難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

聞こえないひとの主体性が奪われること

2009年09月27日 20時16分53秒 | PHSから
090925-081431整理術.jpg090923-184612本棚1.jpg長男が小学校に入学する手続きに手話通訳者と行った際に、受付で何か聞かれた際に手話通訳者が代わって答えてしまったので、何を聞かれたのかわからずじまいだったことがあった。

こちらは何も言わなかったので、その通訳は聞こえない人の手助けをした満足感があったかもしれない。でも、子どもは聞こえないお父さんはやっぱりだめなんだと思っただかもしれない。こちらも父親としての責任を果たせない悔しさを感じていた。

もう20年も前のことでもはっきり覚えている。結婚して以来の二間のアパートから団地に引っ越してきたばかりの時分だ。
今でも鮮明に覚えているというのは子どもの面前で手話通訳者が聞こえない人の主体性を奪われたというのが今でも悔しく感じている。

切符の購入に手間取っていたおばあさんを手助けをしてあげたら、おばあさんは喜ぶかもしれない。
でも通訳を連れたり筆談ボードをもって自分で対応しようとしている聞こえない人にその意志をそぐのは本当の「手助け」にならない。
くだんの手話通訳者は地域のボランティアだっただろう。頼むとそれ以上のことをしてくれる人は要約筆記者にもよくみかける。
しかし一緒に活動している顔見知りの要約筆記者でも派遣されている時は顔つきまで違って見える。

通訳は通訳以上のことをしないというのは一見冷たいように思うかもしれない。しかし、高齢者の介護に当たる人は安全確保、医療効果、リハビリテーションによる機能回復、病気等の予防を優先しつつもその高齢者の主体性を尊重する。これは介護従事者の専門性の一つだが介護ボランティアだから主体性を損ねても良いということにはならない。

要約筆記者が奉仕員として養成されたころにはそうしたことはきちんと指導されていなかった。日頃から人間関係が希薄だった難聴者には手助けは嬉しかったのだ。難聴者側そうしたことが整理されていなかった。手助けと自立支援が区別されていなかった。

聞こえない人はその通訳を自分のコミュニケーションツールとして主体的に使いこなすことが自立でそれを目指す必要がある。


ラビット 記




南米の地上デジタル放送は手話が見られない

2009年09月27日 20時03分48秒 | 放送・通信
南米で、地上デジタル方式に日本のISDB方式を採用する国が相次いでいる。

ブラジル、チリ、ペルー、アルゼンチンだ。これにベネズエラが加わる。
南米は最近次々とアメリカと独占資本の支配の影響力を避ける政権が誕生して、南米共同体を構成している。
地上テレビの方式が同じなら番組も提供しやすいので政治的な意図もあるのかなと推測したが。

しかし、日本の地上デジタル放送は手話放送のクローズド放送が出来ないという欠陥がある。これはテレビメーカーも認めているが放送事業者は公にはしていない。
クローズドというのは字幕放送のように必要な人だけに字幕が見られる仕組みだ。手話放送を必要な人だけ見るにはハイビジョン画質を標準に落とさなくてはならない。
受信機の規格が原因か割り当てられた電波の容量が足りないのか、二つの動画を表示する出来ない。

アメリカでは字幕放送表示回路内蔵の規格に合わせて作られた日本メーカーのテレビはどのテレビでも字幕放送が見られるが、日本では字幕表示回路は内蔵が義務化されておらずすべてのテレビで見られる訳ではなかった。これは字幕放送拡充の上で大きな壁になったという苦い経験を日本の聴覚障害者の運動は持っている。

もし、南米の地上デジタル方式は手話のクローズド放送が可能で日本は不可能な方式だったら、また字幕放送の二の舞だ。


ラビット 記
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ベネズエラ地上デジタル放送に日本方式の採用を決定 チャベス大統領090925
南米ベネズエラのチャベス大統領は導入を計画しているテレビの地上デジタル放送について 24日NHKの取材に対して日本方式の採用を決めたことを明らかにしました ...

http://www3.nhk.or.jp/news/k10015693991000.html
http://ime.nu/www3.nhk.or.jp/news/K10056939911_01.jpg




シネマのプレミアスクリーンの映画と人工内耳

2009年09月26日 17時45分30秒 | PHSから
100923-141554プレミアスクリーン.jpg100923-141709TOHOシネマズ.jpgシルバーウィーク中は、片づけと勉強で終わったが、気分転換に隣駅のシネマ(映画館)に行った。

