難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

地域の手話通訳者、派遣事業者の報酬の改善を求めよう

2022年10月02日 14時08分59秒 | 障がい者制度改革
地域の手話通訳者の報酬を見るととても地域で手話通訳によるコミュニケーション支援を充実させるように努力してきたとは思えない。今、物価が急上昇しており、意思疎通支援者の生活自体が破綻しかねない状況です。

東京の自治体では報酬が3時間まで4千円(交通費を含む)、追加で1時間1千円という地域もある。交通費も含むので、東京都の最低賃金が10月から1072円になったことからしても低すぎる(登録手話通訳者は雇用されていないので最低賃金法の対象ではない)。

障害者差別解消法(2013年)や東京都障害者差別解消条例(2018年)、東京都手話言語条例(2022年)、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(2022年)(障害者情報アクセス新法)をみても、今後手話通訳者や要約筆記者などが一層大きな枠割を果たすことは自明です。

最初の1時間が3千円。その後1時間ごとに3千円というのが最低でないか。
10月は、自治体の予算の編成が大詰めになっており、今から追加の予算要求は難しいかもしれないが、障害者情報アクセス新法の施行もあり、要望は必要だと思う。

情報アクセス新法は、情報アクセシビリティとコミュニケーション施策の目標と計画を障害者計画、障害福祉計画に反映するように求めている。しかし、その中には、手話通訳者、意思疎通支援者の身分保障の項目自体がない。それは、障害サービス等の提供量を数値目標にしているからだ。図書館、役所、支所など自治体の施設以外に、情報の提供の方式の拡大、対象の拡大などを盛り込むと同時に、手話通訳者等の待遇改善、意思疎通支援事業者の職員の賃金の改善も盛り込むべきではないか。

聞こえない人への通訳派遣拒否は「差別」と大阪府が職員を処分

2018年05月13日 18時43分55秒 | 障がい者制度改革
この行政処分の意義は大きいです。障害者差別解消法に基づく処分だからです。しかも大阪府です。各自治体にも大きなインパクトがあります。

手話通訳、要約筆記者の派遣を相当たる理由がない限り、自治体に拒否出来ないことを知らしめたと思います。
相当たる理由というのは予算がないとか手話通訳者がいないというだけでは通らず、聴覚障がいを持つ市民の人権を制限するに足る理由が必要です。ましてや、回数制限、時間制限など根拠がなくなることを示しています。

もう一つのポイントですが、自分で申請する手話通訳派遣制度を利用せず、実際に利用する行政部局に要求して手話通訳が用意されなかったことがそれが合理的配慮義務を果たさないために「障害を理由とした差別」になったということです。
 自動車免許更新時の手話通訳は警察が用意する、公立病院は病院側が用意する、公立学校は学校側が用意するということです。警察等が手話通訳派遣事業所に派遣を依頼して、費用は警察等の負担になります。障害者福祉課の費用ではないです。

私個人の見解ですが、障害者差別解消法に基づく大阪府の処分が出たことは行政は重く受け止めなくてはならないです。


https://www.asahi.com/articles/ASL5B3FT4L5BPTIL003.html

障害者総合支援法の意思疎通支援者の広域派遣

2015年03月22日 11時56分29秒 | 障がい者制度改革
「今般の障害者総合支援法の意思疎通支援では地域生活支援事業の必須事業として要約筆記、手話通訳の派遣が「複数市町村の住民が参加する障害者団体等の会議、研修、講演、講義等・市町村が派遣できない場合などへの派遣」や「A市在住の者が同都道府県B市(又は他都道府県C市)に出向く場合などにおいて、都道府県が両市間の派遣調整を行うことなど」を想定するようになりました。」

障害者総合支援法地域生活支援事業
意思疎通支援事業 【平成25年4月1日施行】
1)都道府県に新たな必須事業 都道府県事業 78条
① 意思疎通支援を行う者のうち、特に専門性の高い者を養成し、又は派遣する事業
※ 手話通訳者、要約筆記者、触手話及び指点字を行う者の養成又は派遣を想定
※ 複数の居住地の聴覚障害者の集まる場への派遣(総合支援法付帯決議)
 ② 意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整等広域的な対応が必要な事業
2)市町村に新たな必須事業 市町村事業 第77条6項
(1)④ 意思疎通支援を行う者の養成
※ 手話奉仕員の養成を想定
※ 手話及び要約筆記を行う者の派遣も必須、両方の実施
※ 障害者基本法第3条と第22条
3)障害者総合支援法附則第3条による見直し規定
「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方」

