難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴者の矜持、プライド

2009年01月29日 09時01分42秒 | 権利
090128-084406.jpg難聴者は、聞こえることにもっと自信とプライドを持つべきだ。

その聞こえることは、誰しもがもっと伸ばす力を持っている。ただ、そのことを難聴者自身に知らされておらず、そうした環境がないだけだ。ましてや権利であることも自覚されていない。

難聴は、言葉のコミュニケーションが困難になる障害だ。
時と状況に応じて非常に困難な場合も生じる。
このことが、難聴者は自分の思考、心理、行動にどう影響しているのか、周囲との関係がどうなっているのか、客観的に理解しにくい。

なぜか。
一つには、難聴という状態が非常にめまぐるしく変容していること、それに伴い「障害」の状況も変わることにある。
心身状況、環境、相手の姿勢などに影響され、聞こえが変化する。電車など交通機関を利用しているときは聞こえにくい、音響効果の悪い体育館、普通の人には音響効果の良い音楽ホールも聞きにくい。

もう一つは、難聴が聞こえの障害と思われていることだ。聴覚障害は、聴覚という機能に障害がある用に思われるが、実は「音情報処理障害」や「聴覚情報認知障害」と言うべきものだ。

聞こえた音や音声が脳で理解するときに困難になっている。この脳で理解することを「聞こえ」という必要があるが、一般の理解は物理的に聞こえるというものだ。

難聴者や中途失聴者が、補聴器、人工内耳で言葉を脳で理解することは、訓練が必要だ。これを「聴覚補償」という。いわば、脳を鍛えることだ。

聴覚補償を、制度として求めるには理解がもっと必要だ。

余談だが、難聴者は聞こえる言葉をすべて文字化すれば理解できると思っている人が多いが、脳の「理解」と言う観点からは、聞いて理解することと読んで理解することでは理解度が大きく異なる。
情報保障の本質に関わる問題だ。


ラビット 記





難聴者の社会福祉学習 「社会教育概論」第5回

2009年01月26日 19時12分34秒 | 社会福祉の学習
Ⅲ.1985年3月にパリで開かれたユネスコ第4回国際成人教育会議において、宣言された「学習権宣言」について、①内容、②意義、③感想を述べなさい。

①内容 学習権は一部の恵まれた条件、特権的な人だけではなく、すべてのものに保障されるべきであることを謳った。

②学習権は、人類の生存に不可欠なもので(これなくしては)人間的発展、経済の発展もない、基本的人権として位置づけた。

③2006年12月に採択された国連障害者権利条約は障害者の基本的人権は障害を持たない人と同等であることを宣言しており、学習権も含まれる
ことを確認した。

Ⅳ.「社会教育概論」を学習して、これからの自分の仕事や活動や生活にどう活かしていくかを述べなさい。

「コミュニティ・ワーカーとして、社会教育の重要性を学んだので、学習の意義を地域に啓発したい。
特に、難聴当事者として幼児からの失聴により学校教育においても十分な教育が受けられず、社会との適応力、セルフエスティーム(自尊感情)の確立も不十分であることを自覚している。
障害者も、福祉、生涯学習の両面から学習権の保障を求めていきたい。
一つは情報保障、一つは難聴者として成長する学習の場の確立。これは母親学級のような難聴者学級(大学)をイメージしている。


ラビット記


オバマ大統領就任演説 障害者施策は?

2009年01月22日 00時39分02秒 | 生活
090121-053345obama.jpg090121-053426obama.jpgオバマ米国大統領就任演説は、朝になってニュースで見た。

オバマ大統領は、アメリカの危機を打開するために国民に打開のための団結を訴えているが、奇妙なことにその危機は誰がもたらしたのか、どうやってもたらされたのかが曖昧なままだ。

イラクとアフガンの戦争は誰が起こしたのか、その戦争の利益はなにを狙ったものだったのか。
アメリカの戦争は常に「自由」や「民主主義」を掲げて始まるが、それは隠れ蓑で戦争により巨利を得る企業が見え隠れする。

障害者施策がどうなるのか、公約どおり、障害者権利条約の署名をするのか、条約を批准するのか、真の責任が明らかにされない米国で、合理的配慮が障害を持つ人の自己責任にされないのか。


http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081107-5171446/fe_090121_01_01.htm


ラビット 記




感音難聴が糖尿病の合併症の一病態

2009年01月20日 18時24分47秒 | 生活
090119-193725.jpg最近,目についたのが,難聴になるファクターが騒音と糖尿病であるという記事だ。