開映ぎりぎりのを買ったら最前列で見上げるような形で見る席だった。聞こえないことを告げて字幕のある他の映画に替えてもらおうとすると字幕の入った映画がない。
やむを得ず、払い戻しを求めるとちょっと聞いてきますと事務室に入ったりなかなかしてくれない。聞こえないといってもぼそぼそ言うだけだ。
業を煮やして、翌日に替えてもらえるかというとまたぼそぼそ。えっ何ですかと聞くと今度は払い戻しが出来ないという。了承してやっと代替のチケットを得た。

イ・ビョンホン、チョン・ウソン、ソン・ガンホという韓国スターがマカロニ・ウェスタンのような活劇を演じているが、単純なアクション映画と思ったが殺戮を繰り返すだけのドラマもヒューマニティ、愛も何も感じない。
韓流スターに憧れて入ったのか大部分は女性。インターネットの映画批評で観客席がガラガラというのもさもありなん。見終わって半日殺伐とした気持ち以外は残っていない。

時間の無駄といえば無駄だが、映画の音響が人工内耳で聞くことが出来た。アクション場面中に流れるリズムのあるロックみたいな音楽が分かっただけでも良しとしないと。
プレミアスクリーンというのは初めて座ったがお尻が痛くならない映画館の椅子というのは初めて。飛行機のエコノミーとビジネスクラスのあいだ位の椅子。


ラビット 記




長妻厚労廃止発言と聴覚障害者福祉施策(追補済み)

2009年09月25日 12時51分27秒 | 福祉サービス
090919-195904長妻TVニュース.jpg090920-192957新聞記事.jpg障害者自立支援法は、聴覚障害者にとっても功罪が相半ばする法律だが、以下の点で抜本的改正を求める必要がある。

(1)コミュニケーション支援事業事業に応益負担を求める余地を残していること
根本的には、(5)の予算に限界があることが背景になっている。
さらに、コミュニケーション支援は聴覚に障害のある人だけへの支援ではないことや自立支援給付の個別給付と地域生活支援事業の制度の違いを無視したり、理解していないことが原因だ。
しかも行政側から、障害の「重さ」を理由に他の障害と比較して聴覚障害を軽視したり、障害者間の対立を招くような説明をしたことなどが各地で問題になった。

(2)コミュニケーション支援支援事業の地域格差を招いたこと。
1995年にそれまで都道府県の手話通訳者派遣事業が市町村の手話通訳派遣事業が制度化されて以降も、障害者自立支援法の成立時にも各市町村の派遣事業の格差是正をきっちりとしてこなかったため、派遣の範囲や対象が市町村でまちまちのままだ。
地域によっては、域外の派遣を認めないことや通訳者の交通費の負担などがある。これは形を変えた応益負担そのものだ。

聴覚障害者の生活や活動は制度発足時と比べて大きく拡大しているにも関わらずに、派遣制度の改善、充実をしないまま放置されてきた。

障害者自立支援法で要約筆記者派遣事業が市町村の義務になったのはよいが、手話通訳派遣事業にならって制度化されているので、これらのサービスの利用を制約する問題まで引き継がれている。

(3)通訳者の身分や資格が明確でないまま、事業が行われている。
このことは、聴覚障害者の人権を擁護すべき通訳者が身分も不安定で、低い報酬で従事している。経済不況下でパートに出る人が増え、通訳の確保にも困るようになっている。

(4)派遣事業のコーディネーターの養成と設置が明確でないこと。
手話通訳者、要約筆記者は人のコミュニケーションに関わる事業に従事し、その利用者がコミュニケーションに起因する多くの問題を抱え持っていることから、慎重に派遣する人を決定し、事前に派遣の現場の状況を把握したりする必要がある。派遣した結果からも人権に関わる問題がないか、よりよいQOLが得られるような支援を考える必要がある。
これらをになうのがコーディネーターだ。サークルや市職員が片手間にやる仕事ではない。

(5)コミュニケーション支援事業を含む地域生活支援事業が裁量的経費であること。
ニーズが増大しても国からは予算が補填されずに、全国の市町村にサービスの拡大が期待できない。
これまで実施していない地域で事業を行う場合、国からの補助金がそのままではどこかにしわ寄せがくる。
要約筆記者として十分な報酬を支払うだけでも予算が不足するのは目に見えている。

(6)「介護給付」や「訓練等給付」にコミュニケーション障害が加味されず、コミュニケーション支援が位置づけられていないこと。
聴覚障害のある人が介護給付を受ける場合に、通訳は考慮されていない。