地域生活支援事業実施要綱 平成25年(2013年)5月15日 予算成立日
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/chiiki/dl/index01.pdf

1.おもな内容 障害者総合支援法地域生活支援事業 第77条、第78条
【都道府県事業】 ( )は実施要綱案の内容
① 特に専門性の高い意思疎通支援を行う者(手話通訳、要約筆記者)の派遣(別記15)
② 整複数の居住地の聴覚障害者の集まる場への派遣 (別記15)
「障害者団体等の会議、研修、講演または講義」と明記
③ 市町村間、都道府県間の広域派遣事業の連絡・調整 (別記16)
2013年3月27日の自立支援振興室長通知を参考に実施することを明記
④ その他、市町村が派遣出来ない場合の派遣 (別記15)
「並びに市町村での対応が困難な派遣等を可能とするため」と明記
⑤ 手話通訳者、要約筆記者の養成、研修事業が必須事業化(別記14)

【市町村事業】
① 手話通訳、要約筆記者の派遣(上記、市町村の出来ないものを除く)
② 手話奉仕員の養成の必須事業化

エ.留意点
1.「自立した日常生活又は社会生活」を行うことが目的。
2.原則として手話通訳者、要約筆記者の派遣とする。
3.「運営委員会」を設置すること(努力)を求めている (別記15)
4.派遣コーディネーターを置くこと、手話通訳、要約筆記者が望ましいと明記(別記15)
5.意思疎通支援の手段は手話通訳、要約筆記者等とされた(1月18日の厚生労働省令)
6.要約筆記奉仕員養成カリキュラムの廃止が通知された。(別紙2廃止事業一覧)
7.3年をめどに支援の在り方を見直しの検討することになっている。

別記15 専門性の高い意思疎通支援を行う者の派遣事業
(1) 手話通訳者・要約筆記者派遣事業 聴覚障害者の自立と社会参加を図るため、市町村域を越える広域的な派遣、複数 市町村の住民が参加する障害者団体等の会議、研修、講演又は講義等並びに市町村 での対応が困難な派遣等を可能とするため、手話通訳者又は要約筆記者を派遣する。

(2) (1)手話通訳者・要約筆記者派遣事業は次の点に留意すること。 ア 広域的な派遣等が円滑に行われるよう運営委員会、連絡調整業務等担当者の設置等に努めるものとする。 運営委員会は、事業の適切な運営を図るため、聴覚障害等当事者団体、手話通 訳関係団体及び要約筆記関係団体の関係者を加えるよう努めること。 また、連絡調整業務等担当者は、当該業務に精通した専門的知識及び技術を有 する(別記6)の4の(2)のア又はイに掲げる者が望ましい。 イ この事業は、原則、市町村の必須事業として実施するものであるため、都道府 県では、市町村での対応が困難な専門性や緊急性の高い場合等に派遣を行うもの とする。

別記16 意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整事業
2 事業内容 市町村域又は都道府県域を越えた広域的な派遣を円滑に実施するため、市町村間では 派遣調整ができない場合には、都道府県が市町村間の派遣調整を行う。

宮城県仙台市難聴者協会研修資料 高岡 2015年2月8日

障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会(第4回)の資料

2015年03月22日 10時25分35秒 | 障がい者制度改革
障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会(第4回)の資料が公開されています。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/k_4/index.html

ディズニーランドのある浦安市、いち早く差別禁止条例を作った千葉県の他に、さいたま市、岩手県の障害者差別解消支援地域協議会体制の取り組みが報告されています。
これは、差別解消法が施行された場合、「障害者差別解消支援地域協議会」の体制構築が求められるからです。しかし、行政や専門機関が地域協議会の構成団体の例として挙げられていますが、障害者当事者の参画については例示されていません。「当事者の参加について特に留意すること」とあるだけです。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/ref1.pdf

浦安市
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-6.pdf
千葉県
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-7.pdf
岩手県
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-1.pdf
さいたま市
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-2.pdf
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-3.pdf

以下はさいたま市の資料
障害者差別解消の推進に関する取組状況調査結果 (平成 26 年6月実施)
障害のある方への配慮に関する調査結果(平成 26 年7月実施)
障害のある方の差別体験調査結果(平成 26 年7月実施)