高齢者が,難聴になるのは人体の高齢化のため,聴覚に関わる神経や鼓膜,三半規管,有毛細胞などの外耳、中耳、内耳の各器官の衰えが聴覚の機能低下と思っていたが,そうではないということのようだ。

糖尿病患者は予備軍も含めて数千万人おり,高齢者数とそう変わりなく、それはそれで大きな問題だ。

それに、携帯音楽プレーヤーを聞く人は若者に限らず多い。これはあと数年もすれば,騒音の被爆による難聴者が大きな社会問題になるだろう。


ラビット 記
------------------------------
「最新の大規模疫学研究からこの問題へのひとつの解が示されつつある。つまり高齢者の難聴と相関の高いファクターが騒音曝露と頸動脈内膜中膜肥厚の2つであることが明らかにされたのである。」
http://1133project.iza.ne.jp/blog/entry/869118/

「糖尿病がある人は会話で使う4レンジの周波数(500、1,000、2,000、4,000Hz.)のテストで、健常者の2倍の人が成績が悪かったのです。
研究は2人の女性科学者が行いました。世界最大の医学研究所NIH(米国立保健研究所)の一部門ですから多いに注目されます。」
http://allabout.co.jp/health/diabetes/closeup/CU20070926A/





日本の難聴者人口2000万人という報告書

2009年01月20日 00時26分52秒 | 生活
090111-214252DREAM.jpg日本補聴器工業会のホームページに、補聴器人口の推定数が掲載されていた。


ラビット 記
-----------------------
国内での補聴器普及の現状

日本国内ではいまだ、補聴器の潜在ユーザー(難聴者)のうち、補聴器の所有者割合はわずか24.1%に過ぎません。これは、難聴者の4人に1人しか補聴器を使用していないことを表します。

「補聴器供給システムの在り方に関する研究」2年次報告書より。
(調査期間:2003-2-20~2003-3-10)

    補聴器ユーザー&潜在ユーザー(千人) 人口(千人) 人口比
---------------------------------------------
自覚のない補聴器潜在ユーザー数   9,070   125,950   7.2%
自覚のある補聴器潜在ユーザー数   5,690   125,950    4.5%
殆ど使用しない補聴器所有者数     1,290   125,950   1.0%
常時、または随時使用補聴器所有者数 3,390   125,950   2.7%
------------------------------------------------------
合計              19,440  125,950  15.4%

http://www.hochouki.com/academy/news/program/index.html







難聴問題に関する番組放送(予定)のお知らせ

2009年01月19日 19時26分08秒 | 補聴器
090119-083638.jpg090119-083629.jpg日本補聴器販売店協会から、2008年12月6日開催の難聴問題啓発のシンポジウムの模様がNHK教育テレビで放送されると案内があった。

難聴は、自覚していない難聴者を含めて2千万人もいるのに、社会にまだまだ知られていない障害だ。

その問題は、医療面からの聞こえのケア、補聴器選定と装用の問題
、周囲とのコミュニケーション、社会の支援サービスなど取り上げるべき問題は幅広い。
30分のテレビ番組にしたら、20回は内容があるだろう。多くの人が関心を持っているので、視聴率も高い?!


ラビット 記
----------------------------
「あなたの聞こえは大丈夫?~難聴の早期発見と対処を考える~」

放送予定日時 : 平成21年2月1日(日) 18:00~19:00
放送局 : NHK教育テレビ
番組名 : 日曜フォーラム

パネリスト
○小川 郁 慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
○宮永好章 日本補聴器技能者協会理事長
○水野映子 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室副主任研究員
○松崎しげる 歌手
コーディネーター
○好本 恵 アナウンサー、十文字学園女子大学客員教授





JDFの障害者差別禁止法制定の要望書(2)

2009年01月19日 12時12分10秒 | 権利
日本障害フォーラムJDFは、内閣府、厚生労働省、文部科学省、法務省など各省庁と、障害者権利条約の批准に伴い国内法整備について、協議を重ねている。

この要望書についても、各団体の意見は様々であり、その一致点を少しずつ、積み上げている段階だ。

要望書の内容は、他の障害者、一般市民に分かりにくものがある。

障害者権利条約は「手話を言語である」とは記述していない。言語とは、音声言語と手話、その他の形態の非音声言語等を言うと、並列に表記した。手話が言語である証明を記述した訳ではない。

