感動としあわせの家づくり物語

岡山県倉敷市の工務店「林建設」の大工職人「林俊文」が仕事で感じた「感動としあわせの家づくり物語」を綴っていきます。

技術の伝達を使命だと思う事を次の世代に伝えれる職人でなければ・・・

2014-06-04 21:45:29 | モノづくり挑戦物語
今日は午前中、曇り空だったのですが、午後からは雨が降出した岡山・倉敷。

一雨ごとに季節が変わる時期だけに体調の管理には気をつけたいところです。

昨日までとは布陣が変わり大工の「まっちゃん」は岡山市南区浜野での店舗改装工事現場に向かい昨日、加工しておいたカーテンボックスを組立てる作業を現場でコツコツと進めてくれている様子。

これから7月終盤の竣工を目指しての一歩目を踏み出したこちらの現場。

毎回、「まっちゃん」には無理をかけてしまいますが、彼なら今回もやり遂げてくれるものと信じて出来る限りのフォローをしていかねば・・・

そんな私は午前中にフローリングのサンプルを持ってお客さん宅に訪問。床の工事を計画している中、やはり気になるのは仕上材のフローリング。

今回は「ナラ」に「メープル」、「カバ」など数種類のカットサンプルを用意してお客さんと打合せ、好き嫌いがあるのは当然で、部屋のイメージと照らし合わせて候補を2つに絞っていただきました。

ここから始まる物語がお客さんにとって、私たちにとっても「しあわせで感動的」なものであるようにと祈ります。

さて、そんな打合せを終わらせ、午後からは「小野くん」が工事を進める岡山市北区田益の住宅リフォーム現場へ。

この頃から雨も降り始めた本日ですが、現場の方では大工の「小野くん」が懸命に壁の羽目板張りの施工に取り組んでくれています。

今回は「杉」の無垢材、それも上小節と呼ばれる節の少ない素性の良い「杉」材を用意できました。

経年変化で真っ黒になってしまう「杉材」、それを防ぐためにも今回は塗装を計画していますが、この手の材料へ塗装を施すと塗料を吸って伸びてしまうのが無垢材。

もちろん乾けば問題ありませんが、季節の移り変わりで若干の収縮も考えられます。

そうした木材の動きを計算した上で施工しておかねば為らないのは無垢材の造作材施工の難しい所でもあり、施工側はお客さんに説明しておかねばならない事。

今回は突合せ部分を「目透かし」することで木材の伸びに対応する施工方法を計画、但し隙間が気になる場合もあるので後で目板を打つ事で隙間を隠します。

この手の「目透かし張り」という方法は何も今回に限った事ではなく、大工仕事の上では様々な部分に応用されているスタンダードな施工方法。

他にも下地材と仕上材の収縮率が違う場合などにも用いる事の多い基本中の基本とも言える施工方法ではあります。

近年では規格品や合板製品が多く使われる建築事情があってか大工さんの中にはこうした手法をとらない職人さんも見かけることがあります。

確かにこうした木材の伸び縮みなど施工後、数ヶ月では大きな問題が出ることはないのですが、やはり其処に何十年と暮らすお客さんにとってみれば工事が竣工してから始めて解かる家づくりの価値。

竣工後に何か不具合があった時に、単純に「木は生きているから仕方ない」と言うのでは建築のプロとしては情けない話。

不具合が起きないように予め木材の動きを計算した上で、最適な施工方法で工事する事も大工なら当たり前の話なのです。

夏は高温多湿で、冬は低温低湿な西日本の気候風土。それに合わせた木材加工、木材施工の技術は古来からあった事は確か。

私自身も先々代から受け継がれた大工技術をもっと学び、次の世代に伝えていくことも「今」を生きる大工として欠かしてはならない使命だと未来の日本建築に繋げれる努力は続けなければ・・・

一本の木から始まる感動としあわせの家づくり物語 林建設 林俊文

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