(7)要約筆記者派遣事業が地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業となったことを個別給付の事業と混同したことから、団体派遣事業がなくなっていること。
要約筆記は、手話の分からない難聴者や中途失聴者、あるいは補聴器で聞こえる難聴者、健聴者などが一緒にコミュニケーションする場合に不可欠なコミュニケーション支援の方法だ。
しかし、コミュニケーションの支援は聞こえない人だけのためにあるのではない。その場にいる人全体のコミュニケーションを支援している。つまりコミュニケーションの「場」に対する支援という性格がある。
これは要約筆記が始まってから変わりがない。もともとコミュニケーションの場に対する支援だった。

その他、日常生活用具の給付対象となるコミュニケーション機器の数が少ないこと、補聴器等の購入補助に一部自己負担があること、補助の給付基準が障害者当事者でなく、所帯であることなど、是正すべき内容が多い。


ラビット 記
9月26日14:00
記事の説明を分かりやすいように一部変更しました。




コミュニティ支援のカウンセリング 難聴者支援

2009年09月22日 13時02分31秒 | PHSから
090806-193156.jpg090827-004543○○入り珈琲.jpg社会福祉概論、障害者福祉概論には、個人、集団、地域社会のソーシャルワーク、医学概論のテキストには、精神障害者の地域社会の中でのリハビリテーションが書いてある。

今夏出かけた先でたまたま入った本屋で「コミュニティ支援のカウンセリング―社会的心理援助の基礎」を見つけた。手持ちがなかったので購入しないで、書籍タイトルだけ撮っておいた。2000円以上もするし・・・・。

難聴者のカウンセリングの対象は何らかの問題を持っている個人でその方法としては、個人のケースワークが中心だが集団的ケースワークもあるとは考えていた。
しかし1千万人を越える難聴者問題は難聴者協会だけでは解決できないので、地域社会の中で解決するソーシャルワークが必要だ。その手法はまだ模索の段階だろう。
少なくとも当事者組織の活動の方向、意識はそうなっていない。

難聴者協会は地域啓発活動の先頭に立つには余裕がない。地域でサポートを受けられずに入会してくるので、どうしても会員同士の支え合い、当事者のエンパワメントが中心になるからだ。

しかし、膨大な難聴者に対しては精神障害者、認知症の高齢者のような地域での支援システムを構築しなければ支援のないまま放っておかれる。
難聴者は地域のそこかしこにいるので、その組織、グループ自体が難聴者を受け入れなければならない。
このことを「コミュニティ支援のカウンセリング」と言うのだろうか。


ラビット 記
焼酎のコーヒー割り(美味っ!)
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「コミュニティ支援のカウンセリング―社会的心理援助の基礎」 (マクロ・カウンセリング実践シリーズ) (単行本)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/product-description/4761008350/ref=dp_proddesc_0?ie=UTF8&n=465392&s=books
井上 孝代(著)

商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
本書は、共感的な人間関係に重点をおいた第1巻、集団や組織でのコンフリクトに焦点をあてた第2巻に引き続き、より大きな単位である地域・コミュニティ援助を解明します。伝統的な臨床心理学と発展しつつあるコミュニティ心理学との統一をめざし、個人の成長/発達と集団/組織の開発/発展と地域社会さらには地球レベルまでの発展/進歩という3つのレベルでの人間援助の諸課題を統合します。保育、障害児、子育て・母親支援、地域精神保健、職場のメンタルヘルス、HIV、などの領域で、人間のウェルネスの構築をめざします。

内容(「MARC」データベースより)
カウンセリング活動におけるコミュニティ支援の重要性を実践的に紹介。保育、障害児、子育て・母親支援、地域精神保健、職場のメンタルヘルス、HIVなどの領域で、人間のウェルネスの構築をめざす。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
井上 孝代
九州大学文学部哲学科卒業。九州大学大学院文学研究科博士課程単位満期退学(心理学専攻)。東京外国語大学留学生日本語センター教授を経て、1998年より明治学院大学心理学部教授。博士(教育心理学)。臨床心理士。2006年より四谷マクロカウンセリングセンター代表。公立学校スクールカウンセラー、社会福祉機関の心理カウンセラー・グループワーカー、家庭裁判所調停員、自治体の各種審議会委員、総務庁「第11回世界青年の船」指導官・カウンセラー等を経験。マクロ・カウンセリングを提唱。トランセンド研究会会員。専門領域:カウンセリング心理学、異文化間心理学、コミュニティ心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲
載されていたものです)