手話が言語であると法律に明記するというのは具体的にどういうことか、日本語は音声言語と手話であるというようなことを障害者基本法とかどの法律に記述するのか。手話を公用語とすると記述するのか。

放送法に手話放送の定義もない。放送事業者に手話放送を実施させるために、上記の記述が先に必要なのか、技術的基盤整備、人材確保が先か。

同じように、難聴者に音声言語でコミュニケーションする権利をどう記述させるかと言う問題にもなる。

ラビット 記

---------------------------------
(続き)
(6)手話を言語として法的認知

“障害者権利条約”は手話を言語として定義しました。これは国内法においても、適切に明記すべきです。

 手話は、聴覚に障害のある人にとって死活に関わるコミュニケーション手段であるのみならず、成長に伴って自然に習得される自然言語として言語発達面でも重要であり、また思考の道具として、さらに人格形成の手段としても極めて重要です。

 しかし、日本ではいまだに手話が言語として法的認知を受けていないために、教育や社会的活動の様々な場面においても手話の使用が制限され、言語、思考、人格形成における手話の活用において大きな制約を受けています。それゆえ、障害差別禁止法においては、手話を言語として認知し、教育や社会活動の様々な場面において手話を使用する権利を認める必要があります。

(7)コミュニケーション保障の明文化

 音声によるコミュニケーションに障害のある人たちのコミュニケーション方法は、手話、指文字、点字、触手話、指点字、筆記、手のひら書き、身振り、物のサイン等のさまざまなコミュニケーション手段があります。どの手段を使うか、また、どの手段の支援を受けるかの選択権は当事者にあります。これらを権利として保障することを明文化すべきです。

漢字や難しい言葉づかいのわかりやすい表現など、障害のある当事者が理解しやすい表現を利用できることも、重要なコミュニケーション保障です。

(8)地域社会での自立生活の権利

 これまで障害を理由に、多くの障害者が施設や病院という管理された集団生活を余儀なくされてきました。これは、専門的な支援が必要とされるからだ、との理由で行われてきましたが、実は地域社会で支援を受けながら生活できる社会資源や制度が整備されていなかったからに他なりません。本人の意思のないところで強いられる集団生活は、障害に基づく差別と捉え、地域社会での自立生活の権利の明文化が求められます。

(9)教育

障害者権利条約では「障害のある人が障害を理由として一般教育制度から排除されないこと、及び障害のある子どもが障害を理由として無償のかつ義務的な初等教育又は中等教育から排除されないこと。」(川島聡=長瀬修仮訳(2008年5月30日付))と示されています。障害を理由に不利益な扱いをすることは差別であるという認識に立ち、基本的にはすべての学校で障害のある学生(子ども)が学べるように、抜本的な教育条件整備を早急に進めていくことが重要で、その視点に立ち、学校を選択する権利については本人にあることを明確にすべきです。

手話通訳、要約筆記、点訳等による情報保障や、介助サービス、校舎のユニバーサルデザイン化などの支援サービスによって、初等および中等、高等教育、またあらゆる段階の教育を通して、他の学生(子ども)と平等に学べる体制をつくるべきです。それらを含む多様で多くの手立ては、合理的配慮の視点をあわせもち、一人ひとりのニーズに即した内容であることが重要であり、障害のある学生(子ども)にとっては権利なのです。

一人ひとりの学生(子ども)は、そのニーズに即したもっとも適切な環境と支援、方法による教育を受ける権利があります。特に、盲、ろう、および盲ろうの子どもは、盲学校やろう学校で、もっとも適切な言語ならびにコミュニケーション方法を用い、かつ、学業面および社会性の発達を求める権利が認められるべきです。

(10)雇用就業

 多くの課題が未解決の中、障害者差別禁止法(仮称)においては、特に障害のある人の労働者としての権利を確立していくために、労働における合理的配慮の義務を国・自治体・事業所に課していく必要性があります。

(11)強制医療の禁止

 未だに多くの精神に障害のある人が、本人の同意なしで医療を受けさせられている実態があります。基本的には医療は同意に基づく営みでなければならず、歴史的文脈から捉えていくとき、強制医療の禁止を障害者差別禁止法(仮称)において明文化させることが求められています。

(12)成年後見制度の見直し

 判断能力に支障のある人への権利擁護制度として成年後見制度があります。財産権の保持など、権利擁護の一定の役割を果たしていますが、自己決定権の制限や、そして何よりも選挙権が剥奪されるなどの、人権上大きな問題が存在します。障害者差別禁止法(仮称)の立法化にあたっては、同時に成年後見制度の見直しが求められます。