労働政策審議会障害者雇用分科会で障害者団体が要望。

2015年01月01日 13時43分55秒 | 障がい者制度改革
厚生労働省第64回労働政策審議会障害者雇用分科会(2014年10月23日)の議事録が公開されています。
松永調査官が審議会中に全日本ろうあ連盟等5団体から要望書が出されていることを紹介し、審議の参考にして欲しいと述べていますが、当事者委員も含めこの資料に言及した委員がいないのは残念。事前に障害者側の委員にでも送っておけば良かったと思う。
議事録も出ていますが、厚労省の調査官が繰り返し述べているのは「研究会の議論がこうだったから」、「研究会がこういう結論を出した」ということです。研究会は労働政策審議会の障害者雇用分科会で議論するための報告をまとめていますが、研究会できっちり議論しておかないと審議会でもそれを越えた議論がしにくいのです。研究会段階から傍聴者を大勢送り込んだり、委員に対するロビー活動が必要です。
第64回障害者雇用分科会

提出された視聴覚障害者団体の要望書。他の障害者団体からは委員が出ているからかないです。視聴覚障害者は特に聴覚障害当事者団体がいないです。昔から。
○ 一般財団法人全日本ろうあ連盟 P3
○ 一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 P5
○ 社会福祉法人全国盲ろう者協会 P7
○ 社会福祉法人日本盲人会連合 P8
○ 弱視者問題研究会 P11
団体要望書

新しい障害者政策委員会の歴史的な使命。

2014年09月24日 05時56分34秒 | 障がい者制度改革
「再開の障害者政策委員会への期待」を日本障害者協議会JD代表藤井克徳さんが「すべての社会9月号」に書いています。前の障害者政策委員会の議長代理だった方です。

新たな政策委員会の役割を「障害者差別解消法の基本方針の制定に向けての論議」が急がれるとしても、これは今期の政策委員会の役割としては「序の口」であり、「課せられた本来の役割は歴史的な意味を持つ」という。

「歴史的な使命とは何か、それは批准年に再編された政策委員会ゆえの使命と言っても良い。批准を迎えた権利条約の社会への周知並びに浸透を図ることであり、その価値に勢いを付けることに他ならない」と位置づけています。

具体的には、3点を掲げています。
「一点目は権利条約の履行状況についての監視機能を実質化させることである」、「二点目は、権利条約を障害者の実態やニーズに照らして実際に活用してみることである」、「三点目は障害関連の基礎データの集約と蓄積の具体化である」。

いずれも、それまでの障害者政策委員会からの課題でもあり、藤井氏自身が障害者権利条約の批准承認について、国会で意見陳述していた内容でもあります。
最後に、前期までの政策委員会で培ってきた運営面での積極的な側面(障害者主体で論議を重ねて来たことなど)の継続、障害者分野の関係者は注目とともに協力の呼びかけています。

ご自身は、政策委員から外されてしまったにも関わらず新しい政策委員にしっかりと歴史的な使命を果たして欲しいとエールを送り、協力を惜しまないことを表明しているのは立派な姿勢と思います。

障害者政策委員会の傍聴に行きましょう。

2014年09月24日 04時25分53秒 | 障がい者制度改革
事業者のヒアリングが行われている障害者政策委員会の傍聴に行きましょう。次回は9月29日です。
磁気ループも設置されています。リアルタイム字幕と手話通訳が大型モニターに映されます。
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第15回 障害者政策委員会の開催及び一般傍聴者の受付について
1.日時:平成26年9月29日(月) 13:30~17:00
2.場所:中央合同庁舎第4号館 共用220会議室(2階)
3.議題:
(1)障害者差別解消法に基づく基本方針について事業者等からのヒアリング
(2)その他
4.一般傍聴希望者の受付
傍聴を希望される方は以下の要領によりお申込みください。
会場設営の関係上、予めご連絡いただきますようお願いいたします。
葉書、FAX又は当ホームページにてお申込みください。
(別紙をご参照ください。また、電話でのお申込みは出来ません。)
申込みの締切りは9月24日(水)<10時必着>といたします。
希望者が多数の場合は、抽選を行います。その結果傍聴できない場合もありますので、ご了承ください。抽選の結果、傍聴できる方に対しては、9月25日(木)までに結果をご連絡いたします。
(傍聴できない方には特段通知等いたしません。)