長妻厚労相の障害者自立支援法廃止発言と障害者施策

2009年09月20日 20時31分09秒 | PHSから
090919-195850廃止TV.jpg9月19日、長妻厚労大臣は、障害者自立支援法廃止を言明した。
このことは、障害者自立支援法の応益負担に反対し、障害者自立支援法の廃止を求める1万人の大集会を5年間成功させてきた障害者団体の運動の結果だ。

もとより、普通に人として生きるための支援サービスに負担を求めれば、多くの支援サービスを利用する重度の障害者ほど負担が多くなる。いかに軽減措置を取ろうとも、障害があるが故に負担を求める制度の本質的な矛盾は変わらない。
ゆえに、今も各地で障害者が障害者自立支援法の違憲訴訟を起こしている。

今後、連立与党の合意に基づき、支援法をどのようにして廃止していくのか、変わるべき法律はどのような内容を持つべきか検討される。

この時、「障害」の定義を明確にし、障害者の「自立」の考え方をしっかり確立すること、障害者当事者の意見を十分取り入れたものとすることを強く求めたい。

新しい障害者総合福祉法は各分野の障害者の権利を守る諸法と併せて、障害者権利条約の批准の基礎にもなるだろう。


ラビット 記





地上デジタル放送チューナーの字幕とデジタルテレビの字幕

2009年09月20日 19時09分07秒 | PHSから
090919-210212デジタル字幕1.jpg090919-210220アナログ+地デジtuner1.jpg地上デジタル放送チューナーは大型電気店に行っても目に付きにくいところにありディスプレイもただモック(模型)がおいてあるだけというくらい貧弱だ。

それは、売り上げを伸ばしたいメーカー、電気店にとっては当然のことかもしれないが、デジタルテレビを購入できない所帯、2台目、3台目のテレビがある所帯のためにきちんと選択肢を示すべきだ。

字幕放送が見られるかどうかが購入の鍵だが、地上デジタル放送チューナーをつけたアナログテレビはアナログテレビだけより画質も字幕もきれいに見える。

左が、地上波デジタル放送チューナーを付けたアナログテレビのデジタル放送の字幕

右が、デジタル放送の字幕放送の字幕


ラビット 記







地上デジタル放送の字幕とアナログ放送の字幕

2009年09月20日 18時50分45秒 | 放送・通信

地デジ字幕1.jpg
アナログ字幕1.jpg地上デジタル放送の全面移行を控えて、テレビでも「地デジカ」や「草薙クン」がCMの多く流れている。
しかし、CMには字幕もテロップもないので難聴者には訴求力が弱い。人口の十分の一を占める難聴者に対する配慮はないのだろうか。しかもその大多数は高齢者だ。

地上デジタル放送の受信には、デジタルテレビに買い換える、地上デジタル放送チューナーを購入する、ケーブルテレビに加入するなどの案があるが、とりあえず字幕放送が見られれば良いなら地上デジタル放送チューナーが選択肢にはいる。家の2台目、3台目のテレビはデジタルテレビに買い換える余裕がない場合、も地上デジタル放送チューナーを付ければよい。

デジタル放送とアナログ放送の字幕放送の字幕の見え方はかなり違う。

アナログ放送は10年以上も前のSONYの21型テレビ。デジタル放送は2007年製の日立の32型の字幕だ。

明らかに画質も字幕もデジタルの方が見やすい。

左がデジタルテレビのデジタル放送
右がアナログテレビのアナログ放送


ラビット 記




聴覚障害者に関わる著作権

2009年09月20日 10時50分44秒 | PHSから
090916-083317秋の朝顔.jpg2009年、著作権法は障害者の著作物アクセス拡大のために大きく改正された。

文化庁の著作権のHPには以下のような説明がある。

障害者のための著作物利用に係る権利制限の範囲の拡大
 障害者のための著作物利用について,権利制限の範囲が,次のとおり拡大されました。(第37条第3項,第37条の2関係)
 ① 障害の種類を限定せず,視覚や聴覚による表現の認識に障害のある者を対象とすること

 ② デジタル録音図書の作成,映画や放送番組の字幕の付与,手話翻訳など,障害者が必要とする幅広い方式での複製等を可能とすること
 ③ 障害者福祉に関する事業を行う者(政令で規定する予定)であれば,それらの作成を可能とすること
 ただし,著作権者又はその許諾を受けた者が,その障害者が必要とする方式の著作物を広く提供している場合には,権利制限の対象外となります。
文化庁 ホームページよりhttp://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html

