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GDP世界第11位のロシアが、なぜ強大な軍事力を維持できるのか? GDPで言えば韓国よりも低いのだ。

2022-05-25 17:00:57 | 日記

 

GDP世界第11位のロシアが、なぜ強大な軍事力を維持できるのか?

なぜロシアはアメリカに強くものを言えるのか?

ソ連時代の強みを未だ持ち続けるロシア

大村大次郎(元国税調査官)


借金大国の通貨(アメリカ・ドル)が世界の基軸通貨であり続ける理由

2022-05-25 16:38:58 | 日記

借金大国の通貨(アメリカ・ドル)が世界の基軸通貨であり続ける理由

2022年03月15日 公開

大村大次郎(元国税調査官)

 

ウクライナ侵略による経済制裁でロシアの銀行が国際決済ネットワークから排除され、ロシア通貨ルーブルも大暴落。ロシア国債はデフォルトの危機に直面している。

しかし、ロシアに圧力を強めるアメリカも実は史上最大の借金大国で30年以上、国際収支は赤字なのだ。

今回は、世界一の借金大国であるアメリカのドルが、基軸通貨であり続ける理由を通貨や経済の歴史を研究する元国税調査官の大村大次郎氏が解説する。

※本稿は大村大次郎著『お金で読み解く世界のニュース』より一部抜粋・編集したものです。

 

アメリカの軍事力がドルの信用を裏付ける

アメリカが、ドルと金の兌換をやめても、ドルが基軸通貨の地位を維持し続けた理由の一つとして、アメリカの軍事力も挙げられる。


アメリカは、第二次世界大戦後、世界中の紛争に介入し軍事力を見せつけてきた。

経済というものは、戦争や紛争に敏感である。ちょっとした紛争が起きれば、すぐに物流や物価が大きな影響を受ける。

また戦争に負けたり、戦争で多大な被害を受けると、その国の経済は大きな打撃を受ける。

その国だけではなく、その国と関係がある国、貿易をしている国も大きな影響を受けることになる。

だから必然的に戦争に強い国の通貨は、それだけ信用されやすいということになる。

もし、世界が平和であれば、国際経済において軍事力というのはあまり評価されないかもしれない。

しかし、これまで世界は、いつの時代でも紛争が絶えることがなかった。

だから、戦争に強い国の通貨は、いつの時代でも信用されやすかったのである。

第二次世界大戦後、日本は一度も戦争をしていないし、自衛隊が紛争地域で軍事行動を起こしたこともない。

だから、世界は平和だったような印象を抱きがちだが、第二次世界大戦後、日本のように平和に暮らしてきた国は、まれなのである。

第二次世界大戦後から現在まで、一度も戦争に参加しなかった国というのは、国連加盟国の中で8カ国しかない。

アイスランド、フィンランド、スイス、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ブータンそして日本である(定義によってはジャマイカ、オーストリアが入る)。

これ以外の国は、なんらかの戦争に参加しているのである。

つまり戦争がこれほど多いことが、アメリカ・ドルが世界的に信用されてきた要因の一つなのである。

逆に言えば、アメリカ・ドルが信用され続けていくためには、世界は平和であってはならないのだ。

 

金本位制の時代ならばアメリカはとっくに破産している

アメリカ・ドルが、金と兌換しなくてよくなったため、アメリカの輸入は際限がなくなった。今までは輸入超過(貿易赤字)になれば、その分の金が流出してしまっていた。だから、金の保有量をにらみつつ、輸入を制限する必要があったのだ。

しかしニクソン・ショック以降は、輸入超過が続いても、輸入代金としてドルを渡せばいいだけである。そのドルは、金と兌換しなくていいので、アメリカの金は一向に減らない。

アメリカにとっては、輸入を制限するためのリミッターがはずれたようなものである。

アメリカ政府としては、むやみやたらに輸入が増えることは歓迎していなかった。

輸入超過があまりに大きくなれば、ドルの信用力が低下するかもしれない。そうなると、それ以上の輸入ができなくなる。

それを懸念し、輸入超過に対しては一応目を光らせていた。

しかし、いくら輸入超過が続いても、アメリカ・ドルの信用が落ちる気配がない。

ドルに代わる有力な通貨は出てこないし、世界でたびたび紛争が起きるので、その都度、戦争に強いアメリカの通貨は、信用を増すのである。

そのため、アメリカは、貿易赤字を累積することになった。

現在、アメリカの対外純債務は14兆ドルもある。

もしこの14兆ドルを、金で支払おうとした場合、アメリカの所有する金は完全に枯渇してしまう。

というより、アメリカの所有している金で、14兆ドル(約1500兆円)を清算しようとしても、焼け石に水程度の返済額にしかならないのである。

現在アメリカが所有している金は8000トン前後であり、金相場から見れば56兆円程度にしかならない。

3.7%程度しか払えない計算になるのだ。

このアメリカの対外純債務14兆ドルというのは、ドルが金と兌換していないからこそできた借金なのである。

金本位制の時代ならば、アメリカはとっくに破産している状態なのだ。

そして、アメリカの破産を防いでいるのは、「ドルが世界の基軸通貨である」ということだけなのである。

アメリカ・ドルを守るアメリカ軍

現在のアメリカ経済というのは、非常に不安定な状況が長い間続いている。アメリカは現在、14兆ドルの対外純債務を抱える世界最大の借金国である。

しかも、この状態はもう50年も続いている。

なぜこのアメリカが破綻しないでいられるのか?