以上

日本障害フォーラム 構成団体
(福)日本身体障害者団体連合会    (福)日本盲人会連合
(財)全日本ろうあ連盟     日本障害者協議会
(特)DPI日本会議    (福)全日本手をつなぐ育成会
(社)全国脊髄損傷者連合会    (福)全国社会福祉協議会
(財)日本障害者リハビリテーション協会     全国「精神病」者集団
(福)全国盲ろう者協会    (社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

問い合わせ先 事務局 原田
162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
TEL: 03-5292-7628 FAX: 03-5292-7630


JDFの障害者差別禁止法制定の要望書(1)

2009年01月19日 00時00分59秒 | 権利
日本障害フォーラムが、昨年末に障害者施策推進本部長宛に出した「障害者差別禁止法(仮称)の制定について」を衆議院厚生労働委員と主要政党政調会長宛に要望書を出した。

JDFのwebにはまだ掲載されていないので、分割して紹介する。
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/


ラビット 記
---------------------
2008年1月14日

衆議院厚生労働委員 各位
日本障害フォーラム(JDF)
代表  小川 榮一 
(公印略)

障害者差別禁止法(仮称)の制定について

貴殿におかれましては、日頃より障害のある人の人権確立にご尽力されていることに心より敬意を表します。
さて、国連の障害者権利条約は、今年5月に発効しましたが、日本政府はまだ批准に至っていません。私たちはこれを批准するための条件として、国内関係法の整備と、障害者の権利を具体的に担保できる裁判規範性をもつ「障害者差別禁止法(仮称)」の制定が不可欠であると認識しています。
政府は現行の障害者基本法を改正することで充分であるという立場をとっているようですが、裁判規範性がなく、権利侵害等に対し具体的な救済策がありません。私たちは障害者の差別禁止・権利擁護を具体化するには、別立ての法制が絶対に必要であるという認識に立ちます。
 この法の制定に際して、必要最小限の基本的な視点を下記の事項に掲げましたが、これ以外にも、人権に関わる障害問題が多面的・複合的に存在していることは言うまでもなく、この法だけで、障害のある人の差別問題が全面解決されるわけではありません。
 しかしこれらの完全な解決を図っていくには、「障害者差別禁止法(仮称)」が一日も早く制定されることによって、その糸口が開かれていくものと確信します。




1.障害者差別禁止法(仮称)の制定を早急に行うこと
 以下にその法に盛り込まれるべき重要な視点、要素を述べます。

(1)裁判規範性
2004年、障害者基本法が改正され、第3条3項に「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」という条文などが加わりましたが、具体的な救済規定がありません。したがって、差別を受けた場合あるいは権利侵害を被った場合、被害者が訴訟を可能とさせる、あるいは訴訟にいかない前の段階で、具体的な救済を受けることを可能とさせる、法制度の整備が必要です。
 差別や人権侵害に多くの障害のある人が見舞われ、泣き寝入りをさせられているという現状認識から、裁判所による是正命令を認めるなど裁判規範性のある差別禁止規定が組み込まれた法の制定が重要です。
 尚、この法における救済は、司法によるものと、救済機関の設置による簡易なものと、2つの方法によるものとすることが重要です。
 
(2)救済機関の設置
 差別を被ったり、権利侵害を受けた人が、訴訟で争えるようにしていくのが、障害者差別禁止法(仮称)の重要な役割の一つですが、日本においては、訴訟に持ち込んだ場合、多くの手間と時間、そして経済力が必要とされます。現在、人権擁護委員会が法務省の管轄で設置されていますが、障害者差別禁止法(仮称)における救済を目的とする委員会を、政府から独立した機関として設置し、権利救済の機能と役割を高めていくことが重要です。

(3)差別の定義と障害に基づく差別の禁止
障害のある人の権利を保障するという視点に立つ法制度の確立をめざす上で、「差別とは何か」を定義していくことは、この立法の基本となすところです。一般的に流布されている差別の概念(「障害」を特定して権利を侵害する直接差別)のみならず、間接的差別(「障害」を名指ししていない中立的な規定等によって「形式的平等」を装いながらも、障害のある人が結果として不利益をこうむることも差別の定義に含まれなければなりません。その場合の規定の目的や正当性が証明できない場合、例えば、就労分野における職員等の募集要件において「自力通勤」を要件とする場合、「障害」を名指しはしていないが、介助等の必要な障害のある人は不利益をこうむることになります。この場合の「自力通勤」要件の正当性が証明されない場合に間接差別に該当する)をも、その定義の中に入れる必要があります。
 また、家族に障害のある人がいるからとの理由で不利益な取り扱いを受けることや、過去に障害を持っていたという理由で差別を受けた場合についても、この法の救済対象としていくことが求められます。