http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/youkou2.html

障害者政策委員会で聴覚障害者委員は重要な質問をしていました。

2014年09月23日 10時54分27秒 | 障がい者制度改革
昨日の障害者政策委員会で、聴覚障害者委員は重要な質問をしていました。
全日本ろうあ連盟の石野富志三郎理事長は、前回知的障害者、精神障害当事者が委員に加わることになっていたがどうなったかと冒頭に質問し、委員長が今対応中と説明する一幕も。
石野理事長は保険業界のマニュアルに聴覚障害者には筆談対応するとあるが手話通訳同行でも拒否された事例があると質問。全日本ろうあ連盟がWEBなどを通じて広く集約している事例には重いものがあります。保険事業者から手話の出来るものが十分いないからと的を外した回答にもすぐ挙手をして同行することを断られた例だと検討を要請。

松森委員は、鉄道事業者のヒアリングの回答に法令、規則に則って対応するとあるのが目立つが障害者権利条約が批准されている視点からは「過去のもの」であり、一般的義務の条文を紹介して権利条約に照らして、障害当事者や関係団体と協議する中で修正されるべきと釘を指していました。
一般的義務ではあらゆる規則、慣行も対象になるので、鉄道事業者の社内規則も対象となります。
松森委員は銀行と保険サービスの電話による本人確認の問題を取り上げ、電話リレーサービスの対応を求めました。事業者からは緊急時のFAXやメールに準じることになると回答。これはどの事業者のマニュアルにもなく、予想外の質問でした。

他の委員が差別解消法と別の障害者割引やスロープ板の対応などを聞いたり、準備不足の質問が多かったことからも、聴覚障害者委員の質問は際立っていました。

写真は障害者政策委員会の石野委員と松森委員。

https://www.facebook.com/tadashitzn

総合支援法の意思疎通支援事業の確認

2013年07月09日 10時18分14秒 | 障がい者制度改革
昨日のK市の手話通訳者研修で「総合支援法と手話通訳事業」として、地域生活支援事業の意思疎通支援事業について、講義した。

地域の手話通訳者に話すのは2回目だ。
都レベルの通訳者集団は障害者総合支援法や障害者権利条約などのことは一定の学習をしているが、地域の登録だけだとその知識がないかも知れないと聞いていた。

どういう組み立てで話すか考えた。

総合支援法は、障害者制度改革の途中の産物。
制度改革の中で総合福祉法を目指していた。→「骨格提言」の6つの目指すもの
しかし「骨格提言」が総合支援法になった
佐藤部会長が60分の1しか取り入れられていないというほど不十分。
骨格提言は無視できず付帯決議で見直しが付いた。

総合支援法の中の意思疎通支援事業は、大きく変わっている
なぜか?一つは制度が不十分で問題が大きくなった→高松市裁判
もう一つは制度改革が進み、コミュニケーション支援に関わる法律が多くなっている
・障害者基本法
・障害者差別解消法
・障害者総合支援法
・同付則
・衆議院、参議院付帯決議

どう変わったか?
・名称
・市町村と都道府県必須事業
・モデル実施要綱の提示

政府はこの説明に2回の主管課長会議を開き、3回の通知を出している。
総合福祉推進事業の補助金で全日本ろうあ連盟に手話通訳派遣事業要綱検討実施
モデル実施要綱の意義
・地域格差をなくすための全国基準
・未実施の市町村の実施要綱のモデルとなる
・実施自治体にとっても比較対象、到達目標となること

モデル実施要綱の特徴
・モデル実施要綱の共通理解のためにガイドラインが提示されていること
ガイドラインは現行実施要綱の検討の視点も提供していること
・総合支援法の理念や各法律の条項に合致した合理的配慮基準を示していること・コミュニケーション支援を「場」への支援と考えていること
・市町村と都道府県の役割分担を明確にした

モデル実施要綱の内容
・広域派遣事業の仕組み、費用負担の考え方
・派遣の範囲→全国
・派遣の内容はほぼ無制限(なぜか?)