なぜ借金まみれのアメリカが、世界経済の中心に居座っていられるのか?


その最大の理由は、アメリカ・ドルが世界貿易の基軸通貨となっているからである。

世界貿易の決済では、ドルが使われることが多い。

たとえば、日本がアラブ諸国から石油を買うときも、ドルが使われる。日本やアラブに限らず、世界中の貿易決済でドルが使われている。

「ドルが基軸通貨である」ということは、今のアメリカ経済の生命線ともいえるのだ。

もし、アメリカ・ドルが基軸通貨の地位を失えば、たちまちアメリカ経済は破綻してしまうだろう。

だからアメリカは、このドルの基軸通貨の地位を、必死に守ってきた。時には、軍事力を用いることもあったのだ。

アメリカはソ連無きあと、世界最大の軍事国家となった。もちろん、他の国々は、アメリカの軍事力に対する怯えや遠慮がある。

アメリカ・ドルが、基軸通貨であり続けられるのは、そのためでもあるのだ。

たとえば世界の石油取引というのは、ドル建てで行うという暗黙の了解がある。

そこには、アラブ産油国とアメリカの密約があるとされている。

「アラブ諸国は、石油取引をすべてドル建てで行う代わりに、アメリカはアラブ産油国の政権を脅かす勢力を撃退する」

そういう約束があるということである。

実際、アラブ産油国の多くは民主国家ではなく王権国家なのだが、アラブ王権国家がアメリカから攻撃されたことはない。

アメリカは、他国を攻撃するときに、「非民主的だ」ということを口実にすることが多いが、アラブの産油国は世界でもっとも非民主的であるにもかかわらず、アメリカからの軍事介入は受けていないのだ。

また、アメリカ・ドルが、基軸通貨であり続けているのは、アメリカの国債が買われているからでもある。

アメリカ国債が様々な国で買われているので、ドルの信用も維持されているのだ。

では、アメリカの国債は誰が買っているのか、というと、一番の顧客は日本なのである。

日本は、外貨が貯まるとアメリカの国債を買う。

そして、アメリカの国債をなかなか売らない。それは、アメリカに対する遠慮があるからだ。

もし、アメリカの機嫌を損ねて、駐留軍を引き上げられてしまえば、中国や北朝鮮の軍事的脅威にさらされることになる。だから、日本はアメリカの機嫌をとっているのだ。

つまりアメリカは、「基軸通貨」「世界経済の中心」という地位を半ば軍事力で守ってきたともいえる。

そして、その地位を脅かす相手は、容赦なく叩いてきた。

 

フセインがアメリカに攻撃された理由

アメリカが、軍事力によって基軸通貨の地位を守ってきたということに関して、もっともわかりやすい例がある。

それは、イラク戦争である。

実は、巨額の対外債務を抱えるアメリカの通貨が、世界の基軸通貨になっていることについては、疑問を持つ国も多々ある。

そして、ドルの基軸通貨の地位を脅かそうとする動きもあったのだ。

その最たるものが、ユーロだった。

ユーロは、EUの共通通貨だが、アメリカ・ドルに代わって、世界の基軸通貨になろうという野心も秘めていた。

ドルとユーロは、実は基軸通貨の地位を巡って、綱引きを繰り広げていたのだ。

EUはユーロ導入前から金の保有量を着々と増やし、導入時にはアメリカの保有量をはるかに凌駕していた。これは、金の保有によってユーロの信用性を高めようとしたわけである。

もちろん、そこには「ユーロは国際通貨として使えますよ。ドルのような借金国の通貨を使う必要はありませんよ」というEUからの暗黙のメッセージがあった。

EU諸国としても、借金ばかりしているアメリカに、いつまでも世界の経済覇権を握られるのは釈然としていなかったのである。

それを敏感に察したのが、イラクのフセイン大統領だった。

1991年の湾岸戦争以来、イラクのフセイン大統領とアメリカは敵対関係にあった。

フセイン大統領としては、どうにかしてアメリカに一泡吹かせたい。

そこで、2000年の11月、フセイン大統領は、石油取引をドル建てからユーロ建てに変更したのだ。

前述したように、アラブの石油取引というのは、ドルを使うのが暗黙の了解になっていた。

そしてアラブの石油取引がドルで行われる、という慣習は、ドルの基軸通貨としての地位安定に大きく寄与していた。

そのアメリカのもっともデリケートな部分を、フセイン大統領は攻撃したのだ。それはアメリカにとっては大きなダメージとなる。

もちろんアメリカは激怒した。

ドルの基軸通貨としての地位は、絶対に守らなくてはならない。

イラクの行為を許してしまうと、イラクにならいアメリカの脆弱なドルを嫌って、今後、ユーロ建てで取引をする産油国が続くかもしれない。

アメリカとしては、どうしてもイラクを叩く必要が生じた。

そのため、「大量破壊兵器を隠し持っている」と難癖をつけて、イラク戦争を起こし、フセイン政権を倒したのだ。

アメリカは、イラク戦争でフセイン政権が崩壊するとすぐにイラクの石油取引をドル建てに戻している。


このイラク戦争だけではなく、アメリカがドルを防衛するために行ったと思われる戦争や紛争介入は、多々あるのだ。

このように、アメリカは軍事力を用いてでも、「基軸通貨」「世界経済の中心」の地位を守ってきたのだ。