(4)障害の定義
 基本的には身体的(広義の)特徴や個性によって被っている社会的不利益という社会モデルとしての障害の定義が求められます。現在の法体系においては、障害と認められない狭間の障害と呼ばれる人が多数存在します。これらの障害をすべて包括しうることが障害者差別禁止法(仮称)には必要です。
 一方、裁判規範性のある法制度という観点からは、立証可能な定義でなくてはなりません。
 具体的には、以下の通り提案いたします。

1)この法律の適用上、障害とは、心身の状態が、疾病、変調、傷害その他の事情に伴い、その時々の社会的環境において求められる能力又は機能に達しないことにより、個人が日常生活又は社会生活において制限を受ける状態をいうものとする。
2)過去においてそのような状態にあったこと、及び障害があるとみなされることも含めるものとする。
 
(5)合理的配慮
 この障害者差別禁止法(仮称)の立法化にあたって重要な鍵となるのは、合理的配慮という概念の導入です。雇用や教育の場など、社会参加という場面で、政府や、自治体、事業体に求められるのは、障害のある人への合理的配慮です。他の市民との平等を保障するために、配慮(環境や体制の整備といったもの)していくことが、障害者権利条約において求められています。前述した通り、合理的配慮がなされないことも、障害者差別禁止法(仮称)において、差別と認定されなければなりません。
(続く)


難聴者の社会福祉学習 家政学概論第5回

2009年01月18日 04時33分07秒 | 社会福祉の学習
081129-103640.jpg家政学概論の最後のレポートは、住まい、住生活環境に関する内容だったが、バリアフリーについて、質問された。

1.高齢者や障害者は、生活環境の影響をもっとも受けやすく、住み慣れた地域での在宅生活を支えるには「バリアフリー」という概念が求められます。「バリアフリー」とはどのような考えなのか、具体的に説明しなさい。

「障害を持つ人が生活していく上で、障壁(バリアー)となるものを取り除き、自由に社会参加できるようにする考え。障害は機能障害を持つ人にあるのではなく、社会の理解(意識)と環境にあるとする考えは国連障害者権利条約に明記された。」

※具体的なに説明せよとあるので、街の中のエレベーターやスロープ、手すりなどの設置例や交通機関の電光表示について述べれば良いのか、考えを具体的に説明するかで迷った。下記の設問が具体例を挙げることを求めているので、「障害」の定義をしめした。

2.バリアフリーの視点からあなたの住む町を見直し、良いところ、改善が必要なところを述べなさい。
1)良いところ
団地にエレベーターと手すり、スロープが設置され、私鉄駅舎にもエレベーターが設置されている。スーパー店内も車いすの通れる通路、トイレがある。駅入り口に、筆談用具と電光表示板がある。

2)聞こえに関するバリアフリーの取り組みが遅れている。私鉄駅にホームに電光掲示板がなく、アナウンスが分からない。エレベータに外と連絡する通話装置がない。団地は密室となり、警報が室内で聞こえない。

※聞こえのバリアフリーについては具体的に述べることが出来た。難聴者用電話の設置や補聴設備についてまで各スペースがなかった。

【フィードバック】
Ⅲの1の設問はバリアフリーを具体的に述べよとあったが、書かなかった。代わりに「障害」となるのは障害者の機能の障害ではなく、社会の意識と環境との相互作用の結果生じるものとした。これは、車いすを使っていても、エレベーターやスロープ、リフト付きバスなどによって、移動の障害はなくなるということだ。
住宅に身体技法のケアを適用する際に、家事労働、衣食をするための移動の保障が重視されているが、情報化社会の中でコミュニケーションがもっと重視され、「良く聞こえる」住環境の整備も考えねばならない。

【講評】
大変よく学習されています。問題意識を持って、取り組まれましたね。バリアフリー化の第一歩は、人と人の綱在り方を考えていくことなのかもしれませんね。ともに生きていくために出来ることを考えていきたいものです。学びをこれからの力にしていただきたいです。