今後の取り組み方
・制度改革の到達点として、モデル要綱の学習
・自治体に申し入れ
・派遣事業の差別事例の集積(対面ヒアリング、アンケート)



午前5時51分の通勤車両

障害者総合支援法のポイント

2013年07月04日 07時28分17秒 | 障がい者制度改革
最近は障害者総合支援法について講演を依頼されることが多い。

意思疏通支援事業はもちろんだが、障害者制度改革全体の到達点を話すようにしたい。
障害者総合支援法は障害者自立支援法の焼き直しだが、意思疏通支援事業については、制度改革の視点、障害者総合福祉法の骨格提言を先取りしたものになっていること、それは116万筆の情報・コミュニケーション法の署名、国会や議会への働きかけ等の運動の成果であることは落とせない。

特に、意思疏通支援事業のモデル実施要綱は理想的過ぎるのではなく、障害者差別解消法、障害者権利条約の批准が近づいた現在現実のものとして、実施を目指す必要がある。
そのために、総合支援法の限界は自立支援法の限界を引き継いでいること、予算が統合補助金で各地方公共団体の財源に左右されてしまうこと、障害者差別解消法の基本方針が出ていないことも明らかにしつつ、これを超えるための差別の実態告発運動、予算拡大要求運動を起こす必要があります。

ラビット 記

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(障害者差別解消法)についての見解

2013年05月30日 12時52分50秒 | 障がい者制度改革
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(障害者差別解消法)についての見解
2013年5月24日
きょうされん理事会

 4月26日、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(以下、法案)が閣議決定をされ、本日、衆院での審議入りとなった。
 障害のある人と関係者は、障害のある人の差別を禁止する法律を長年待ち望んでおり、この間、障がい者制度改革推進会議・差別禁止部会、障害者政策委員会・差別禁止部会等で、そのあり方について熱心な議論が重ねられてきた。この議論の成果は「『障害を理由とする差別の禁止に関する法制』についての差別禁止部会の意見(以下、意見書)」としてまとめられている。
 この意見書の水準から見ると、今回の法案は甚だ不十分と言わざるを得ない。しかし、障害のある人の切実な願いを踏まえ、その暮らしを一歩でも前進させる観点から、党派を超えた徹底した議論を経て、今国会での成立を求めたい。
 その上で、国会審議を通して、確認答弁や付帯決議等を含めて、下記の諸点についてさらなる論議の深化と改善を求めたい。

①法律の名称を差別禁止法に
 障害を理由とする差別の実態についての国民や事業者等のいっそうの理解を広げ、法の意図を明確にするために、名称を「障害を理由とする差別禁止法」とするべきである。

②差別についての定義の明記を
 意見書を踏まえ、直接差別、間接差別、関連差別を不均等待遇の定義として明記すべきであり、これを禁止することを明示すべきである。

③合理的配慮の定義と拘束力を障害者権利条約と同等に
 「必要かつ合理的な配慮」は、障害者権利条約(以下、条約)の定めている合理的配慮と同じものであることと、その不提供が差別であることを明記すべきである。事業者による合理的配慮の提供は努力義務にとどめるのではなく、義務とすべきである。

④地方公共団体のガイドライン作成の義務化を
 差別や合理的配慮についてのガイドラインに当たる対応要領について、地方公共団体による作成は努力義務にとどめるのではなく、義務とすべきである。

⑤紛争解決・救済のしくみの拡充と機関の創設を
 紛争解決については、既存のしくみの活用が中心となっているが、法の施行状況や差別事例の分析等を通じて、実質的な救済のためのしくみの創設・拡充をすべきである。

⑥大臣からの助言、指導、勧告に従わない場合の措置を
 主務大臣が対応指針に関して、事業者に求めた報告をしない、または虚偽の報告をした場合の罰則は定められているが、加えて大臣からの助言、指導、勧告に従わない場合の措置を規定すべきである。

⑦法の施行と見直し時期を早めるべき
 法の施行を2016年(平成28年)と定め、必要な見直しは施行後3年を経過した場合とされているが、できるだけ施行を早めるとともに、施行後3年を待たずに必要な見直しを行うべきである。

⑧法が効力を発揮する各分野の明記を
 意見書に述べられている各分野に関する事項を法に反映させるべきである。

 以上の内容面での改善に加え、手続き面では意見書を受けての法案の検討、策定段階で障害者政策委員会への説明がまったくなかったことの問題を付言しておく。

 雇用分野の差別禁止等について新たな規定を設けた障害者雇用促進法の改正にあたっては、法案要綱が労働政策審議会障害者雇用分科会に諮られた。それに照らせば、本法案の策定段階でも、障害者政策委員会に説明と意見聴取があって然るべきであった。条約でも謳われている、政策策定過程における当事者参画の重要性を改めて強調しておきたい。

 また、いくつかの地方自治体では、独自の差別禁止条例が制定され、また現在、制定準備がすすめられている自治体もある。本法が施行されることによって、これら既存・新規の条例の改善が促進されることはあっても、条例の水準引き下げの根拠となってしまわないように、必要な措置を講じるべきである。

 なお、法案が成立すれば条約批准に近づくものと思われるが、批准はゴールではなく障害のある人が他の者と平等に生きることができる社会の実現に向けたスタートである。官民一体となってこの法を意見書の水準にまで充実させるとともに、条約の批准後速やかに、条約の定義・原則等との整合性をつける法改正に着手すべきである。

以上

差別解消促進法案の成立を!