しかし、聴覚障害者の映像著作物のアクセスについてはまだハードルが高い。
放送された番組の音声に対して、字幕と手話の制作とインターネット等で提供することは著作権の許諾が不要とされたが、その元になる映像の配信は認められていないとされている。

これは、放送された番組(著作物)字幕と手話を付けて配信できないということだ。これまで、緊急災害時の放送に字幕と手話を付けて配信することはリアルタイムの時だけ認められていたが、事後も可能になった。しかし、映像は送れない。

映像著作物には一般にDVDなどの記録系メディアと放送、インターネットで提供される。
聴覚障害者は今回の法改正で、聴覚により著作物の利用が困難なものとされ、対象者が大きく拡大されることとなった。
また、字幕制作事業者も福祉を対象とする事業者以外の公共図書館等にも拡大された。

これは、聴覚に支障があるものの著作物の利用を拡大するための措置だ。
しかし、肝心の著作物にアクセスする方策が非常に限定されたままなのは法改正の趣旨に反する。

著作権者は、映像著作物に字幕と手話の入ったものが2次利用されて、著作権者の利益が損なわれることを危惧しているのだろうか。私的利用以外に利用することは現行著作権法でも禁じられているのに、聴覚障害者に対する二重の法的規制が必要なのか。

放送と同時にマルチキャスト放送、IP放送が出来るように法改正され、著作権者の所在が分からない場合でも著作権を預かるようにまでされているが、著作物にアクセスすることが出来ない人々の権利はどうなるのか。


ラビット 記




著作権セミナー(2008年11月26日)報告書 DINFへの掲載のお知らせ

2009年09月20日 09時09分41秒 | PHSから
090916-082857彼岸花.jpg日本障害者リハビリテーション協会が昨年11月26日に開催した「著作権セミナー」の報告書をDINFに掲載した。

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/081126seminar/index.html

聴覚障害者の著作権問題は、著作権法の改正に、障害者放送協議会著作権委員会が大きな役割を果たした。

国連の障害者権利条約の政府署名も受けて、幅広い改正が行われた。
聴覚障害者関係では、著作権法第37条と同第2項が改正された。
(1)法の対象とする聴覚障害者を、聴覚により著作物の利用な困難な人として、身体障害者福祉法の聴覚障害者より幅広く対象にした。

(2)字幕制作事業者を社会福祉法人やNPO法人に限らず、公共図書館も含めて幅広く設定している。

(3)聴覚障害者の利用に適した方法として、音声の文字化以外に、手話も付加出来るようになった。

(4)これまで放送された音声のリアルタイムの字幕制作だけでなく、DVDなどの著作物の字幕制作も許諾が不要となる。

(5)著作物の字幕データ、手話データをインターネットで聴覚障害者に配信することが認められた。

しかし、問題もある。
(1)字幕も手話も元の映像著作物と一緒にインターネットで配信することが認められていないこと。

(2)字幕制作事業者に著作物の補償金が求められること。
などだ。

全難聴など聴覚障害者関係団体は、文化庁著作権課と協議をしている。


ラビット 記




ドナ・ソーキンさんの人工内耳リハビリテーションの講演会は圧巻

2009年09月17日 19時37分11秒 | 人工内耳
090913-155151DS&JO.jpg9月13日日曜日、全難聴主催で、ドナ・ソーキンさん(アメリカ・コクレア副社長)の人工内耳の成人装用者のリハビリテーションについての講演会が行われた。

昨年のカナダの国際難聴者会議で彼女が報告した内容を日本の装用者向けにアップデートしたもので、期待以上の内容だった。

子どものリハビリテーションとの違い、大人は自らトレーニングしなければならないこと、コミュニケーションに対する心構えから、いろいろなトレーニングの方法とその効果など説得力のあるものだった。
聴覚の訓練をする際には視覚に頼らない方法、環境で行うことも大切だ。
どういう音か教えてもらうことも有効とか、自分の体験からもうなづけることも多かった。

講演会の後の質疑応答では、人工内耳の手術をして間もない人だけではなく、長く使っている人でも継続して聞く訓練をする重要性を強調していた。


今回の講演会の目的は、人工内耳の初歩的な説明は各地の人工内耳相談会や入門講座にゆだねることとし、成人のリハビリテーションにフォーカスを当てることと、人工内耳装用者と医療関係者に成人にもリハの重要性と可能性を認識してもらうことだと聞いた。