※家政学概論の学習は、衣食住と学習してきたが、「住生活基本法」と言うものがあることを知って、驚いた。しかし、住宅供給は国ではなく、地方公共団体、民間ディベロッパー、消費者が主体となることがポイントとあって、国の責任が住宅施策でも後退していることが分かった。

聴覚障害者、高齢者の住生活も災害時や地域の文化行事にせよ、地域生活支援の基盤のなので、十分考慮しなくてはならない。


ラビット記





難聴者の社会福祉学習 コミュニティ論第5回

2009年01月17日 22時43分34秒 | 社会福祉の学習
090114-050551.jpg090114-050952麺.jpgⅠー3.都市再生においても、またコミュニティ・プランを考える上でも地域の「財」の見直しが重要です。ああたの居住地域の「財」は何か、それを選んだ理由も含め具体的に述べなさい。

「居住地は千人同心や多摩御陵、高尾山のような古い歴史と自然のある一方で、郊外型都市としてニュータウンの発祥地でもあり、多くの学園の集中する学園都市でもある。団地の空洞化を防ぐために学生や自然、歴史を好む人を結集するリングが構築出来る。」

Ⅱ.柔らかなコミュニティ活動を担う「人と組織」について、以下の問いに答えなさい。
1.新しいコミュニティリーダー像に関する説明文を読み、(  )に適切な語句を記入しなさい。

1960年代のリーダーは「活動家型」に特色があったが、新しく期待される一つの典型は、調整型、(コーディネーター)型と言えるものである。柔らかな組織、人々の自由なつながりを作る能力がある「コミュニティ・(オルガナイザー)」とも呼べる存在である。
彼(女)らは行政との関係においても、(対抗敵)相補性ともいうべき、相互に入り組む柔軟な対応姿勢を示している。

2.次期コミュニティ・リーダーを担う第一次ベビーブーム世代においては、リーダーとフォロワーの関係が相互交代的であるという特徴が見られます。この相互交代的ということはどういうことか説明しなさい。

「人生の一コマにおいて、コミュニティ活動のリーダーとしての自覚と役割を果たすが別の場面では協助者の役割を果たすこと、切り替えがスムーズ」

3.Ⅰー3で述べたあなたの地域の財を活かして、あるいはあなたの得意分野を活かして、まちづくりに関するグループを立ち上げると仮定します。リーダーはあなたです。グループ名称を始め、具体的な活動内容や運営方針などを自由に決めて記述しなさい。

グループ名称:「自然と学園の連帯ネットワーク」
活動内容:「賃貸公団の空室を解消するために若い学生や定年退職者が住みやすいような保障や共同生活者募集と地域活動紹介活動を展開する。


【フィードバック】
自身は難聴者組織のリーダーであるが、これまでは地域の難聴者を「発掘」して、会員として迎えることが「支援」と考えていたが、今はコミュニティの中に難聴者が存在していて、その人たちがコミュニティの中で自然に生活し、共生を実感出来るような支援があるべき姿と考えるようになった。
その時、コミュニティがどう形成されて、誰によって担われているのかを本論の学習を通じて学べたことが大きな成果でした。

ラビット 記
写真は、中華丼の素をゆでる鍋に麺もゆでて作成した。




アメリカの手話2題

2009年01月12日 12時47分19秒 | 生活
最初のは、手話の文化というのか、大学の手話クラスのコマーシャル・プロジェクトの作品らしい。


ラビット 記
--------------------------------
PC対Macのアメリカ手話のCM
PCはマイクロソフトのウィンドウズ。Macはアップル社のマッキントッシュコンピューター。
画面では左のなにげにビル・ゲー◯氏に似たネクタイをしたまじめで堅物そうな男がPCを、少し太り気味のカジュアルな服装をしたMacを、ASLを学んでいる学生たちが演じている。
時々フリーズするPCが面白い。やせた方がXPにスイッチバックしたと言うのは、マイクロソフト社のvistaの動作が思わしくないためOSのダウングレードで、PCからMacにスイッチ(乗り換え)を進めているアップル社のCMをもじったものだ。

<object width="320" height="265"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/IPcsyiEj-Vw&amp;hl=en&amp;fs=1"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/IPcsyiEj-Vw&amp;hl=en&amp;fs=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="320" height="265"></embed></object>