2013年05月16日 07時59分18秒 | 障がい者制度改革
先月26日、閣議決定され、国会に上程されていた障害者差別解消法案が山場を迎えている。

障害者差別解消法案の本来の意義は、障害を理由とする「差別」問題の解消のために広く社会に注意を喚起したり、紛争解決のてがかりを与えることにある。罰則を適用することではない。

「じっくり育てる必要のある」法案として、JDFは14日同法案の成立を目指した院内集会を開催した。

参加は、議員、関係者も入れて約260人

なお、来場された議員(挨拶・紹介順、敬称略)は、
清水誠一(自民・衆)
横路孝弘(民主・衆)
山本博司(公明・参)
中根康弘(民主・衆)
福島みずほ(社民・参)
高木美智代(公明・衆)
川田龍平(みんな・参)
小宮山泰子(生活・衆) 
松田学(維新・衆)(立ち寄られたのみ)
田村智子(共産・参)

そのほか、金子恵美議員(民主・参)よりメッセージ

秘書が来場(順不同);
若井康彦(民主・衆)
小川淳也(民主・衆)
谷博之(民主・参)
相原久美子(民主・参)
石橋通宏(民主・参)
高橋千鶴子(共産・衆)
(JDF事務局より)


国の行政機関、独立行政は法人等や地方公共団体、地方独立行政法人は差別の禁止、合理的配慮の提供が義務付けられる(第7条1、2)。
この対応として「国等職員対応要領」、「地方公共団体等職員対応要領」(マニュアル)が策定される。
紛争解決の機関として、「障害者差別解消支援地域協議会」が置かれる。
など、障害者制度改革推進会議の差別禁止部会でまとめた意見が一定反映されている。
しかし、一番の問題は、「差別」の定義がなく、障害者基本法の基本的理念にのっとりとされてだけであることだろう。
次に商業その他の事業を行う事業者、いわゆる民間事業者は差別禁止は課せられるが合理的配慮の提供は努力規定になって、政府が作るガイドラインに従うだけになっている(特に必要のある時事業者に報告義務、または助言、指導、勧告はされるが)ことだ。

法律の施行は平成28年となっており、その前に基本方針や国等職員対応要領、地方公共団体等職員対応要領は策定、公表することが出来るとかあり、民間事業者に対する配慮が濃厚だ。

障害者差別解消法の成立を!緊急院内集会にご参集を!

2013年05月09日 18時24分05秒 | 障がい者制度改革
障害者差別解消法の成立に向けた院内集会が開催されます。
関係議員との話し合いの中で、急遽開催となりました。

日本障害フォーラム(JDF)主催
障害者差別解消法の成立を!
緊急院内集会にご参集を!

■日時:2013年5月14日(火曜日)11:30~13:00
■場所:参議院議員会館 一階講堂(東京都千代田区永田町2-1-1)
■参加費:無料

■プログラム:
 開会のあいさつ 小川榮一(JDF代表)
 特別報告「障害者差別解消法について」内閣府より(依頼中)
 パネルディスカッション
 「今国会成立を! 障害者差別解消法、その意義と課題」
  パネリスト
   森 祐司(JDF政策委員長)
   太田修平(JDF差別禁止小委員会委員長)
   大谷恭子(日本弁護士連合会)
   発達障害関係者(依頼中)
   国会議員からの決意表明(ご出席された議員より適宜)
   指定発言 2名程度
 閉会のあいさつ 竹下義樹(JDF副代表、日本盲人会連合会長)

■進行:田中正博(全日本手をつなぐ育成会)、
     佐藤加奈(日本身体障害者団体連合会)

※手話通訳、要約筆記が付きます。
参加申込みが必要です
日本障害フォーラム(JDF)のホームページから申込をしてください。
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/seminar/20130514/index.html