を継続するとしている自治体の実施要項はあるのか、あればどうなっているのか確認したい。
東京のいくつかの区市では、手話通訳の派遣事業が有料化されているが、サービス提供事業者と利用者の契約の移動支援事業に手話通訳派遣事業が組み込まれる形だ。
契約の事業は支援費制度でスタートし、自立支援法で自立支援給付事業になっている。
移動支援事業が地域生活支援事業になって、これに合わせる形で元々は社会参加総合推進事業や社会参加促進事業で無料であったコミュニケーション支援事業が変質させられている。

この契約の事業は支援法で決まっているがコミュニケーション支援事業は決まっていない。

契約の事業というのは利用者個人と事業者との関係なので、「団体」派遣はあり得ない。実際に特定の団体に対する支援は出来ないという自治体もある。
これは、中途失聴・難聴者協会のみならず多くの聴覚障害者団体の活動に影響する。
全難聴の大阪大会の決議で「複数の難聴者等に対する要約筆記派遣を制度化してください」と掲げているのはこの理由だ。
これを乗り越えるには全ての自治体で要約筆記派遣事業を予算化させ、とにかく個人派遣を始めることだ。
「団体」の活動に参加者が個人で派遣を依頼し、派遣が集中した時は派遣元が集中投影に変更することが考えられる。
ただ、ほとんどの自治体は要約筆記派遣事業をしていないので実績がない。
法律は施行されているので実施要項があるなしに関わらず、実績策定のために今からでも市町村に派遣を依頼する必要がある。

ラビット 記



大相撲の字幕放送

2006年11月13日 23時30分58秒 | PHSから
061112_1618~001.jpgNHKの大相撲には生放送だが字幕放送が実施されている。
字幕放送では、読みにくい力士名(しこ名)は読み仮名が紹介される。
聴覚障害者は、朝青龍も「あさしょうりゅう」か「あさせいりゅう」か、アナウンスも聞こえないのでわからないからだ。

こうしたことは、前は字幕放送デコーダーを内蔵しているか、字幕アダプターに接続しないと見られない。
しかし、地上派デジタル対応テレビが普及すると聴覚障害者以外の人も字幕放送に接するようになる。
字幕放送の行われている意味、話した言葉のままではないことに理解を求めておいた方が良いだろう。 

ラビット 記



難聴の損害賠償

2006年11月08日 15時42分13秒 | 生活
PTSDの患者に医者が殴って、難聴にさせたという事件の報道があった。
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/20061108a4100.html

国立精神・神経センター国府台病院(千葉県市川市)の医師が患者の女性が難聴になるほど殴ったのが「治療の一環」とは恐れ入った。
損害賠償の請求額が890万円とはずいぶんと安いなという印象だ。どのくらいの難聴にせよ、周囲とのコミュニケーションの断絶感、社会からの疎外感は誰しも自殺を考えるほどだ。

ラビット 記


高齢者と同居する難聴者

2006年11月08日 09時59分40秒 | PHSから
061108_0654~001.jpg高齢で一人暮らしをしている母が夜間、幻聴やまだらな記憶に近隣の住民とトラブルを起こしたので、実家に泊まることを続けている。
日経新聞で認知症の高齢者は自分の記憶かが短時間しか持たないことに不安を感じているとあった。
母を見ていると、今はご飯を食べない、明日何時に起きると言っても意味がわからないのではなく、言われた事を覚えられないので、手に持っている茶碗をどうするのか分からないのだ。だから目覚まし時計を持ってくるが何時にセットするのか分からなくなってしまう。

難聴者は言われたこと自体に気が付かないか、聞こえたとしても言葉の意味が理解出来ずに立ち往生する。

今は食べないからと言いながらお茶碗をしまったり、目覚ましをセットして渡して、記憶の断絶を繋ぎ返したり、記憶を維持出来るように話したことを紙に書いて置くと良いようだ。

一人でいる時は、記憶をどう処理しているのだろうか。

ラビット 記