--------------------------------
手話のコマーシャル

一夜をともにしたらしいカップルが目覚めて、手話で会話している。
よく眠れた?良い夢を見たわ。今日はどうしよう?映画が良いわ。それは良い考えだ。シャワーを先に行って良いよ。あなたこそ先に。
その後、二人はケンカになってしまうが、なぜかは最後に出てくる商品がヒント。

<object width="320" height="265"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/yeAhnagJdcA&amp;hl=en&amp;fs=1"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/yeAhnagJdcA&amp;hl=en&amp;fs=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="320" height="265"></embed></object>


人工内耳をしていてもろうと手話コミュニティにいるんだ

2009年01月12日 11時34分50秒 | 生活
ユーチューブで見つけた動画。

アメリカには、デフコミュニティに所属することとアメリカ手話ASLを使うことが人工内耳の利用することとを対立的にとらえていないろう者もいることが分かる。


ラビット 記
ーーーーーーーーーーーーーーー
<object width="320" height="265"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/sVLICqNwCEk&amp;hl=en&amp;fs=1"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/sVLICqNwCEk&amp;hl=en&amp;fs=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="320" height="265"></embed></object>

-----------------------------



障害者基本法改正に関する課長会議資料

2009年01月12日 11時12分52秒 | 福祉サービス
090111-184128.jpg090111-184224.jpg内閣府のホームページに、
「障害者施策推進課長会議における障害者施策の在り方に係る検討について」
が公開された。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kacho_hearing/index.html

 これは「障害者施策推進課長会議においては、障害者基本法の一部を改正する法律(平成16年法律第80号)附則第3条の検討規定を踏まえ、障害者に関する施策の在り方について検討を行い、以下のとおりその結果を取りまとめ」たもの。

障害者施策の在り方についての検討結果について(本文)
1.障害者基本法の実施状況等
2.障害者施策における課題と対応
3.障害者権利条約の締結に際し必要と考えられる障害者基本法の改正事項
の項目でまとめられている。

日本障害フォーラムJDFが、権利条約との関連箇所をまとめたものがある。

課題について

○障害の見直しは明文規定になったのか。

○障害者基本法に罰則などを盛り込んだ実定法に出来るのか、差別禁止法を制定する必要があるだろう。

○中央障害者施策推進協議会にモニタリング機関の役割が担えるのか。その独立性、委員構成、予算など検討する必要がある。
資料提出の協力要請が出来るものとするなんて鼻から権限がないことを露呈している。


ラビット 記
-----------------------
障害者施策の在り方についての検討結果について

平成20年12月26日
障害者施策推進課長会議

平成16 年6月に障害者基本法の一部を改正する法律(平成16 年法律第80号)が公布され、同法附則第3条においては、「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況、障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等を勘案し、障害者に関する施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と規定されたところである。

平成21年6月には、上記改正後5年となることから、障害者施策推進本部の下に設置された当会議においては、本年6月から、この規定を踏まえ、これまでの障害者施策が障害者基本法の趣旨及び規定どおりに実施されてきたか。
特に、障害者基本計画(平成14 年12 月24 日閣議決定)及び重点施策実施5か年計画(平成14 年12 月24日障害者施策推進本部決定)に基づく施策は計画どおり実施されてきたか。

施策の実施状況を踏まえ、障害者施策にはどのような課題があるか。また、どのような措置が必要となるか。
障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に際して、障害者基本法に関しどのような措置が必要となるか。
の各視点から検討を行ってきた。これらの検討に当たっては、障害のある人又はその御家族等延べ46の個人及び団体からの意見聴取を行うとともに、中央障害者施策推進協議会及び障害者施策推進本部参与会において御議論をいただいた。

以下は、当会議における検討の結果を取りまとめたものである。

<中略>

3.障害者権利条約の締結に際し必要と考えられる障害者基本法の改正事項

平成19 年12月に策定された新たな重点施策実施5か年計画においては、「障害者権利条約の可能な限り早期の締結を目指して必要な国内法令の整備を図る」こととしている。
障害者権利条約においては、障害を理由とする差別の定義として「合理的配慮の否定」という新たな概念を含むことが規定されるとともに、障害のある人等の関与・参加の下、条約の実施の促進、保護、監視を行う枠組み等を設けることを求めている。
一方、障害者基本法においては、障害を理由とする差別の禁止に係る基本的理念、国・地方公共団体及び国民の責務等が規定されている。
当会議においては、障害者権利条約の締結に際し、障害者基本法について、どのような措置が必要となるか検討し、その結果、同条約の締結に際し必要と考えられる改正事項を以下のとおり整理した。