いずれ、資料が全難聴のWebに公開されるだろう。


ラビット 記




人工内耳のマッピング変更

2009年09月17日 12時58分30秒 | 人工内耳
090916-212913.jpg昨日も夕方から、マッピングに行った。

この1ヶ月の変化と言えば、人工内耳の聞こえは向上し、補聴器側の聞こえは相対的にも絶対的にも低下しているということか。

人工内耳だけで言葉の聞こえる幅が広がってきた。テレビのアナウンサーやドキュメンタリーのナレーターの言葉は字幕なしでも聞き取れるようになったが、職場での会話も時々聞こえるようになってきた。

人工内耳と補聴器の併用は、両方の調整のバランス、モードの選択が良いとかなり聞こえることを体験している。
この「聞こえる」というのは、言葉が分かると言うだけでなく、声の調子や抑揚、息遣い、言葉の間、息継ぎがリアルに聞こえるので、気持ち、意図が分かるということだ。
上司が怒っているような言葉を言ってもそれは「怒り」ではなく「苛立ち」であることが分かる。表情や言葉だけで判断すると怒っているように感じてしまう。それは話すだけで通じる世界にいる人が言葉ですぐに通じないことの苛立ち、もどかしさだ。

人工内耳を使った電話は、天気予報のような同じ声を何度も聞いていると日々聞こえるようになるので驚く。

電話をもっと聞こえるように、P3の設定をADROだけに
変更した。人の声を強調する機能だ。周囲が静かな場合は良く聞こえる。
P4がMusicの設定。


ラビット 記
BTEコントローラーのケースは保証期間内とのことで交換してもらえた。







フリーダムのケースが割れた。

2009年09月08日 21時18分58秒 | 人工内耳
200998211819.jpg人工内耳のBTE(耳かけ式)コントローラーの電池ケースを入れるところが割れてしまった。

これでは、汗や雨に濡れたら水が染みてしまう。
最近、電池を交換したばかりなのに、聞こえなくてしばらくすると詰まっていた耳がスポンと聞こえるように聞こえることが多かったがこのせいだ。

これは交換になってしまうのか。BTEコントローラーは確か6万5千円くらいだったからこれは痛い出費だ。

とりあえずは、乾電池式のリモートコントローラーにしよう。


ラビット 記
車内で。






難聴者も「走行音」が聞こえない!

2009年09月08日 20時50分50秒 | 生活
090908-204111.jpgハイブリッド車は、走行音が静かなために歩行者が接近に気が付かずに事故につながるおそれがあることから、トヨタ自動車と富士通テンが警報システムの開発を始めるという。

走行音が聞こえなければ事故になる恐れを自動車メーカーが自認したということだ。聞こえないためにひやりとしたことは、難聴者はだれしも身に染みている。実際に死亡した例もある。

自動車メーカーは、ハイブリッド車だけではなく、普通の自動車が接近した場合も警報を発する仕組みを開発すべきだ。

難聴者は1300万人にも上るのだ。それに、聞こえる人も環境によって「難聴」になることを忘れないでもらいたいものだ。


ラビット 記






難聴者の聞こえない社会の音 せせらぎの音

2009年09月06日 17時23分30秒 | PHSから
090906-165256.jpg090906-165928.jpg郵便を入れたついでに、近所に散歩に出てみた。

開発されてもう20年近くになる郊外団地の一角に「せせらぎ緑道」が設計されている。人工の小川に湧水が流れている。

小さな段差を落ちる水の音がピチャピチャと聞こえる。童謡ではサラサラだがそうは聞こえない。

正月に行った地元の古い神社に行く。

区画整理記念碑を見ると、昭和38年新住宅市街地開発法が施行されてから整備されてきたということが書いてある。団地の造成が始まるのが昭和45年からということが分かった。高度成長に合わせて地方の労働力を受け入れるインフラだったのだ。

敷地内の枯れ葉を踏む音が、クシャクシャと聞こえる。自然界の音は高い周波数成分を含んでいるがそれが何か分かるようになってきた。

今までは、チチ、ジジ、ピピというような音で聞こえていたのが、それぞれの記憶に残っている音になって聞こえるようになったようだ。

蝉の音の時もそうだが、聞こえている音が視覚的に理解したり、教えてもらうことで何の音か分かると、それが脳の記憶として保存されるようだ。
そういえばさっきは暗いところで回っている洗濯機の音が聞こえても何か分からなかったが電気をつけてみて洗濯機の音だということが分かった。

物音を聞く、見るというのも重要なリハビリテーション方法かもしれない。


ラビット 記