(1)差別の定義を新たに設け、差別について類型的に記載する。

(2)(1)の定義においては、「合理的配慮の否定」が差別に含まれることを明記する。

(3)基本的理念として規定された差別の禁止について、(2)を踏まえたものとする。

(4)国及び地方公共団体の責務として規定された差別の防止について、(2)を踏まえたものとする。

(5)国民の理解のために、(1)及び(2)において定義された差別に該当するおそれのある事例を国が収集し、公表することとする。

(6)国民の責務における差別防止の努力について、(2)を踏まえたものとする。

(7)中央障害者施策推進協議会について、障害者基本計画の作成及び変更の際の意見聴取に加えて、障害者施策に関する調査審議、意見具申及び施策の実施状況の監視等の所掌事務を追加する。

(8)中央障害者施策推進協議会について、関係行政機関に対する資料提出等の協力の要請ができることとする。

 なお、障害のある人等からの意見聴取において、障害者基本法の改正に関し、下表3に掲げる御意見をいただいている。これらの意見の中には、障害者権
>> 利条約の締結に当たって必要と考えられる改正事項(上述の(1)~(8))には該当しないものも含まれている。

<中略>

以上の検討結果を踏まえ、当会議としては、障害者基本法について、障害者権利条約の早期締結に向け、3.(1)から(8)までに掲げる改正事項を盛り込むことが適当と考える。
障害者基本法は、これまで議員立法によって制定・改正がなされてきたところであり、今後、国会における障害者基本法の見直しに向けた議論を注視しつつ、必要な協力を行っていくこととする。






朝日1面に「共産党」の見出しが。難聴者対策も。

2009年01月11日 08時36分03秒 | 生活
090111-043353.jpg090111-043503.jpg早朝配達された朝日新聞1面を見て、びっくりした。
「共産党」の見出しが大きくでていたからだ。
http://www.asahi.com/politics/update/0110/TKY200901100213.html

1面トップ記事は、病院耐震化の遅れ、トヨタの海外調達と日本共産党の伸張の3本。
中国共産党でもなく、ロシアでもキューバでもなく、日本の共産党。かって「ニッキョウ」と表記されていた頃を知るものとしては時代の変化を感じる。

雇用問題でも、農村再生でも共産党の存在感は大きい。
しかし、障害者自立支援法の廃止の気運が高まりつつあるが、障害者問題での存在感はまだまだだ。

とくに、中途失聴者、難聴者の問題に取り組んで欲しい。共産党は集会で多くの市民の参加を得ているが、そこには弁士や参加者の声が聞こえない、聞こえにくい人が大勢いる。なにしろ、補聴器業界の推定で、何らかの聞こえの低下のある人は2000万人近いのだ。

そうした集会に参加しても、そこに座っているだけで苦痛だ。社会の改革、福祉の充実を考えるなら、まずは集会の場に、補聴援助システムの設置や補聴器の貸与、リアルタイム字幕の配慮をすべきだ。手話通訳だけでは不十分なのだ。


ラビット 記




難聴者の社会福祉学習 社会福祉援助技術ノート(1)

2009年01月11日 02時13分58秒 | 社会福祉の学習
090110-103256.jpg090110-103931.jpg昨年9月に提出した社会福祉援助技術ノートが昨日返却されてきた。

この社会福祉援助技術ノートは大阪市立大学大学院生活科学部人間福祉学科の白澤政和教授の執筆したものだ。
解説、回答部分も含めて48ページの小冊子だが、それまでの社会福祉概論、老人福祉論、地域福祉論、コミュニティ論などの学習と併せて、多くの示唆を与えてくれた。

社会福祉援助技術とは、ソーシャルワークのことで、「社会生活を送る上で本人や家族のみでは解決できない何らかの困難が生じていえる人に対して」、「社会福祉サービスや社会資源を活用して問題を解決する」技術のことだ。

社会福祉援助技術には、個別援助技術(ケースワーク)、集団援助技術(グループワーク)、地域援助技術(コミュニティワーク)があることを学んで、難聴者支援と結びつけて考えた。

たとえば、難聴者支援の個別支援とは相談支援もあるが知的障害者の生活訓練事業や視覚障害者の機能訓練など個人に対する継続的な支援、難聴者として自立するための訓練事業が提供されていないという施策の谷間がある。
(続く)


ラビット 記
写真は、冷蔵庫にある野菜を出して切ってみた。何が出来るか。